農を身近に★あぐり通信vol.3:二極化する直売所~成長の秘訣は「農家のため」なのに逆行する戦略 |
メイン
2013年05月16日
タネから次代の農業を考える4 固定種を通じて、当事者として皆が社会に関っていくかたちができていく
これまでの固定種にまつわる事例を取り上げてきましたが、そこから見えてきたのは、固定種をきっかけに、市場的価値から本質的価値へ転換しようとする人々の意識の流れができつつある ということでした。
現在、野菜流通の7割が卸売を通しての流通 ですが、形や大きさが揃わない等の固定種の特徴からして、卸流通には向いていない事が分かります。物流量と効率が求められる現在の流通が、固定種のものに取って替わる可能性は低い と言えます。
そのため、固定種に求められることは、現在の流通で求められていることとは、また別のことであると言えるでしょう。 🙄
そこで今回は、もう少し踏み込んで、人々の意識がどこに向かっていくのか?そしてそこに固定種はどんな意味を持つのかを探っていきたいと思います。 😉
こちらからお借りしました。
○人々の意識がどのように動いているか?
現在の人々の意識として、注目すべき事象がありましたので、参考として、るいネット「8/12なんでや劇場4 業態革命~業態革命が必要となってきたのはなぜか」より引用します。
(引用開始)
70年の段階で既に市場の終焉は明らかであったが、その当時、99.9%の人々は、そんなことは夢にも気づかず、市場は薔薇色だと思っていた。実際、70 年代、80年代は、まだ伸びる余地は残っていた。しかし、さすがに85年、伸びる余地が無くなってくると、金融経済に舵を切り数字上だけの誤魔化しの経済 成長を続けてきた。
それが08年リーマンショックに始まって、今回の311をきっかけに、市場の終焉が潜在思念的にほぼ共認された。つまり、70年代・80年代と10年代の決定的な違いは、ここにある。
もし、そうだとすれば、市場からの脱却というベクトルは当然発生する。すると、とりあえずは自給自足という発想にいきつくのもわかる。
<中略>
市場の終焉を迎えて、統合階級は何をしているかといえば、とことん大衆からむしり取ることばかりしている。今回の消費税増税も、TPPも、何もかもそうである。この期に及んで、金貸しと配下の統合階級がやっていることは、とことん大衆から搾り取って自分たちの権力の延命を図ることばかりである。そうならば、もう市場から脱却してしまえ、というベクトルが生じてきたのも当然だろう。
従って、311以降、自給志向や自習志向が急激に高まってきたのは、直接的には、この支配階級からのアンチが決定的なファクターとして介在している。
(引用終わり)
リーマンショック、3.11と、衝撃的な出来事 が起こる度に、市場原理を前提とする今の経済の在り方に疑問 を感じたり、政府や専門家の、私たち庶民に対する虚偽を含んだ対応に不信感 8) を抱いた人も多かったのではないでしょうか。
そういった状況では、今の仕組みや体制から抜け出そうとする意識 が出てくるのは、当然であるように思います。
しかしながら、次に取りすがるものがないので、「まずは自分たちで 」となっているのが今の状況で、いわば「自給志向 」と言えるものがあるのではないでしょうか。
こちらからお借りしました。
○固定種の可能性を、人々はどのように捉えているか?
こういった状況を踏まえた上で、これまでの投稿を振り返り、固定種の可能性として述べられている部分を抜粋すると
「自家採種という技術的問題だけにとどまらず、種を一部の支配者の手から、みんなの手に取り戻して、循環型、持続型の社会を再構築して行く」
(「タネから次代の農業を考える1~種の歴史(種は、元々みんなのものだった!))
「農産物の市場的価値(大量生産・大量消費)⇒本質的価値(循環型の社会)への回帰の可能性を十分に秘めています」
「求める豊かさの質がより本源的なものへと転換してきている」
(タネから次代の農業を考える3.各地で芽生えるタネの輪)
これらの事例から見えてくることは、固定種に対する捉え方が、「農作物を作る種」という、農業の中だけの話にとどまらず、人と人をつなぐ関係、循環型社会の在り方など、広く社会へと向いている ことです。
そして、固定種が社会的に意義があることとして捉えられ、実際に固定種と関わることが、「自分たちの事を自分たちで考え、自分たちで作っていく 」事に繋がっている。
先ほど述べた「自給志向」という人々の意識潮流と合致していることからも、こういったあたりが、固定種の今後の結集軸になっていくように思います。 😉
こちらからお借りしました。
○改めて、固定種の可能性とは?
人々の意識潮流「自給志向」と、固定種の持つ、社会的意義が合致するからこそ、固定種をきっかけに、皆が当事者として、農業、地域、社会に関わり、自分たちの地域や社会を自分たちで考えていく「町おこし」、「地域活性」、「社会の再生」の大きなうねりを、現実のものとして起こしていけるのではないでしょうか。
固定種を媒介に、世代や地域を超えた、社会的なテーマへ向かう共同者を増やす活動、そしてそのようなつながりや集まりが様々なところで開かれているという、前回の記事にあった事例は、その可能性の実現体であるように思います。
社会を自分たちの手でより良い方向へ変えていける可能性ある固定種。
私たちは普段、農業に従事していますが、私たちもこの可能性を現実のものにしていけるように、実際の経営においても固定種に取り組んでいきたいと思っています。 😀
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
投稿者 keitaro : 2013年05月16日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2013/05/1419.html/trackback