タネから次代の農業を考える4 固定種を通じて、当事者として皆が社会に関っていくかたちができていく |
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2013年05月19日
タネから次代の農業を考える エピローグ『一粒万倍』
『タネから次代の農業を考える』と題して連載して参りました本シリーズは、プロローグにおいては、伝統野菜を切り口にタネの種類や実態、そして固定種への期待などを扱いました。また、次回からはタネの歴史、固定種の可能性、固定種を取り巻く人々の事例、流通と続けて参りました。もう一度簡単に振り返って参りたいと思います。
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<プロローグ>~伝統野菜は“伝統的”じゃなくなった?
■ はじめに
■ 伝統野菜のF1種…?
■ 伝統野菜の種、採取地はヨーロッパ…?
■ 伝統野菜とは?
■ F1種(ハイブリット種)と固定種
■ F1種はどのようにして普及したか?
■ タネの流通形態
■ 伝統野菜再考
(リンク)
シリーズ1~種の歴史(種は、元々みんなのものだった!)
■ 狩猟採集生産時代(~1万年前)
■ 自給的農業生時代(1万年前~5000年前)
■ 武力支配の時代(5000年前~400年前)
■ 市場拡大期(400年前~40年前)
■ 市場縮小・終焉時代(1970年~現在)
固定種の可能性とは、自家採種という技術的問題だけにとどまらず、種を一部
の支配者の手から、みんなの手に取り戻して、循環型、持続型の社会を再構築
して行く課題であると言えるのではないでしょうか。
(リンク)
シリーズ2.固定種は本源回帰の種
■ 自家採種した種は適応力を発揮する
F1種はやはり肥料や農薬という手伝いをしてあげなければいけないのに
対して、固定種ではそういったものは一切不要になります。
■ 「循環型」という本源回帰
F1種⇒固定種へ転換するという事は、農産物の市場的価値(大量生産・大量
消費)⇒本質的価値(循環型の社会)への回帰の可能性を十分に秘めています
(リンク)
シリーズ3 各地で芽生えるタネの輪
■ タネをテーマに集う
“café Slow”というコミュニティカフェの紹介
■ タネの事も教えてくれる八百屋さん
旅する八百屋、 WAMERWAMERの紹介
今回は2つの事例をみましたが、その他にも興味深い事例はたくさんあります
種を囲む人々の営みに共通していえるのは、市場経済の発達とともに私たちが
失ってきたものを、取り戻す可能性に満ち溢れているのではないか、というこ
とです
(リンク)
シリーズ4 固定種を通じて、当事者として皆が社会に関っていくかたちができていく
■ 人々の意識がどのように動いているか?
■ 固定種の可能性を、人々はどのように捉えているか?
■ 改めて、固定種の可能性とは?
人々の意識潮流「自給志向」と、固定種の持つ、社会的意義が合致するから
こそ、固定種をきっかけに、皆が当事者として、農業、地域、社会に関わり、
自分たちの地域や社会を自分たちで考えていく「町おこし」、「地域活性」、
「社会の再生」の大きなうねりを、現実のものとして起こしていけるのでは
ないかと思います。
(リンク)
以上、計5回に亘って様々な角度から“タネ“について考えて参りましたが、このシリーズを通して、まず見えて参りましたのは農業の基本となるタネの実態について、すなわち、F1種によって支配された農の形ではないでしょうか?
確かに戦後、そして高度成長期にあっては、F1種は正に救世種だったかもしれない。けれども現在に至っては、遺伝子組み換えや、ターミネータ種子なども開発され、様々な健康被害や環境汚染などが叫ばれています 😮
そして何より人々の意識は、シリーズ4の事例からも分かります様に、食の安心・安全などの域を超え、もっとその先の“何か”に向けられているのではないでしょうか
では“何か”とは何か?
3.11東日本大震災を契機に、人と人との繋がりも然り、原発事故を受けて、食の安心安全はもとより、将来の安心、次の世代への責任など、より大きな視点での、言い換えれば本質的な豊かさや安定を望むようになっているのではないでしょうか?
それに応える社会のかたちこそ、循環型・持続型の社会ではありませんか?
つまり、このタネを見直すと言うことは、まさに『新しい「農」のかたち』や、ひいては社会構造さえも見直すことになりうるということであります。
そして、それらを実現していくために私たちは今何を為すべきなのか?また、何が出来るのか?
今回ご紹介致しました 固定種 は、農の分野に於ける一つの可能性であります。今、各地で様々な活動が行われています。しかしながら、まだまだ周知を図っている段階であると言えます。また、農業として『固定種』栽培を実現していくには、まだまだ、沢山の課題があると言わざる得ません。
だからこそ、まずはお互いが様々な情報を持ち合い、共有し、取捨選択し、共認を図り、そして、それぞれが持ち場立場において、すべき事、出来ることを形にしていく事が肝要ではないでしょうか?
現在、全国でおよそ17000軒ほどの直売所があります。最近では 価格競争 など、やや本末転倒な方向に進みつつあるような感 もありますが、本来は農業や地域の活性化を目的としていたはずであります。
(タネから次代の農業を考える4 固定種を通じて、当事者として皆が社会に関っていくかたちができていく)
人々の意識潮流「自給志向」と、固定種の持つ、社会的意義が合致するからこそ、固定種をきっかけに、皆が当事者として、農業、地域、社会に関わり、自分たちの地域や社会を自分たちで考えていく「町おこし」、「地域活性」、「社会の再生」の大きなうねりを、現実のものとして起こしていけるのではないでしょうか。
ならば、農産物の売買だけに留まらず、事例に紹介しました様な活動や、コミュニティーの場としても直売所を活用していくところに、現実的な可能性を感じるのであります。
池に投げた小さな石が大きな波紋を作るが如く、或いはタイトルにもあります様に、一粒のタネがやがて実を結び、万のタネに連なるが如く、いずれこの小さな潮流が大きな渦となし、みんなで素敵な未来を実現して行けることを夢にみて、私たちもまた小さな一粒のタネをここに蒔きたいと思います。
ご愛読ありがとう御座いました。
投稿者 staff : 2013年05月19日 TweetList
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