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2011年08月18日

経済危機・震災を機に、共同体企業が食と農の再生を実現してゆく



図解は経済危機・震災を機に、日本の農業を再生する~現状分析編~より
農への安心、安全の期待や食料自給の期待は、今回の原発事故による放射線の問題や経済危機、自然災害が起こる以前から存在していました。しかし、これらが実現してこなかったのは、市場原理に代わる実現基盤がなかったからだと言えます。
けれども、今回の危機はこれまでの市場原理からの脱却へのチャンスでもあります。この危機的状況を180度認識転換して捉えれば「みんなでなんとかするしかない」という意識から「共同体の再生」、「自然の摂理に根ざした生活」への大転換への可能性が開かれ、日本の食と農が再生していく実現可能性が開かれたとも言えるのです。
では、具体的にその実現基盤とはどういうものなのでしょうか。
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1 私権収束から共認収束への大転換

ところが’70年頃、先進国では豊かさがほぼ実現され、貧困の圧力が消滅してゆく。その先頭に立つことになったのが、日本である。
貧困が消滅すると、私権を獲得しようとする欲求=私権欠乏が衰弱してゆく。従って、物的欠乏も衰弱し、市場は縮小せざるを得なくなる。
(中略)
つまり、’70年、先進国は大きな転換点を迎えていたのである。
(中略)
他方、それほど旧観念に毒されていない普通の人々は、’70年以降、私権収束から脱して共認収束を強めていったが、それは貧困の消滅に伴う必然的な帰結である。
なぜなら、貧困の圧力に基づく私権の強制圧力が衰弱してゆく以上、人々が人類本来の共認原理に回帰してゆくのは必然だからである。
現に、大多数の普通の人々にとって、人々の期待に応える充足こそが最大の活力源になっており、今やこの期応収束⇒課題収束こそが、中心的な意識潮流となって健在化してきている。さらには、このような潮流の中から、共認原理に則った共同体を志向する企業が次々と生まれてきている。
(中略)
物的な豊かさが実現された以上、私権収束⇒私権統合の社会が終焉し、共認収束⇒共認統合の社会(人々が、状況を共認し、課題を共認し、規範を共認し、それらの共認内容に収束することによって統合される社会)に移行してゆくのは必然である。
現在の、意識潮流の先に人々が求めているものも、間違いなく共認社会(古い言葉で言えば、共同体社会)であると言えるだろう。潮流予測1 私権収束から共認収束への大転換

1970年、貧困の消滅→豊かさの実現によって既に大衆の潜在意識では私権収束による市場原理から共認原理への脱却は実現していたのです。しかしその顕在化を阻んでいたものこそが、残存する私権制度を支える官僚やマスコミ、あるいはアメリカ支配による市場の延命措置であったのです。

これらの可能性の蓋を取っ払うこととなったのが、今回の危機による外圧の高まりであり、これらの潮流をさらに加速させ、顕在化を推し進めつつあります。
だからこそ180度認識転換をすれば大きなチャンスだと言えるのです。

2 農業本来が持つ多面的機能への期待の高まり⇒地域共同体再生期待に応えるのは企業の共同体化
では、共認収束の潮流から、どのようなカタチがうまれてきているのでしょうか。
1)農業本来が持つ多面的機能への期待の高まり
1で述べた大きな意識潮流の変化はそれまでの農業に対するイメージも徐々に変えていきました。単に作物を作って売るという行為だけでなく農業には本来農業が持っている多面的機能に対する期待が高まってきました。
例えば、農という仕事に対する期待は、個人課題では得られない仲間との充足を得られる課題として、農に対する環境保全的期待あるいは癒し効果の期待や老人の役割創出期待などもあげられます。
加えて経済問題、環境問題に匹敵する問題として精神破壊の問題がありますが、農における生産圧力が、教育機能を再生していくことも期待されます。
これらの多面的機能は、村落共同体における農村が本来、持っていた機能です。%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BD%93~1.JPG
2) 自分たちの場を自分たちで作る⇒企業の共同体化
上からの序列で統合するのではなく、社員たち自らが自らの場を作っていくという共同体的企業が徐々に増えてきています。
例えば、以下のような事例があります
共同体の再生を事業化する『類農園』
単に作物を育てるだけではなく、地域の子供を育てる、社会の役に立つ子供を育成するといった目的から自然体験教室などを展開。また、バイトもインターンシップ生、研修生、社員もひっくるめ、みんなで事実を共認し農園という場をつくっていこう、と企業の共同体化を実現されています。
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給料減に備え「自給自足」 株式会社アシスト
仕事の根幹は人と人にあるとして、顧客に対しても、パートナーに対しても、社員に対しても常に誠実に対応し、みんなで会社を作り上げていくということを企業理念とされています。どんな状況になろうとも社員の生活を守るとし、どんなことでも期待してもらうことを奨励されています。
自分で作って自分で食べる「自産自消」する社会を目指す企業「マイファーム」
自分で作って自分で食べる「自産自消」する社会を目指すことを目的に、貸し農園、村おこしや生産者支援、農業指導教室、農業体験事業などを展開し、農の多面的機能を再生していこうとされています。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=192478
農が本来持つ多面的機能は、地域共同体が育んできたものです。これらの再生期待に対し、一部の企業が共同体化してゆくことで実現されてきつつあるのです。
3 共同体企業が食と農の再生を実現してゆく
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上記の潮流がどんどん加速していくことで、「市場から脱却した食の生産」をこのような共同体企業が担っていくことになっていきます。
最初はおそらく農業に従事する企業は限られ、先行して地方において農業に従事する共同体企業が少数現れ、徐々に企業同士がノウハウや成功体験を共有することで企業単体では超えられない壁をも突破していくことが可能となります。こうして共同体企業NWが形成されていき、将来的には地域ごとの共同体企業が連携していき地域ネットワークが生まれてくることになるでしょう。
そこでは「市民皆農」や「半農半X」といったライフスタイルが実現していき、また、国家が再統合されて新政府が形成された場合に、国家からの助成を大幅に増やしたり、企業の農業参入を奨励する政策も実現していきます。
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市場原理下ではなによりも利益が優先であり、大量生産大量消費の前提は、近代化を推し進め、多くのエネルギー問題や環境問題などを引き起こしてきました。その結果、食糧の高騰などが引き起こされ、外国との貿易問題ともあいまって食糧自給率の低下を引き起こしました。
しかし、これまで全ての生物は、自然の摂理に則って生活をしてきました。自然がもたらす野菜や動物を自然の循環の中で頂き、同様に自然の循環に返すことを繰り返してきました。自然の摂理に根ざして生活していくこと、これが自給自足の本来の姿です。
今回の危機→市場原理からの脱却そして共同体企業による農業参入は、自然の摂理に則った生活の再生を実現していきます。
自分にとって儲かるか否かが判断軸であったところからみんなにとって必要か否かの判断軸で作物をつくる。市場原理下にはないわけですから、大量生産というカタチにはならず、必然的に必要なものだけをつくり、地産地消に向かっていきます。
結果、食の確保が実現すると同時に、農業に期待される多面的機能も実現してゆくことになります。
農と食の再生がいよいよ実現されていく時代となったのです。
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こうした企業の共同体化、NWをさらに進めていくためには「脱市場原理」⇒「共認原理に即した企業のあり方」を経営者をターゲットとして認識転換やそのための人材育成をしていくことが必要となります。
逆を言えば、まずこの認識転換も含めて企業のあり方などをコンサルしていくこと、これ自体も共同体企業のNW化につながっていくのではないでしょうか。
農と食の再生をしていくためには、共同体の再生が不可欠であり、企業の共同体化を推し進めていくことが今後の大きな課題となっていくのです。

投稿者 hirakawa : 2011年08月18日 List   

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