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2021年10月21日
【農の歴史】コラム 古代から受け継がれる焼畑農業~農業を森の生態系に組込む仕組み~
縄文人が最初に行っていたとされる農業は「焼畑農業」と呼ばれます。
「焼畑」というと、「焼払い」などと混同され、森林破壊の印象を持たれることがありますが、実は本来全くの別物。自然と調和した「循環型農業」として世界的に評価されています。
しかし、森の生態系に合わせて行う焼畑農業は、長い時間と労力を要し、現社会ではそれをできる地域が少なくなっています。
この日本でも、今では宮崎県の椎葉村のみでしか行われていない農法なのです。
椎葉村で行われている焼畑農業の概要を一部こちらのHPより抜粋してご紹介します。
https://takachihogo-shiibayama-giahs.com/story/125
https://www.welcomekyushu.jp/oishii-island-kyushu/blessing/421/index.html
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◆焼畑ってどんな農法?
ざっくりと焼畑農業の手順を紹介します。
①あらかじめ、生い茂る草や竹を整備しておく「やぼ切り」を行う
②火入れとなる季節、枯れた草竹を真ん中に集めることで、周辺に防火帯をつくる
③無事に火入れがすむよう山の神に御神酒を捧げ「火入れの唱え言」を口にする
④ガスバーナーや竹などの先端を使って、斜面の上側の方から火を着けていく
⑤鎮火後、一面灰に覆われた斜面に、ソバの種を手早く蒔いていく。笹で地面をならして灰と種を混ぜる。
⑥農耕期間は4年間。1年ごとに違う作物を作る。
画像はhttps://takachihogo-shiibayama-giahs.com/story/125よりお借りしました。
◆焼畑が森を再生する仕組み
「山を焼くことで、山が元気になる」。これは、焼畑を行ってきた人々が言う言葉だそう。
・焼土することで、土の窒素組成が変化し、土壌改良につながる
・焼畑を行って1,2年は害虫が寄り付かないので、無農薬で作物が育つ
・熱により、種子や腋芽が休眠覚醒し、多様な植物が育ちやすくなる→もともと50種だった植物が焼畑の後300種に増えたという報告もある
などの効果があるそうです。
◆日本の焼畑の特徴は?
・日本の伝統的な焼畑は、東南アジアの山間地等で行われている焼畑農業と比較して、1回の火入れ面積が比較的小規模に限った土地の火入れをパッチ状に行うこと
・3〜4年間の栽培期間で輪作体系を設けること
・長い休耕期間を必ず置き、森林を回復させること
が大きな特徴です。火入れをパッチ状に行うことで、野生動植物への影響も小さく、豊かな森林が維持されます。
このような、森林と農林業の調和が図られた農法が現在も維持されていることが、世界的に重要なモデルとして評価され、世界農業遺産に認定されました。日本の焼畑は、縄文時代の粗放的農業に端を発すると言われ、昭和25年頃までは日本各地で行われてきましたが、焼畑から米作への農業形態の転換や、戦後の拡大造林計画によるスギ・ヒノキ林への転換など、社会情勢の変化に伴い急速に衰退し、現在継続して行われているのは全国でも椎葉村だけです。
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これらのことから、
・もともと日本では農業を行うことで逆に森も生態系が維持(森の若返り)できる仕組みづくりが追求されていたこと
・その仕組みとして「火入れ」「輪作」「長い休耕期間」などの農法が縄文時代にすでに確立されていたこと
・それも数年農耕として借りた土地をしっかり森に還すという根強い文化が基盤にあったこと
がポイントかと思います。
私自身農業に関してまだまだ知識が浅いこともありますが、この記事は可能性だと思いました。「農業の歴史=人類が自然支配してきた歴史」とこのブログでも示唆していましたが「農業を森の生態系の一部に組込む」発想と仕組みが、かつてはちゃんとあったということを再発見できた気持ちです。
しかし現在は、農薬によって、同じ場所で同じ作物を毎年育てる農業が一般的になっており、かなり土を酷使しています。人の手によって豊かな森が失われ、ますます人間は自然から切り離されていっています。
外圧の変化もありますが、そうしないといけない制度(=支配構造)になっているのが、今の日本です。
だから、本来の農業を取り戻すためには、近代の制度を抜本的に見直す必要があるのだと思います。
循環型農業の再生に、何が妨げになっているのか。今後それらの課題も生々しく追求して明らかにすることで、本源的な農業を再生する手がかりを掴んでいきたいと思います。
画像はhttps://takachihogo-shiibayama-giahs.com/story/125よりお借りしました。
次回もお楽しみにっ^^☆
投稿者 ideta : 2021年10月21日 TweetList
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