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2014年08月03日

『農業革命;未知なる乳酸菌』シリーズ-3 ~農業革命の可能性を秘めた乳酸菌~

前回の記事、『農業革命;未知なる乳酸菌』シリーズ-2 ~食に関する乳酸菌~では、命を支える食と乳酸菌の密接な関係を見てきました。今回は、食料の生産現場、「農業」と乳酸菌(微生物)との関係を捉えていきたいと思います。

201004_tobira_350最近、有機栽培や無農薬栽培、自然農法の注目度はますます大きくなっています。
その流れを受けて乳酸菌や微生物を活用して、作物の持つ力を引き出す農法を実践する農家も増えてきました。
画像はこちらからお借りしました。

乳酸菌を植物や土壌に撒くと育成が良くなったり、収量が上がったりと様々な効果が、あるそうです。家庭菜園などにも活用する方も増えています。
ネットでもその成果が多く発信されているのが、「えひめAI」と「EM」です。
まずはこの2つに着目してみます。

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┃えひめAIとEM
・えひめAIとは?
auto-GqaV0H愛媛県産業技術研究所で開発された環境浄化微生物です。酵母・乳酸菌・納豆菌を糖蜜で発酵培養させた複合微生物と、これらの微生物がつくる酵素の総称です。納豆やヨーグルト等の家庭で簡単に準備できる材料で作ることもできます。
はじめは、水質改善を目的に開発されましたが、その後、家畜農家の匂いの軽減・糞尿の堆肥化や水稲・畑作への応用が進められてきました。
画像はこちらからお借りしました。

・EM菌とは?
HigaEM(有用微生物群)は琉球大学の比嘉照夫氏が発表した概念で、光合成細菌乳酸菌酵母を中心とした様々な抗酸化物質を生産する微生物の複合体です。糖蜜と米のとぎ汁を使って自分で培養することもできます。
画像はこちらからお借りしました
(参考)EMにはシントロピー作用がある




えひめAIもEM菌も、農作物の苗や植えた後に散布することで、作物の味が良くなる、収穫量が増える、連作障害が少なくなるなどの効果が確認されています。対象作物も、米、トマト、イチゴ、タマネギ、ナス、ピーマン、キュウリ、スイカなどほぼ主要な農作物すべてに効果があることが農業の現場で確認されています。

これらの効果は、乳酸菌をはじめ、その他さまざまな微生物の複合的な作用によって、葉面に散布すれば、植物に付く病原菌から植物を守る、虫に食べられにくくなるなどの効果が確認されていますし、土壌であれば、他の菌と相互に活性化を促す共生関係を形成し、栄養分豊富な土壌をつくることが可能となります。

つまり、自然が元から持っている力を引き出すことで、化学肥料を抑えて収量アップや減農薬を実現することができるのです。



┃注目される微生物の農業資材

えひめAI、EM菌以外にも、微生物を活用したさまざまな商品が開発されている。中には、肥料やミネラルを添加している物やシンプルに乳酸菌を培養し散布するだけのものまで、使い方も様々です。
【ブログ版】乳酸菌活用の事例集
(画像をクリックすると大きくなります。)

この表からもわかるように、微生物を活用した資材の多くに乳酸菌が活用されている事。
そしてどんな農作物に対しても一定の効果が認められ、農薬や化学肥料を低減or不使用とし、より安心・安全な農作物とすることが可能となります。
また、農家としても、農薬コストの削減や商品の付加価値上昇といったメリットがあります。

今後、農業全体としても、自然回帰や健康志向の高まりを受けて、微生物の力はますます注目されていくでしょう。しかしその一方で、微生物がなぜ農作物に好影響をもたらすのか、そのメカニズムに不明な点も多いのが実情で、一部の研究者、実践者の追求によって、その理論は形成され始めているという段階です。

(参考)
『蘇生回帰の科学』より①~地球環境生物界は地圏、空圏、水圏の3つの圏に分けられ、水と微生物によってエネルギー触媒と情報触媒を基軸にそれぞれが相互依存の関係にある

実験環境下で特定の要素のみに着目する要素還元主義が、微生物学・細菌学の進歩を大きく遅らせている



┃多様な可能性を秘める乳酸菌・微生物
農業の6次産業化が国策としても推進され、半農半Xという生活スタイルも注目され始めています。
(参考)「半農半X」という生き方♪

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画像はこちらからお借りしました。



 農業に関わる人が増えていく中で、有害な薬や肥料を使わず、子供や高齢者が安心・安全に、かつ手軽に食料生産に関わるための手段として、微生物を活用していくことにも大きな可能性があるといえるでしょう。
また、農業における微生物活用が進んでいく事で、自分たちの食料生産や環境保全・維持なども自分たちでやっていけるという意識も高まり、「自給期待」を加速させていく事にもつながっていくでしょう。

ただし、先にも述べたように未だ解明されている微生物の世界はごく一部に過ぎず、未知の領域が膨大に広がっているのも事実です。上に紹介したような実践と並行して、今後はそのメカニズムを解明していく事や活用範囲を拡げ、多分野で活用していく事が社会的な期待として高まっていくと考えられます。
もちろん、本ブログでもその解明と可能性探索を継続して行っていきますので、どうぞご期待ください!

投稿者 noublog : 2014年08月03日 List   

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