『農村学校をつくろう!』シリーズ-7~中世・近世における日本の学び・子育てはどうなっていた? |
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2021年10月14日
植物と微生物の関係は、高い外圧に置かれた生物同士が生み出した「戦略パートナー」関係にある
前回は、土中の微生物の働きとそのサイクルについてザックリとみていきましたが、今回はもう少し詳細に踏み込んでみたいと思います。
?なぜ植物の周りには、これだけ沢山の微生物が存在するのでしょうか?
色々調べてみると、土中の中全てに微生物が存在しているわけではないようです!
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1.土壌微生物の活動は根圏に集中している
植物は、育成のために根によって養分や水分を吸収し、また呼吸を行います。このため根の周囲の土壌は無機物の養分や酸素の割合が少なく、二酸化炭素が多くなる傾向にあります。
一方、植物は根から、糖、アミノ酸、有機酸、ビタミンなどを分泌し、さらに老化して枯死した根毛が土壌に脱落するなどして、根の周囲の土壌は、それより外側の土壌とは養分組成、pH、水分含量などの環境条件が異なっています。
このような根の周囲の土壌のことを「根圏土壌」といい、植物の根と根圏土壌を含めた範囲を「根圏」と呼びます。
また根圏は、根の内部、根の表面、根の周囲に分けることが出来ます。それぞれを「内部根圏」「根面」「外部根圏」と呼びます。
土壌微生物のエサとなる有機物が豊富にある根圏土壌では、それより外側の土壌(非根圏土壌)の数十倍から数百倍の密度で微生物が生息しているといわれています。
細菌、放線菌、カビなどが根圏に集中して活動しているのです。
?では根圏とは一体どのくらいの範囲なのでしょうか?
2.根圏の範囲ではその外側の100倍~1000倍の土壌微生物が存在する
根圏土壌の環境条件では、有機物の量や土壌の種類によっても大きく異なりますが、その外側の100倍~1000倍の土壌微生物が存在するといわれています。
ではその範囲はどのくらいなのかというと、測定データによると、微生物密度は、根の表面から0.3mm離れると100分の1になり、1.8mm離れると1000分の1近くまで低くなることがわかっています。
このように根圏の範囲は意外に狭く、一般的には数mmの範囲内といわれています。
?では植物はなぜ自らの根圏に微生物を集めるのでしょうか?
3.植物も微生物もお互いがお互いを利用しあっている
根圏の中でも、土壌微生物が最も多く生息している場所は、根からの分泌物が多く存在する「根面」です。
とくに根の先端部(根冠付近)からは、「ムシゲル」と呼ばれる粘性の高い物質(多糖類、有機酸、アミノ酸などが含まれる)が分泌され、この粘性物質が根の表面を覆い、それを餌にする土壌微生物が定着します。
土壌微生物はムシゲルを分解して、植物の成長に必要な養分やホルモンなどの物質をつくっています。
また、ムシゲルの分解により生じた養分は、外部根圏に生息している土壌微生物にも提供されるため、根面に生息する土壌微生物は、根圏全体の物質循環を生み出しているのです。
ここまで見てきてよくわかるのは、「植物も微生物もお互いがお互いを利用しあっている」ということです。これがいわゆる「共生」なのですが、その関係は協力しあってというよりは、利用しあっているというシビアな感覚に近いです。
植物と微生物の関係は、高い外圧に置かれた生物同士が生み出した「戦略パートナー」関係にあるといえるのではないでしょうか。
参考文献 横山和成「土壌微生物の基本」
投稿者 sue-dai : 2021年10月14日 TweetList
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