「農の歴史」シリーズまとめ~歴史に学ぶ農の可能性と危険性 |
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2021年11月25日
『農村学校をつくろう!』シリーズ-13~農の場は人材育成・能力形成の場として最適!
前回、前々回の記事で、農村学校に求められるのは、農・地域の担い手育成であること。そして、その担い手に求められる能力についてまとめてきました。
今回の記事では、 “農村学校には、農業を通じて、農村の担い手を作っていく実現基盤がある“という可能性を示してみたいともいます。
■能力形成のカギは、仲間・自然と一体化すること!
前々回の中間総括投稿で、農村学校において人の能力形成を図っていく際、「地域・農の担い手である当事者度をいかに高めるか」が重要とまとめました。
さらに、前回の投稿で、地域・農の担い手に必要な力は、地域を統合するために「人を繋ぐ力」と時々刻々と変化する自然外圧を直視して新しい農法を作っていく「理論を作る追求力」の二つを提起しました。
人と人を繋ぎ、仲間をまとめていく際にも、自然を直視して節理を見出し新しい理論を作る際にも、どちらも求められるのは、「仲間との一体化」「自然との一体化」です。この「一体化」こそ、人材育成の最重要ポイントなのです。
■農作業や農の場には、一体化⇒余計な観念を封鎖し潜在思念を開放する力がある
農の場には、必然的に「人を一体化に向かわせる」力があります。
①固定観念や邪念をすすて、作業段取りを塗り替えるスピードが成果を大きく左右する
農業/農作業の特徴として重要なポイントが3つ。
・作物の生育には適期(期限)があり、作物は待ってくれず、作業の先延ばしはできない(適期を外せば大きく収穫量を落とすなどの成果不良に直結する)
・天候により、その日できる作業が大きく変動。または、畑にイノシシが入っている、虫や病気が発生している、畦が崩れて水が漏れている、などの自然外圧が常に発生し作業の優先度が変わる。天候と自然外圧を受けて常に、迅速に作業段取りを塗り替える必要があり、その判断を誤ると、被害が寛大になったり適期を外してしまい、成果不良に直結する。
・作物や田畑に対して、手をかけようと思えばいくらでもできることがあり、仕事は無限にある。その中での優先順位をつけ照準を絞る照準力が成果に直結する。
上記のような強い外圧下では、まず自然に同化、一体化すること。その上で、作業段取りを常に(一日に何度も)塗り替えていく必要があります。
この時、「これはこうするもの」「以前はこうしたから」「失敗するかも・・・」などの余計なことを考えていると、自然への一体化も、塗り替えスピードもダウン。
いかに余計なことを考えずに、自然へ一体化して、段取りを素早く塗り替えるかが成果に直結します。
②言い訳や誤魔化しが利かない→無能な自分を受け入れるしかない
農産物の出来・不出来は、畑を見れば一目瞭然に、地域中の人にわかってしまいます。また、お客さんからの反応も、まずければ売れないし、おいしければよく売れ、味の成果も明確に差が出ます。ですので、言い訳や誤魔化しがききません。
その結果、無能や自分を受け入れ、できている仲間を真似ること、一体化していくことを素直にできるようになるのです。
このように、農業の場には強い自然外圧が常にかかっており、それゆえに、余計なことを考えている暇がないor考えていると成果がすぐに下がる、しかも言い訳ができない、という特徴があります。これが、潜在思念を開放し、自然や仲間と一体化する大きなポイントになるのです。
■農業と能力形成の関係
以上に見てきたように、農の担い手に求められる「一体化する力」を、農業の場それ自体が引き出してくれる構造にあることがわかってきました。
図解にまとめるとこのようになります。
次回はいよいよシリーズ最終回。
農の場・地域を自らつくる人材を育てる、農村学校のイメージを固めてみたいと思います。
投稿者 o-yasu : 2021年11月25日 TweetList
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