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2008年12月19日

『P』の秘密(リンって、なに?)4 ――日本が先鞭をつけることの意味――

前回 の続きです。
◆逼迫する日本のリン不足問題!
リンの産出量は、上位5カ国〔中国(3500万t)、米国(2970万t)、モロッコ(2800万t)、ロシア(1100万t)、チュニジア(770万t)〕で総量の3/4を占めるほどに偏在しているようです。
ですから、「中国がリン製品に100%の特別輸出関税を課税」 をかけたり、「米国が輸出禁止措置」 をしようものなら、たちどころに高騰を来たし、100%輸入に依存する日本は窮地に立つことになります。
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●リン鉱石の国別年次別輸入量(単位 t)  日本
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暦年          2005年   2006年   2007年
————————————————-
中華人民共和国  387,333  260,812  275,389
アメリカ合衆国     ――    ――    ――
イスラエル       11,700   16,940   13,904
南アフリカ共和国 111,274   148,923  123,953
ヨルダン       149,420  165,350  151,450
モロッコ        111,930  184,817  131,827
————————————————-
総計          774,297  783,522  722,105
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*出典: 財務省貿易統計(2005~2007年)

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◆問題点とはなにか?
●低いことの問題
日本のリン鉱石埋蔵量がゼロということで、自給できないことも問題なのですが、肥料として与えても作物の吸収率が約10%と低いことが問題のようです。土壌の質や施肥の時期によってその効果が左右されるため、管理が難しいといいます。研究はされているので、農業生産者がその成果を学んで効果をあげることを期待したいです。
●多いことの問題
効果が低いことを懸念する余り多投する事や、土壌の保持力が低いことで圃場域外に流出ことが環境負荷を増大させています。
●タイムスパンの違いによる問題
化石燃料の問題と同様に、リン鉱石ができるまでには悠久の時を要しますが、それを活用し切ってしまう時間とに乖離がありますので、早晩に埋蔵資源が底を尽きかねません。
◆可能性の探索
リン成分を含んだ生活排水が赤潮問題を起こしたときの水処理技術が今、陽の目を見つつあるようです。
実験プラントに於いては、リン回収率は高まっているようです(「汚泥減容化とリン回収」)が、如何せんコストがちょっと割高(*リンが2倍に高騰した現在でも約5倍かかる・・・)で、かつ、その製造工程からくるイメージがイマイチ、ということにも拘っているようです。
◆どうする? リン不足問題!
●コスト上昇傾向は否めない

>米国地質調査所 (United States Geological Survey; USGS)
は,リン鉱石とは $35/トン以下のコストで採掘できるものと定義している。従ってこの基準が変動すれば,当然推定埋蔵量も変化する。(「リン資源枯渇の危機予測とそれに対応したリン有効利用技術開発」)

ということで、リン鉱石の埋蔵量推定は、かなり主観的なものに成り勝ちなようです。しかも、レアメタル同様に戦略物質として扱われることを考慮すれば、大国の思惑が大きく働いてくるとみるべきでしょう。
更に、ローコストで採掘できるものは減少してますので、コスト上昇傾向は加速していくと思われます。

「厠と豚舎が一体」=最短の「リン」循環
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>猪圏 (明器)
>猪圏は厠と豚舎が一体となったもので、極めて写実的に作られている。関野は家屋関係の明器に関心があったらしいが、主屋の構造を示す明器は少なく、付属施設をかたどるものだけが集められた。 (「関野貞の朝鮮・中国の調査と収集」より)

●江戸時代のリサイクル精神に学ぶ
江戸時代に、カマドの灰や人糞を肥料に使って元素循環させたように、排水からリンを含む有効資源回収をすることでリサイクルの輪を廻していく事は、環境負荷を低減するという課題をも同時にクリアできます。
リンは比重が重いので、海洋に開放すると大循環はしますが、とてつもない時間がかかります。その点、江戸時代の屎尿利用は小さな循環を促進していたわけです。排水からリンを回収するということは、同じような効果があり理に叶っているといえるでしょう。
世界同時食糧危機
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081017.html
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081019.html
のようなアメリカ一極支配に翻弄されないためにも、資源を持たない日本が、世界に先んじて問題打開の道筋を示すことに意味があます。まさしく、『日本の歩んだ後に、道ができる』でありたい。
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★バックナンバー★
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『P』の秘密(リンって、なに?)3
◆リン鉱石(①リン灰石と②海成リン鉱石)の成因
◆局在するリン鉱石資源
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『P』の秘密(リンって、なに?)2
◆ヒト・作物・土壌の構成要素としての「リン」
◆大循環する「リン」
◆リン鉱石の登場(有機物から無機物への転換)
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『P』の秘密(リンって、なに?)1
◆「リン」の発見
◆生物にとっての「リン」
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     by びん

投稿者 staff : 2008年12月19日 List   

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コメント

確かにそうですね!
私たちは自然の摂理の中で生きているのに、己の欲求の為にあたかも自然が悪者の様に扱われ自己正当化してますね。。。
でもみんなの意識の中には自然を受け入れて作った旬の物がおいしいという感覚もあります。
季節・旬を楽しむ本来の日本を取り戻していきたいですね!

投稿者 ∫mosimoboxdx : 2009年6月9日 10:11

確かに、近代の農業(農法)は、人間にとって都合が良いという方向で、進歩(?)してきたということができると思います。
 でも、本当は、その土地、季節に合ったものを栽培し、食べて生きて行くということが、文字通り、自然の摂理に則った(自在な)生き方なのだと思います。その追求成果の一つが、暦ではないでしょうか。

投稿者 naganobu : 2009年6月9日 20:58

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