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2008年12月15日

食糧危機!!新しい農のかたちとは?!第四章日本の農業の危機【村落共同体の解体~個々に解体された消費構造】【豊かさ実現から市場の縮小過程へ】

グラセオ「食糧危機!!新しい農のかたちとは?!」
第四章【村落共同体の解体~個々に解体された消費構造】
     【豊かさ実現から市場の縮小過程へ】
戦後の日本における農村の衰退は、市場の拡大と密接に関係しています。
そして、「豊かさ」が実現した今、私たちに本当に必要なのは?
グラセオも最終章にむけて、ラストスパートです。

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【村落共同体の解体~個々に解体された消費構造】
 戦後、貧困からの脱却=豊かさの実現を目指す日本は、工業化によってそれを実現する方針を打ち出した。貧しい国民にとって、豊かさ=私権の獲得であり、豊かさを実現するためには金が必要となる。農産物は幻想価値がなく安価であるのに対し、工業製品は幻想価値によって実質価値よりはるかに高価になっていく。農業では手間やコストにみあった収入が得られず、農村はどこまでいっても貧しさから抜け出せない。一方、都市は、工業化を進め、復興・発展の中心となり、アメリカからの新しい文化などの先端になっていった。農村では私権追求の可能性を見出せない人々(特に若者)は、都市に惹かれ、都市に行けば豊かになれるという希望を抱き、都市へ出て行った。工業発展を支える安い労働力を必要としていた都市では、農村から流入した人々が賃金労働者として、また消費者として市場拡大の原動力となっていった。1950~60年代、日本のあちこちでこのような農村から都市への大規模な人口移動が起こった。
 若い人々が流出した農村では、かつてあった共同体は崩壊し、農業の担い手は残された高齢者になってしまった。一方、都市へ流入した人々は、ひたすら個人の私権を追求し、市場経済に飲み込まれていった。農村と都市の格差が拡大し、共同体が崩壊し、人々が個人へ解体されることで、市場はますます拡大していった。
参考投稿
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=147444
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=145298
【豊かさ実現から市場の縮小過程へ】
 しかし、日本は1970年代に貧困を克服する。農村からの人口流入はストップし、労働者の賃金も上昇する。大多数の人々が豊かさを実現した結果、私権獲得が最重要課題ではなくなり、「金がすべて」ではなくなった。金を指標として、豊かさ追求を活力源とする市場社会は閉塞していく。言い換えると、私権獲得という目標に収束することによって統合されてきた社会は、私権圧力の衰弱とともに統合力を失って閉塞していくのである。
 目の前の目標を失った人々は、何をしても「面白くない」と感じ、出口の見えない不全だらけの状況に陥っていく。誰もが「答えがほしい」と切望し、閉塞する社会の外に可能性を求め始める。そして、「みんなの役に立ちたい」「みんなの期待に応えたい」という思いを実現させた行動がみんなから評価された時、心からの充足を得られることに人々は気づく。みんなの期待を感じとり、何とかしてそれに応え、自分もまたみんなに期待をかけていく。こうした相互の期待と応望に基づく共認充足こそ、みんなの求める新たな活力源なのである。
 農業の問題も、実は全く同じだ。人が生きていくために不可欠な食糧の生産を担う尊い営みであるはずの農業が、市場社会に組み込まれ、利益追求を最優先する市場原理に基づいて進められてきた。その結果が、現在の食糧危機なのである。
 社会は、市場原理から共認原理へ転換した。農業もまた、市場原理に基づく様々な問題が顕在化してきている今こそ、共認原理に基づく新しい農のかたちを模索し、実現させていかなければならないのである。
参考投稿
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=31252
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=177089

投稿者 rui0287 : 2008年12月15日 List   

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