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2013年05月11日

農を身近に★あぐり通信vol.3:二極化する直売所~成長の秘訣は「農家のため」なのに逆行する戦略

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みなさん、こんにちは。
今日は「直売所」について、るいネットより引用紹介します。
既存流通における中間マージンを超えて、農家自らが立ち上げた直売所。農家の手取りも増えるし、消費者からも安価で新鮮な野菜が手に入ることで急成長してきました。
ところが、そんな直売所も大きく変わろうとしているのです。
以下は産直新聞メルマガより引用です

農水省が提唱する「農山漁業の6次産業化」の影響もあり、農産物直売事業は、全国的にますます注目を集めている。農業地帯だけでなく、大都市住宅街や繁華街にまで、「チェーン直売」や「マルシェ」などが展開している現在、農産物直売所、一般に直売事業の現状をどのように捉え、いかなる未来を描くか?ー議論の一助となることを目指し、「論考 直売所の現在と未来」を連載する。
★★★急増する直売所
直売所は2000年代後半に全国で一挙にその数を伸ばした。2010年の農林業センサス(農林業に関する統計資料)によれば2010年の直売所数は全国で1万6829軒。2005年には1万3538軒だったので、5年間で3291軒、率にして約24%の急増を遂げたことになる。不況にあえぐ現在、これほどの店舗数伸び率を示す業種は他にはない。このことから「産直・直売事業は唯一の成長産業だ」と言われる。
特に直売所が急激に増加しているのは首都圏と近畿圏の都市部で、農業資材会社やタイヤ販売会社などが、大・中規模型店20数店舗の「直売所チェーン」を展開するような例もみうけられる。また、地方都市の集客力のある地点に県や市町村など行政と、地元JAが連携して大型店を開設するなどの動きも活発だ。道の駅建設と統一的に進められる例も多い。
★★★否応ない「二極分化」
このような急増傾向に影響されて、全国の直売所事情は、ますます発展し成長する集客力のある大型店と、集客・売上げでも、農産物の品揃えでも頭打ちとなり停滞から右肩下がりへと進む(開設10数年を経た)中・小規模店とに、「二極分化」する傾向を見せている。
ちなみに福岡県では、1億円以上を売り上げる大型店は年々増加し、全体の売上げ額もここ10年間で倍増しているが、中小規模店は軒数で30%以上が減少するという「二極分化」の典型的傾向が顕著になっている。
 一方で、売上げなどが頭打ちの店を「売る努力が足りない店」と評価し、「農業の発展のためには売れる直売所の育成と発展こそが急務」とする直売所経営コンサルなどもいる。農水省などの基本的見解も同様と思われる。他方で、この事態を、産地―中央卸売市場の流通ルートから外れた所に開花した直売事業が、弱肉強食の利益第一主義の論理に飲み込まれつつある危機的事態として捉える人々もいる。

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★★★「いつか来た道」
直売所の店舗数の増加は、当然のことながら隣接する直内所間の競争の激化を招いている。品質や品揃え、接客態度などをめぐる、健全で前向きな競争は歓迎するべきだろうが、事態はそう甘くない。「水は低きに流れる」の例えどおり、価格競争、値引き競争が直売事業の中にも広がり始めているのだ。
西日本のA地域には、丘の上に店を構え賑わう有名な複合型直売所があるが、そこに至る道の登り口に直売所を開き、丘の上の値段よりも低い価格設定をして、売上げを伸ばしている団体もある。丘の上の店は「値下げ競争には与さない」という姿勢だが、客が登ってこないのでは話にならない。意に反して、価格面での対応も余儀なくされている。
東日本のB地域では、地方自治体が主導して幹線道路沿いに道の駅併設型の大型直売所が開設。おしゃれで綺麗な店づくりが地元女性の心をつかみ、大繁盛している。その一方で、周辺に以前よりあった20店舗ほどの中小規模の店は目に見えて客数が減った。新規開店の大型店は、高品質・おしゃれ・豊かな品揃えをキーワードに店舗を運営しようとしており、必ずしも低価格のみを売りものにしているわけではない。むしろ、窮地に追い込まれた既存店の方が、集客の対抗策として「値引き」しか方法を思いつかないため、「弱者から仕掛ける値引き競争」のような皮肉な形が発生しているのである。
これらはほんの氷山の一角である。

長野県内の直売所の運営者の中には、以前スーパーなど食品流通業に勤務した経験のある人が多い。彼らは、こうした全国に広がる事態を表して「俺たちが『あれだけはもうやりたくない』と思って業界を辞めた安売り競争と同じ構図だ」と口をそろえる。
★★★初期投資の大型化
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いうまでもなく、直売所は、農家が自ら生産したものを持ち寄り、力を合わせて販売することで出発したものである。当初は、系統出荷ではねだされた規格外品の換金が主な目的だったが、「農家が直接売る」という事業形態が、従来の系統出荷―中央卸売市場経由の流通において各段階でかかっていた中間マージンを排し、輸送経費や梱包資材費などを節約することにつながったため、農家には手取り収入を増やし、消費者には良品の比較的廉価での購入を可能にするという予想以上の経済効果をもたらした。
直売事業が、その発生以来30年ほどの間に急速な発展を遂げた経営的理由は、まさにこの点にあると言ってよいだろう。
直売所のこうした発展史において店舗開設の経費などイニシャルコストはもともと極めて軽微なものだった。農家の雨戸を販売用の棚に使った戸板販売、その上に雨除け用のテントをかけた青空市…農家が力を合わせ、自ら販売する直売所は、はじめは店舗や設備にはお金をかけず、商売が徐々に繁盛する中で、順次、店構えやレジ設備などハード面を整備してきたという歴史を持つ。
ところが、現在、全国的に広がりつつある事態は、それとは様相を異にする。
「売上げ27億円」とか「年商17億円」とかの先進成功事例がクローズアップされ、「唯一の成長産業」とされる直売事業で、「日本に冠たる大型有名直売所」を目指して新型・大型店舗が企画され、開設されているのである。それを指導する直売所経営コンサルも競い合って成功事例づくりに励んでいる。
このようなビジネスプランでは、当然、初期投資が大型化し、その回収が至上命令となる。開店直後から多くの客が殺到し、人気が人気を呼ぶ展開が店舗運営上不可欠となり、その目玉が、品揃えの面白さと価格設定の低さになるのである。
もちろん現在新設される大型直売所は、最新の経営理論を適用し、様々なコンサルタントが関わっており、単に、価格の面だけで話題作りをしようとしているわけではない。「そこだけにしかない」特産品づくりと、それにまつわるストーリー作り、客層分析に基づく店のコンセプト設定、至たれりつくせりの各種サービスなど、値段以外の訴求力を最大限作り出し、生かそうとしている。
しかし、こうした経費をまかなうため、「価格の魔術」も同時に、また、確実に駆使されているのである。特に、大型店化し、初期投資が大きくなっている以上、伝家の宝刀「価格訴求力」が重視されるのは、経営上あまりにも当然のことなのである。
こうして、農家の手取り収入を増やすために出発した直売所の「業界」に、農家泣かせの「安売り競争」が普遍化していく仕組みがつくり出されようとしているのである。

市場原理からの突破口として始まった農家のための直売所が、再び市場原理競争に入って行くという矛盾に陥っています。
しかし、時代潮流を読めば、市場原理に向かうよりも共認原理での運営戦略を取るほうが突破口だと思われます。「農家のためになる」という理念を外しての、安易な価格競争は自らの首をしめるだけではないでしょうか。
これを実現するためには、みずほの村市場のような高品質=高単価の商品供給とそのシステム、そしてなによりもその理念を支える外圧状況をもとにした認識にあると思います。
つまり、単なる商品供給だけでは新手のスーパーと変わらない。いかに理念を打ち出せるか、そこにお客さんをパートナーとして巻き込めるか。
商品はその外圧状況⇒次代認識に裏打ちされた理念のひとつのカタチである。これがカギだと考えています。

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投稿者 hirakawa : 2013年05月11日 List   

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