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2010年08月16日

「日本は世界5位の農業大国~大嘘だらけの食料自給率~」の書籍紹介(2)

「日本は世界5位の農業大国~大嘘だらけの食料自給率~」の書籍紹介(1) のつづきです。
◆耕作放棄地の増大は、何ら問題が無い
確かに、農水省は農業基盤整備と称して、中山間地に至るまで営々と農地開発を続けてきました。そして、一般に耕作放棄地は、農業従事者の高齢化問題などと並んで問題として取り上げられるます。ところが、浅川氏は何ら問題は無い、と一顧だにしません。何故か?
土地の条件が悪くて、無理しても農耕に適さないから、合理的な理由で放棄されただけのこと。「一度放棄された農地は回復が半永久的に困難」という通説も現実を知らなさ過ぎる。荒地を回復するには、事業農場が使いこなせる重機があれば十分。むしろ、耕作放棄地の増大は、成長農場が需要増に応じて安く借りられる、あるいは購入機会が増えるので、メリットになる(浅川芳浩裕氏)と云うのです。
確かに、放置されて草木や樹木が繁茂した(元)農地を人力で再開墾している状況をイメージしてしまうのは、時代錯誤といえそうです。また、自然農法などを志す人にとっては、有機物質の還元が自然とされるので魅力的な物件となるとも云える位です。
一般に、放棄耕作地問題を深刻に受け止める人々は、近代農業における生産効率の問題がわからないことに起因しているようです。次にその点を見てみます。

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◆日本の農家数は、まだ多すぎる!?
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  ▲「日本は世界5位の農業大国~大嘘だらけの食料自給率~」 P.121より
これも「ビックリ」の視点です。ひとりの農業者が年間にどれだけのカロリーを算出したかをグラフにしたものを見ると、1960年には7人分であったものが、2005年には30人分まで賄えるようになった(浅川芳浩裕氏)、といいます。農業生産効率がそこまで上昇してきているのです。
先進国で、農家が人口に占める割合は、英国:0.8%、米国:0.9%、ドイツ:1.0%に対し、の本は1.6%と突出して高いので、日本の農家数はまだ多すぎる、というのです。
面積30アール以上、または年間の農産物販売金額が50万円以上の農家約200万戸の販売農家のうち、売上1000万円以上の農家はわずかに7%の14万戸。しかし、彼らが全農業生産額8兆円のうち6割を算出しているのだそうです。また、売上3000万円以上の農家は3万戸あり、販売農家の1.5%に相当しますが、生産額の30%を稼ぎだしております。売上1億円以上の農場・農業法人は、販売農家戸数のわずか0.25%の5000事業体に過ぎないものの、それらが生産額の15%稼いでいるそうです。残りの9割に相当する180万戸強の農家は、売り上げ100万以下、国内生産高のわずかに5%貢献しているに過ぎないというのが実態のようです。(*数字は原文のママ)
ザックリととらえると、17.5万戸(8.75%)の農家が農業生産額8兆円の95%を生産し、180万戸(90%)の農家は売上100万円以下で農業生産額の5%に相当する、と云うことらしい。(*原文の情報を累計していくと矛盾があるので丸めました。)
◆農家の高齢化の実相を知ると、むしろ希望が湧いてくる
農業従事者の高齢者は、3タイプに分類できるそうです。
イ】農家出身のサラリーマンや公務員で農業経験組み:約7割
  定年前から週末農業を楽しんできた兼業農家で、
  定年後も退職金をもらって悠々自適の農業を続ける人達。
ロ】農家出身のサラリーマンや公務員で農業未経験組み:約1割
  在職中は農業をやっておらず、定年後に趣味の農業を始めた層。
  新規に農業を開始した人の中でこの人達の比率が圧倒的に高い。
ハ】農業を主業としてやってきた人達:約2割
  農業収入は赤字でも年金と子供からの仕送りで農業を続けている。
  息子が農業を継いでいても統計上は、65歳以上の農業者。

これが農家の高齢化の実態で、8割の擬似農家が「統計上の高齢化」を引き起こしているに過ぎない。農業生産を左右する問題という捉え方は、農水省がその問題を解決するために存在するのだ、ということを喧伝しているに過ぎない。それでは戦後混乱期の日本の食を支えてきた諸先輩に対して失礼だ、というのが浅川氏の意見です。
彼らは老後も農業で働ける生きがいを持ててすばらしい、と見守るべき存在なのだ(浅川芳浩裕氏)。なるほど、と思います。「擬似農家」とは、そのように捉えた概念なのだと分かって、正直ほっとします。
集団や社会にとって「食の確保」は根源的な普遍課題なゆえに、みんなの充足課題となるものです。
それゆえに、日本の農業の特色ともいえる兼業農家(擬似農家)とは、豊かさを実現した時代以降に再来する『市民皆農の時代』へと繋ぐ橋渡しとなる存在なのかも知れません。
  by びん    つづく

投稿者 staff : 2010年08月16日 List   

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