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2022年12月30日

【農の最前線にせまる】第3回:有機農業×テクノロジーは、農業の再構築を促進していく!

(画像はコチラからお借りしました)前回は、収益性を追求した「あさい農園」を紹介しました。今回はアグリテックの可能性の追求の一つとして、有機農業との相性について検証してみます。有機農業が置かれた状況と課題から、アグリテックはどのような可能性をもっているのでしょうか。具体的な事例を紹介しながら、みていきたいと思います。

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アグリテックとは

アグリテック(AgrtiTech)とは、Agriculture(農業)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。「スマート農業」も同じ意味で使われます。

センサーやAIなどICT技術やロボットなどを活用し、負担を減らしながら生産性の向上を進めていくことをさします。

 

有機農業の現状

・その中でも有機農業は、

化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない

遺伝子組換え技術を利用しない

農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する

こちらより引用)

という農業生産の方法を用いて行われる農業です。有機農産物は認定制度があり、それを取得して初めて、表示することができるのです。

有機農業は、自然の力を使った生産方法であり、より安心安全やSDGsの視点からも注目されています。

また、市場規模も、世界における有機食品市場は過去10年で2倍。有機市場は伸びています。(参考サイト

日本は有機農業面積や売上は全体の1%程度、増加しているが伸び悩んでいるのが現状で、需要は増えているものの、日本の普及はこれからです。

有機農業の課題とアグリテックの可能性

有機農業は需要があるのになぜ伸びないのでしょうか。一言でいうと、有機農業は生産者側の人手がかかる以上に高く売れないのです。頑張っていいものを作っても、生産者側のめりっとがないため、生産がが伸びないのです。

いかに、有機農業における大きな課題に対して、アグリテックとして補助できる内容を整理してみます。

 

①事務作業が大変⇒QRコードを使った生産管理

出荷数量管理を厳密に記録する必要があるため、事務や管理に人手が必要となる。ただ、手間をかけた以上に、高い単価で売れるわけではないため、生産者側のメリットが小さい。

事務作業を効率化できる技術がICTの技術を使って、解決できればとても有効だ。例えば、似通った技術として、QRコードを使った管理技術がある。これを応用すれば、事務作業を大きく軽減できるのではないか。

 

日本産野菜の輸出に関わるQRコードを使ったトレーサビリティの「見える化」

調査の概要は以下の通りです。

レタスの安定的輸出の技術として、温度管理、ガス環境、輸出日数等を調査する

現地での品質、購入者のアンケート調査を行う

設定価格、輸出コスト等を明らかにして収益確保のための輸出条件を明らかにする

https://smartagri-jp.com/smartagri/4733

 

②害虫や病気によるリスク→ロボットを使った害虫駆除・病気発見

化学肥料や農薬が使えないため、害虫や病気が発生した際に打つ手がない。生産者としては、虫や病気で生産量が確保できないリスクが高い。それを避けるには、人の目視で、害虫や病気を見つけ出すしかないが、想像以上に手間がかかる。手間のかかる作業をロボット化する。

 

自動抑草ロボット「アイガモロボ」を活用した無農薬酒米が一等米の評価を獲得

「アイガモロボ」は、有機米デザイン株式会社が開発したボート型の自動抑草ロボット。

水田の泥をかき混ぜながら自律航行して、太陽の光を遮断し、雑草の成長に必要な光合成を抑制するのが特長で、設定したルートを自動で航行する機能や電源用の太陽光パネルも備える。

https://smartagri-jp.com/news/5385

 

③流通の規格に対応できない→販売ルートの再構築

有機で作った作物が全て売れるわけではない。農協の規格に合ったサイズでないものは、一般的な流通ルートがないため、規格外品は廃棄することになる。販売先を確保することで、農協の規格に合わない品種、サイズ、価格の需要に応えることができる。また、日本古来の固有種である伝統野菜という拘りをもった生産者と、一般の流通では手に入らない品種を求める層を繋げることができる。

 

農業において、生産から販売までを統合管理するビジネスモデルを提供する会社

アパレル小売業が成功した「SPA」(Specialty store retailer of Private label Apparel:生産流通小売業)の手法を農業に取り入れるとともに「SPF」(Specialty store retailer of Private label Food)を掲げ、流通から農業を支援しています。

農産物の流通においてICTを取り入れ、農家とバイヤーとを直接つなげることで生産から販売までを統合するしくみを構築しています。

https://minorasu.basf.co.jp/80286

 

まとめ

大手ショッピングセンターが構築した農業の大量生産と品質管理手法は、日本の食料需給の安定化に大きく貢献していますが、有機農業を含めて食料業界の再編が起きようとしているのが現状です。

有機農業の需要は高まる一方で、手間がかかる以上の高付加価値で、販売するという、生産から販売までを貫通する業界全体の再編課題なのです。

これまでは、生産・流通・販売がバラバラの業界として、成立していた業界が、ICT技術によりこれらの枠がなくなり、ゼロから再構築できるのがアグリテックなのではないでしょうか。農業は生産は天候や技術による変動が大きく、同様に流通・販売も守備範囲がとても広い。変動要因の大きい有機農業とアグリテックは、大きな可能性となると考えられます。

 

投稿者 suzu-kun : 2022年12月30日 List   

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