【「食べる」と「健康」その本質に迫る】その2~「土壌動物」から見えてくること~ |
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2022年12月10日
自然を通した成長 シリーズ 都心から地方へ向かう意識潮流~どこから?きっかけは?~
現在、自然に対しての人々の意識は、大きく変わっています。
『移住』『新3K』『女子』『若者』というフレーズを目にするようになりました。
田舎暮らし、自然回帰、アウトドアブーム、農学校の注目など巷で巻き起こる新しい流れはいったいどこからきているのか?
日本人の意識潮流が時代とともにどうなっているのか追いかけていきたい。
今回は、①江戸時代②明治以降③戦後④1970年⑤そして現在
と追いかけていきたいと思います。
■江戸時代~ 本源時代
初代駐日公使ハリスの言葉
『彼ら(日本人)は皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである』
この言葉が象徴するように、江戸時代の日本は幸福そのものだった。
和やかで豊かな心を持ち、廃棄物を自然に処理する超循環型社会であった。
皆が皆を助け合う共同社会がそこにあった。
そこから大きく変化するのは次の時代からであろう。
■明治時代~ 戦争の時代
戦争により、世界的に緊張圧力が高まる中で、日本も「西洋に追いつけ!追い越せ!」と富国強兵を行い軍備を整えていきました。
その過程において産業化(近代化)していく中で、「殖産興業」を掲げて、西洋社会に後れを取らぬように、近代化を図っていきました。
だからこそ、教育においても今までは寺子屋など子供の理解度に合わせて教えていた教育が、一定の能力を身につけた人材が大量に必要になることで学制が実施されたわけです。
世界の中で戦い抜くためには、軍事力≒産業の発展が欠かせない、またそのための労働力の確保も欠かせない。富国強兵によって江戸時代から続く、本源的な価値観が一気に転換した時代でした。
■戦後~ 経済成長期
前述した明治より築かれた価値観を土台に、経済において、資本つまりお金の獲得が第一の時代。「出世したい」が人々の原動力であり、私権獲得が第一の時代となっていく。
1955〜の神武景気を始め好景気が続いていく時代。また歴史の教科書でもよく登場するように池田勇人内閣の「所得倍増」のスローガンに掲げ、経済の高度成長を進める政策を行いました。
この約20年間にわたり経済成長率(実質)年平均10%前後の高い水準で成長を続けました。
しかし同時に「公害問題」も問題になっていく時代でもあります。
イタイイタイ病や水俣病などの四大公害病は誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
工場などから排出された有害物質が河川や海に放出され、健康被害により各地で訴訟や裁判が起こりました。
■1970年代~ 豊かさの実現/収束不全
高度経済成長が終わり、日本は安定した成長へと変化していきます。
豊かさが実現されると同時にオイルショックやバブル経済、リーマンショックなどにより経済的に大きく衰退。戦後初めてのマイナス成長や金融危機が訪れます。
「土地」や「働き方」「物の価値」における大きな転換期でもあります。
今までの「お金第一」の価値観が崩れた瞬間でした。
そんな時代に起こったのが、食の偽装問題です。
1990年代に入ると、O157による集団食中毒感染、狂牛病による牛肉産地の不正表示問題が立て続けに起こりました。さらに2003年に起きた鳥インフルエンザなども記憶に新しい事象です。
このような偽装や不正問題、食料を介しての健康危機によって「自分たちの命を人任せにしていられない」という意識も高まり、どんな食べ物を口にするのか、未来を担う子どもたちに何を食べさせるのか、慎重に選ぶようになりました。
つまり人々は、「何を信じていいのか」と向かう先を失っていったといえます。
■2010年代~ 本源回帰
昔のように終身雇用が保証されているわけでもない、であればただ雇われるのではなく、この時代を生き抜くにはどんな企業や産業が生き残っていくのか、人々は考え始めます。
そして大きな出来事は「東日本大震災」です。
地震による被害はもちろんのこと、原発の問題により都市の生活は混乱し、食や建物・電気など当たり前の生活ができなくなってしまいました。命のあり方、自然のあり方など「仕事」「食」「建物」などあらゆる面で変化していったといえます。
だからこそ生きていく上で欠かせない食=農業への注目が集まったり、農業系のベンチャー企業が全国各地で設立された時代でもあります。一般的に、家庭菜園の人気が広がり始めたのもこの頃です。
そして、『都会から地方へ』と、移住を始め、自分たちで暮らしをつくる、人の繋がりの中で生きる、自然の中で生きる若者が急速に増えたのもこの時期です。
そしてコロナ禍において、さらにその意識は加速したのではないでしょうか。
「自ら作っていただく≒自給自足意識」への高まりに拍車をかけました。またテレワークで場所を問わずどこでも働けるようになり、東日本大震災後に出てきた、地方・農村への移住、IターンやUターンの流れも加速しました。
〇各方面から注目される自然への取り組み
例えば、企業移住に始まり、人材確保の観点から社員に対して移住しやすい職場づくり。さらには受け入れる地方も会社に最高1億円支援するなど、地方・企業・人が一体になった体制づくりができようとしています。
人も企業も地方もそれぞれが自然や農への可能性を感じており、また教育的観点、健康、地域活性などの興味も高まっています。
このブログでも様々は可能性を探索して、皆さまにお届けして出来る事を楽しみにしています。
<参考>
〇就職・就農に即した特徴的かつ実践的な授業内容で女子人気が高まっているほか、グローバル化、経営力強化に取り組む農業高校が増えています。
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1703/spe1_01.html
から引用しています。
〇農業で働きたい人が急増 コロナで収入減や働き方の変化背景に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210412/amp/k10012969391000.html
から引用しています。
農業で働きたいと希望している人が1年間でおよそ10倍に急増していることが、大手人材情報会社のデータで分かりました。
〇農業の意識が変わる。新3Kとは?
https://farm-connect.org/to-become-a-farmer/3k/
から引用しています。
近頃は、農業の良い面が注目され始めたり、テクノロジーが進歩したことによって「新3K」という言葉が出てきています。
新3Kとは、「感動・かっこいい・稼げる」を指す言葉です。
〇地方移住支援制度の拡充
https://kayakura.me/company-iju/
から引用しています。
地方移住の最大の壁と言われてきた「仕事」の問題が、これで解決へと向かうのか。近年、大企業が社員の地方移住を後押しする仕組みづくりが増えている。
投稿者 ara-yu : 2022年12月10日 TweetList
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