『農村学校をつくろう!』シリーズ-9~江戸時代に学ぶ:本来集団は殖産一体!その中でこそ人は一人前に育つ! |
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2021年10月28日
植物は外圧を認識し、互いに連携しながら、集団として乗り越えている
前回の土シリーズは、植物とキノコの関係を扱いました。今回は植物同士の関係について扱いたいと思います。
植物は私たち動物のように動くもなければ、何か言葉を発することはありません。
でも植物たちが互いにコミュニケーションをとっているとしたらどうでしょうか?
実は植物がコミュニケーションを行っているという証拠は増えつつあるのです。植物は学習することもできるという報告結果も相次いで報告されており、もしこれが正しければ、植物は情報を蓄え、伝え合うこともできるということになります。
まさか!と思うかもしれません。ですが、木々が互いに話し合い、苦痛を感じ、助け合い、仲間の世話をし、コミュニティまで形成することを知れば、植物に知性や感情がないと断言するほうが難しくなるのです。
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1.森林は超生物:仲間の助けによって生き続けるブナの切り株
ドイツ林業委員会の職員となったペーター・ヴォールレーベン氏は、ある時、管理していた森の中で、直径1.5メートルほどの苔むした石のようなものが円形に並んでいる場所を見つけました。ナイフで苔を剥がしたところ、それは樹皮の層でした。石のように硬く、なぜ腐らないのか不思議に思ったそうだが動かそうとしてわかったという。木は根を張っており、まだ生きていたのでした。
それは少なくとも400年以上前に伐採されたであろう大昔のブナの巨木の切り株でした。外周があった部分に”石”が育ち、内部は完全に朽ち果てていたのに完全には死んでいませんでした。
切り株には葉がないので日の光から栄養を吸収できません。根はずっと昔に詰まっていて、地面から糖という形で食べ物を得ることができません。もちろん呼吸もできません。通常ならば飢えて死んでいたはずです。
ではなぜこの切り株は生き続けることができたのでしょうか?
考えられるのは、切り株の周囲に生えている別のブナの存在です。それらのブナが、根をからめて切り株と繋がって、何世紀もの間、栄養を供給していたということです。
同じ種類の木の雑木林に生息する同種の木々のほとんどは、根っこを介して繋がるようになります。まるで困った時に助け合うことがルールだとでもいうかのようで、ここから森林とは超生物なのだという結論が導かれます。
2.木は仲間を助け、弱っている仲間を見捨てない
しかし、そうした相互扶助は無作為なものではありません。イタリア、トリノ大学の研究者によると、木は仲間の根と別種の根を区別し、よそ者を排除することすらあるそうです。中には緊密に根を絡め合い、夫婦のように一緒に死ぬようなものもあります。病気に冒されたもの、あるいは飢えたものも識別され、回復するまで栄養を送り合ったりします。
ヴォールレーベン氏の森に生えるブナもそうした行動をとっています。それはまるで象の群れと同じで、仲間の面倒を見て、病気の仲間や弱った仲間がいれば助けるのです。
もちろん、どの切り株でもこうなるわけではありません。大抵は腐敗して、数百年のうちに跡形もなくなる。ごく少数だけが仲間の助けによって、数世紀の間生き延び続けます。
3,菌を利用して仲間とコミュニケーションをとる木々
ブリティッシュコロンビア大学のスザンヌ・シマード博士は、化学物質や電気信号を利用して、木が仲間同士で警告し合うことを発見しました。彼らは土の中に菌のネットワークを張り巡らしています。この菌が光ファイバーのように機能します。その密度は驚くべきもので、ティースプーン1杯分の面積に、数マイルもの長さのネットワークが作られているほどです。
数世紀にわたって破壊されることがなければ、1つの菌でも森林全体に広がるネットワークを形成できます。このネットワークを介して、木々は昆虫や干ばつなどの危険を知らせ合います。その伝達速度はおよそ3秒でおよそ2.5センチ。哺乳類の体内における速度とは比べ物にならないが、クラゲや蠕虫の類なら同じような神経伝達速度の生き物はいます。
4.自らの葉がキリンに食べられると瞬時に毒を送り込み、なおかつ仲間にそれを知らせるアカシア
アフリカのサバンナに自生するアカシアも生態系に大きな役割を果たしています。キリンが葉を食べ始めると、アカシアは不味い毒を葉に送り込んで実を守ろうとします。これはものの数分で起こります。木にしてみれば電光石火の速さでしょう。
その後キリンはどうするか?別のアカシアから食べればいいと思うかもしれませんがキリンはそれをしません。アカシアはエチレンというガスを発生し、近くの仲間に危険を知らせます。
知らせを受けたアカシアもまた葉に毒を送り、葉っぱを不味くします。キリンは不味い葉があれば、他のアカシアも不味いということを経験上知っているので、他のアカシアを求めて移動します。
5.唾液から襲撃者を特定し、フェロモンをだしてその天敵をおびき寄せるニレとマツ
ニレとマツは別の戦略を使います。葉を昆虫にかじられると、電気信号を根に向かって送ります。その反応には1時間ほどかかるのですが、信号を受けると葉に受かって苦い化学物質を送り込んで身を守ろうとします。だが、それ以上に驚きなのが、木は唾液から襲撃者を特定することです。犯人を特定したら、ある種のフェロモンを放出して、その襲撃者の天敵を呼び寄せてしまうのです。
6.植物は外圧を認識し、互いに連携しながら、集団として乗り越えている
これまでの話をまとめます。
・植物の根は互いにつながりあい、仲間が死にそうになると、養分を分け与え助ける
・菌を利用して、仲間とコミュニケーションを取り危険を知らせ合う
・動物に食べられると、体内に毒を巡らした上で、周りの仲間にガスで状況を知らせる。
・外敵からの攻撃を特定し、フェロモンを使い、天敵を呼び寄せる。
このように、植物は私たちが思っている以上に外圧を認識し、互いに連携しながら、集団として外圧を乗り越えているのです。
ここまでの追求で、ではその認識はどこに蓄積されているのか?判断はどのように行っているのか?など様々な疑問が湧いてきます。
そこは次回以降に、追求していきたいと思います!
投稿者 sue-dai : 2021年10月28日 TweetList
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