途上国を市場に巻き込んだ「緑の革命」 |
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2009年02月16日
先進国の農業保護政策が途上国を食糧輸入国に追い込んでいる
こんにちわちわわです。
こうなったら勢いで、続きます。
途上国や日本が食糧輸入国である最大の原因はグローバリズムと先進国の国内農業保護政策にあります。
これは、安全保障に基ずく国家戦略であり、その意識の希薄な日本や国家意識の低い途上国はまんまと嵌められているということです。
しかし、ヨーロッパの農業に対する意識の高さなどは見習うべきところはたくさんあると思います。
アメリカこのやろ!と思った方↓↓ぽちっと!
【ガットウルグアイラウンド=EU VS アメリカの貿易紛争】
第二次世界大戦後のヨーロッパ諸国は日本と同様に荒廃した国土と生産者不足により、農業生産に大きな打撃を受け、ひもじい思いをすることになった。
そこで、欧州各国は共同体を組み、関税同盟を成立させ、共同で復興の道を歩むことにした。
そして1968年、ECは共通農業政策をおこない、直接支払いという補助金で市場価格と農家の受け取り金額の差を是正し、農家を保護しながら域内の食糧の増産を試み1980年には自給率100%を達成した。
しかし、生産調整を行わず、農家に作りたいだけ作らせたために、バターの山、ワインの湖といった大量の余剰が発生してしまい、これに輸出補助金を付けて、国際市場でダンピング輸出をした。
慌てたのは農業の一大輸出国アメリカである。
アメリカはこれまでECに穀物を輸出していたのだが、この市場が無くなるばかりでなく、他の市場もECに略奪されたのである。
アメリカもECとよく似た不足支払いという補助金政策をとっていたのだが、ECとの価格競争のため国内の補助金を引き上げざるを得ず、農産物の分野で貿易赤字に転落してしまった。
こうした状況下、アメリカがECに輸出補助金の削減を要求し貿易紛争に発展したのが、ガットウルグアイラウンドである。
ウルグアイラウンドの締結により、輸出補助金は撤廃され、貿易障害を生じさせる補助金や施策を全て関税に移行し、期間を設けて順次関税率0%に削減してゆくことが取り決められた。
日本の牛肉やオレンジも貿易自由化され、大量の安価な輸入品に押され、畜産や果樹農家は壊滅的打撃を受けた。輸入拒否していた米については高関税率を維持する代償として、最低限の輸入(当時4%から順次引き上げ)ミニマムアクセスを認めざるを得なかった。工業品の輸出関税の削減を求める日本にとって、農業の保護政策を切り捨てたのである。
しかし、ECの農家への直接支払いや、アメリカの不足支払いの補助金は輸出品の市場価格の決定に当らないとして存続された。
これらの補助金により低価格に設定された穀物価格下では、労働賃金が安い中国やインドでさえ国際競争に太刀打ちできない。
先進国のように補助金の出せる余力の無い途上国は国際競争に敗れ食料輸入国に転落し、農家を窮地に追い込んだのである。
【先進国の補助金による農業保護政策が日本や途上国を食糧輸入国たらしめている】
実は、日本以外のほとんどの先進国が100%前後の自給率を維持しているのは戦略的な手厚い支援の結果であり、日本は保護削減の世界一の優等生であるから自給率が下がった、と整理した方がわかりやすい。
つまり、日本の食糧生産が高関税と過保護な国内支援で守られているというのは間違いであって、関税が高かったら、我々の体のエネルギーの60%もが輸入に頼るほどに輸入食品が溢れるわけがないし、関税が低くても、国内補助が十分なら収入が十分得られるから、担い手も育ったであろう。農業所得に占める政府からの補助金(直接支払い)の割合は、米国で5割前後、フランスで8割、スイスでは100%近くなのに対して、日本では16%程度なのである。
米国も、競争力があるから輸出国になり、自給率が100%を越えているのではなく、食糧生産への手厚い支援によって、国内需要を上回る食料生産が常に確保され、かつ、その余剰食糧を世界の人々の胃袋を握る武器として戦略的に活用できたのである。それは、農家の手取りは別に補填する一方で、販売価格は低くするという「隠れた」輸出補助金による「攻撃的保護」で達成されてきた。
米国などの輸出国は「輸出補助金は全廃すると約束した」と言いながら、隠れた輸出補助金を温存したまま、輸入国のさらなる市場開放を迫るという不公平な要求を続けている。
この補助金による先進国の農業保護と、余剰の輸出政策こそが、途上国を食糧輸入国たらしめている最大の要因なのである。
しかし、見逃してはならないのは、農業に対する各国のスタンスである。特にEUでは農業の食糧供給以外の付加価値を評価し、その分を税金から直接農家に支払っていることを域内の人々は十分承知しており、自国の農産物に誇りを持っている。そのため、フードマイレージや地産地消を強制ではなく、自発的に行っている実態を日本は見習う必要があるのではなかろうか。
例えばスイスでは、ドイツや英国との食料品との競争には、割高でも、有機農業、動物愛護、生物多様性、等に徹底して取り組めば、国民が支えてくれると確信している。確かに、スイスの卵は1個60円~80円するが、20円の輸入物に負けていない。ケージ飼いが禁止され、野原でのびのび育った鶏の価値を評価する国民が、ケージ飼いの輸入卵は安くても「本物」ではないという気持で支えている。また、「これを買うことで農家の皆さんの生活が支えられ。それによって自分達の生活が支えられているのだから当たり前でしょ」と小学生の女の子が答えたという意識の高さにも驚く。
そのように割高でも買い支える気持ちとともに、価格に反映できない部分は環境や景観の維持などの多様な側面でお世話になっている対価として市民がお金を集めて別途支払うべき、という認識の下に具体的かつ詳細に理由付けして直接支払いが充実しているのが欧州でなのである。
投稿者 tiwawa : 2009年02月16日 TweetList
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コメント
投稿者 ∫mosimoboxdx : 2009年8月21日 11:51
興味深い面白い記事です。
また続きを楽しみにしています。
投稿者 mimi : 2009年8月21日 15:47
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投稿者 poblacht na h¨¦ileann hermes handbags : 2014年1月29日 02:27
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投稿者 wholesale bags : 2014年2月10日 17:23
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投稿者 hermes black wallet : 2014年2月18日 05:25
つい最近自給率が40%から41%になったと騒いでましたけど正に食料自給率騒動ですね!
たった1%の上昇が何を意味してるのか?食料自給率が今後どう推移していくのか?気になるところです!