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2010年01月11日

2章 気象エンジンが育む地球の生命

前回(http://blog.new-agriculture.com/blog/2009/12/001038.html) の続きで、「地球生態学」で暮らそう(槌田敦著/ほたる出版)からの紹介記事です。
自然の摂理を知っている方にとっては、云わずもがなですが、もうちょっとお付き合いください。
■気象エンジンとは、何か?(P.46)

 「地球は宇宙船地球号ではなく、純粋の熱機関(エンジン)である」(槌田1976)
地球は、所有する資源が枯渇して活動を閉じる宇宙船ではなく、地球の外(太陽9から資源を得て、地球の外(宇宙)へ廃熱(余分のエントロピー)を捨てて活動を維持するエンジンである。
地球の熱収支は以下の通り。

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▲「地球生態学」で暮らそう(槌田敦著/ほたる出版)P.51 より

 ここでの注目点は、

 「平均温度15℃の地表が放熱する熱113のうち、107の熱は大気中の水蒸気が吸収し、そのうち96の熱を地表に向けて逆放射する。水蒸気による温暖化効果である。
 このように水蒸気による温暖化効果(96)は直射太陽光(47)の倍もあることは注目に値する。地球が暖かいのは、俗説でいう大気中の二酸化炭素(CО2)による温暖効果ではなくて、水蒸気(H2О)による温暖化効果なのである(槌田1992)。(P.50)」
 直射太陽光と温暖化効果の合計は143(=47+96)となるが、地表の水が地表から24の熱を吸収して蒸発して水蒸気になるので、地表を暖める熱量は119(=143-24)に減って地表は冷やされる(=地球の「水冷」機能)。
 蒸発した水蒸気は空気よりも軽いので上昇気流となり、そのとき風が生ずるので地表の熱を奪う(=地球の「空冷」機能)。よって、地表に溜まる熱は113(=119-6)となる。シュテファン・ボルツマンの法則で計算すると、1970年代の地球の平均温度は15℃になるという。

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■宇宙への熱処分メカニズム(P.52)

 水蒸気を含む大気は軽いので上昇するが、そのことにより気圧が減って膨張する。気体は膨張すれば温度が下がり、露点に水蒸気は雨や雪となり落下する(=水循環の発生)。水蒸気が雨や雪になるとき、水蒸気の熱は大気に渡されるので、大気はますます軽くなってさらに上昇をつづける。そして、高度5900m前後で大気温度はマイナス23℃になり、宇宙へ64の熱を遠赤外線として放射する。熱放射によって熱を失った大気は重くなり、下降気流となって地表に降りてくる(=大気循環の発生)。
 大気の循環に30(=24+6)の熱が15℃(高熱源:T1)の地表で入り、マイナス23℃(低熱源:T2)の大気上空で宇宙に向けて放出される水循環と大気循環は、地球エンジンの内容である。このようにして地球上の諸活動によって発生した余分の熱エントロピーを宇宙へと放出・処分することで、地球上の雨、風、生命などの活動が保証されている。

■陸の生命は雨が育てる(P.58)
 生命は、水に溶けた養分を吸収して育つ(リンク:http://blog.new-agriculture.com/blog/2009/12/001038.html)。その水を届けるのは雨である。雨水は地中に染み込み地中の養分を溶かして植物というエンジンに提供するので、陸の生命は雨が育てる。
 その雨は、どこから提供されるのだろうか? 日本のような細長い島国に住んでいると、それは海の蒸発がもたらすものと考え勝ちだが、大陸の内陸部にあっては、大陸で蒸発した水が大陸に降ることによる、というのが新鮮な気付きである。

 地球表面の約7割は海で、海から陸に運ばれる正味の水蒸気量は3分の1で、陸部からの蒸発した水蒸気が3分の2である(浅い1981)というのだ。雨水は地下水から伏流水となり、生物に必要な養分(ミネラルetc.)を岩石から溶かし出し湧水となって川になることで、砂や粘土にして平野に溜めた土が植物を支え養分を提供するのだ。

■雨が沿岸海域の魚を育てるP.60)
 雨水が地下水になって地中の養分を溶かして、湧き水から川になって海に注ぐので、その養分で沿岸海域の魚が育つ。従来、「山が(沿岸)漁場を豊かにする」と云われる所以である。川の水は真水であるので、塩分を含む海水より軽いので、川の水は海面を滑るように流れるので、それにより養分は沿岸に留まらず海洋の広域にまで広まる傾向を示す。
*一方、陸は養分を失い、陸の砂漠化をもたらすという問題をはらむこととなる。
■風が遠海の生命を育てる(P.61)

 赤道付近では上昇気流、温帯暖部では下降気流になるので海面部では赤道に向かっての風をもたらすが、地球の自転の影響を受けてコリオリの力が働くので、赤道を挟んで偏西風(貿易風)が吹くので海流も西向きとなる。
 コリオリの力は海流にも働き、北(南)半球では北(南)側に曲がろうとする。そのことにより、養分をたっぷり含んだ深海水が湧昇してくるので豊かな漁場となる。

出典:「地球生態学」で暮らそう(槌田敦著/ほたる出版) 
   (つづく)  by びん

投稿者 staff : 2010年01月11日 List   

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