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2008年04月19日
土壌PHと作物①日本の土壌はみな酸性
こんにちは。土について考えるシリーズ、今回は土壌PHについて見ていきます。
土のPHと作物の成育には、どんな関係があるのでしょうか?
アジサイの花は土壌PHによって色が変わると言われています。どんな仕組みなのでしょうか?
☆応援ありがとうございます☆
1)作物と適正PH
基礎知識として、PHとは、水溶液中の水素イオン(H+)濃度を表す指数で、純水のPH=7を中性として、これより水素イオンが多い場合、PHは6,5,・・と下がっていき、酸性を示します。逆に水素イオンが少ない(水酸化物イオンOH-が多い)場合、PHは8,9.・・と高くなり、アルカリ性を示します。
土壌のPHは、土を溶かした水溶液中の水素イオン濃度を測定します。
作物(植物)は、それぞれの種類ごとに、成育に適した土壌PHがあります。
いくつか適正PHの例を挙げると、
・ほうれん草:6~7.5
・トマト:6~7
・タマネギ:5.5~6.5
・ナス:6~6.5
・大根:6~7.5
・キャベツ:6~7
・サトイモ:5.5~7
・クリ:5~6
・ツバキ:4.5~5.5
・パイナップル:5~6
などです。
多くの作物は、PH5.5~6.5くらいの弱酸性土壌で良く育つと言われています。
それは、土壌PHによって、働きやすい(植物にとって吸収しやすい)成分に違いが出るためで、概ね下図のようになっています。
2)酸性土壌の問題
土壌が酸性になってくると、いくつか障害が出て来ます。
*アルミニウムイオンの害:::酸性土壌ではアルミニウムが溶け出してきます。アルミニウムイオンは一般的な植物には有害であり、植物に必要なリン酸を吸収できなくもします。
*養分の欠乏:::石灰や苦土の欠乏が考えられます。そのほか微量要素のモリブデンは酸性土壌では溶解度が小さくなり、作物によっては欠乏をおこします。
*土壌微生物の活性低下:::チッソを植物に吸収しやすい形にしたり、空気中のチッソを肥料分としてとり入れる土壌微生物の活性は酸性土壌では著しく落ちてしまいます。
*土壌団粒構造の破壊:::酸性土壌では腐植質土壌の団粒構造を壊してしまいます。
3)土壌酸性化の要因~日本の土壌はみな酸性
日本は雨が多い国です。雨水は、(大気中のCO2を溶かし込んでいるため)概ねPH5.6程度の酸性を示します。また、土中では、微生物の活動によってCO2濃度は大気中よりもはるかに高く、これを溶かし込んだ土壌溶液のPHは5以下にまで下がる可能性があります。
このような雨に長い年月にわたり洗われることによって、土壌の酸性化が進みます。その為、酸性土壌は、日本の土の特徴の一つになっています。
また、土壌酸性化の他の要因として、作物が養分吸収する際、イオン交換を行うために放出する酸の影響があり、その為、野菜作りなどでは、一般に収穫後の土は酸性に傾いており、次の作付けを行う際に、土壌PHの矯正を行います。
さてここで、冒頭のアジサイですが、アジサイは一般の作物では有害であるアルミニウムを無毒化する機構を持っていて、アルミニウムを吸収すると青い花、そうでなければ赤い花が咲くようになります。つまり、酸性土壌ではアルミニウムが溶け出して吸収され、青い花が咲く、アルカリ性土壌ではアルミニウムが溶け出さないので、花は赤くなる、という仕組みです。
日本の土壌は酸性の為、青い花が咲くことが多く、アルカリ性土壌の多い外国では赤い花が多く咲くようになります。
4)PH矯正の方法
酸性土壌のままでは、多くの作物は良く育たない為に、作付け前に矯正する必要があります。酸性を矯正する方法としては、一般に石灰(カルシウム)を施用します。土壌中のH+を、Ca2+で置き換えて中和します。
酸性土壌もまた、昔から日本の農業生産の悩みの種となっていて、かの宮沢賢治は、大正時代、炭酸カルシウムの見本の詰まった重いトランクを持って、酸性土壌に苦しむ土地を奔走し、その効果を説得して回ったと伝えられています。
5)何で作物ごとに適正PHが違うのか?
さて、土壌PHについて調べる中で、ある疑問が湧いてきました。
それぞれの作物(植物)に適正なPHがあるのですが、その違いは何で?という疑問です。
そこで、仮説として、「各々の作物(植物)の原産地の環境に適応してきたからではないか?」と考えました。
検証の為、世界の酸性土壌分布と、作物の適正PHを比べて見ましょう。
下図の赤く塗られているところが酸性土壌で、日本や東南アジア、中央アフリカ、北ヨーロッパ、南アメリカ大陸北部、北アメリカ北東部、辺りが酸性土壌を示しています。
○比較的酸性に強いといわれる作物の原産地は、
・ サトイモ:東南アジア
・ ツバキ:日本及び東南アジア
・ クリ:日本・中国・アメリカ北東部
・ パイナップル:熱帯アメリカ(ブラジル)など。
○酸性に弱い作物では、
・ ほうれん草:コーカサス地方(西アジア)
・ トマト:ペルー高地(南米)
・ タマネギ:中央アジア
・ キャベツ:地中海地方
土壌分布図が大まかで、はっきりと結論づけられませんが、概ね酸性土壌地帯原産の作物は、酸性に強いようです。
その土地に合った作付けが、やはり無理のない栽培が出来るのだと言えるでしょう。
(ちなみに、イネは酸性に強い作物ですが、日本古来の水田稲作は、酸性土壌を克服する他、様々な特徴を持っていますので、機会をみて、採り上げてみたいと思います。)
また、酸性土壌分布に対して、世界の降水量分布を比べてみると、こちらも降水量の多い地域が、酸性土壌と対応していると見ることが出来そうです。
今回は、土壌PHについて、主に酸性土壌を見てきましたが、実は酸性以上にやっかいなのがアルカリ性土壌です。世界の多くの国で塩類集積の問題が起きている事など、次回扱ってみたいと思います。
図版元、参考サイト:
http://www.mitene.or.jp/mitene/machi20050603/p_asuwayama.html
http://www.tokyo-aff.or.jp/center/chishiki/01/tuchitukuri/kiso.htm
http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.stress/Al-Ma.html
http://apt-japan.co.jp/apt/index.php?e=974
by 馬場
投稿者 sbaba : 2008年04月19日 TweetList
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コメント
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