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2022年12月03日
【農の最前線にせまる】第1回:稲作の100倍以上の収益性を出した「あさい農園」のトマト栽培
前回のブログの通り(リンク)、本シリーズでは「農の最前線」を追求していきます。
まずはシリーズの初段として、
農の最前線で起きている「具体事例の紹介」
を通じて、最前線の世界を知ることから始めたいと思います。
最初に紹介するのは「あさい農園」(ホームページ)さんです。
※本ブログ内の写真はすべてこちらから引用しています。
■稲作の100倍以上の収益性を出したあさい農園の「トマト栽培」
あさい農園は、明治40年(1907年)創業の100年以上の歴史を持つ企業です。
三重県津市を拠点に活動し【「常に現場を科学する」研究開発型の農業カンパニー】という理念の通り、自社内に研究開発部門を持っています。
主要商品は「ミニトマト」。
タイトルでも書いた通り、高い収益性を実現しています。そんな、あさい農園さんの注目すべきポイントは2つあります。
【1】他業種や大学とのコラボによる農業改革
【2】最先端技術を活用した栽培効率
今回のブログは【1】の紹介として、次回ブログで【2】の紹介をさせていただきます!
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【1】他業種や大学とのコラボによる農業改革
最近では「オープンイノベーション」という言葉は最先端企業であれば当たり前になってきましたが、農業の先端でも変わりません。
あさい農園さんは「他業種の地元企業」「モノづくりの先端企業」「大学との共同研究」といった様々な対象とイノベーションを生み出しています。ひとつずつ、紹介していきます!
<地元企業とのコラボ>
〇三重県の地元企業「辻製油㈱」と「あさい農園」がタッグを組んだ栽培システム
辻製油は食用油を搾油製造する国内大手の食用油製造企業。食用油の製造過程では、ボイラーで焚いた蒸気を使って搾油する工程があるのですが、約90℃の熱湯を毎日大量に廃棄していることを「もったいない」と思っていました。
一方、浅井農園はオランダの最新ハウス技術を使ったトマト栽培を行っていましたが「冬場の暖房費が高くなること」に困っていたのです。
この「熱を捨てている企業」と「熱を欲している企業」の2つがコラボし、オランダの最新ハウス技術と辻製油から排出される熱湯と余剰蒸気を利用した「最先端農業のシステム」をつくりあげたのです。
これにより反収2000万円という、日本で最も収益性の高い農業を実現。稲作の実に100倍以上です。
<先端企業とのコラボ>
〇世界初・トマト収穫ロボットの実用化に挑戦!ヒトとロボットが協力して野菜を生産する次世代農業モデル
株式会社デンソーとの共同研究開発により、トマト収穫作業ロボットの開発に取り組んでいます。
世界的に農業人口は減少傾向にあり、限られた労働力の中で効率的に食糧生産を実施する為、人間が眠っている夜間に自動で収穫作業をしてくれるロボットを開発。農業者の負担を減らし、農業の労働生産性向上に寄与することが目的に取り組んでいます。
<三重大学とのコラボ>
〇新しいトマト品種の研究開発
あさい農園では、よりおいしく、より機能的な新しい価値のあるトマトを自社内で研究・開発に取り組んでいます。おいしいトマトやカラフルなトマト、新しい機能性を持つトマトなど、世界中から収集した特徴のあるトマト品種について、あさい農園の研究棟において栽培試験を実施、評価して、実用化に向けた研究開発に取り組んでいます。
通常トマトの品種開発にはとても長い年月を要しますが、三重大学との共同研究により開発期間を短縮する技術開発にも取り組んでいます。
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以上です。いかがでしたでしょうか?
最先端で活躍する企業であるほど、他業種の企業や大学との研究開発といった「共創」を通じ、新しい価値創造にどんどん挑戦しているのですね。
あさい農園さんの第2弾は「最先端技術を活用した栽培手法」です。
どんな先端技術がでてくるか、お楽しみに!
投稿者 t-kenta : 2022年12月03日 TweetList
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