【農の歴史】第5回 縄文人は農耕をなかなか受け入れなかった? |
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2021年10月06日
『農村学校をつくろう!』シリーズ-6~農を核とした学びの先端潮流と今後の展望~
前回の投稿までをかけて、農村学校の事例や、農業を通じての子どもたちの成長について見てきました。
今回の投稿では、全国に広がる農を通じた学びの場について中間整理し、これからの時代の農村学校に向けた可能性と展望・課題について考えたいと思います。
「自治体」、「地域」、「企業」が、それぞれどのような人材育成の場・地域活性の場を創っているのか、先端的な事例について紹介します!
画像は、こちらからお借りしました。
■自治体が主導し、これからの担い手を育てていく
地域の新しい担い手を育てていき、地域と産業の活性化に迫られている地域の中には、農村留学を積極的に取り組んでいる自治体も増えてきています。
例えば、島根県での「しまね留学」(高校生を対象)、長野県・阿智村での「なみあい育遊会」(小中学生が対象)、そして、高知県・馬路村の「馬路村山村留学」(小中学生+家族も対象)などです。ここでは、子どもたち単独で1年間集団生活を送りながら、地元の学校に通い、そして、農業や自然体験を通じて全人的な力を育んでいこうというものが多いです。
これは、子どもたちの成長に加えて、若い力が町・村を元気にしてくれることで、地域の活力拠点にもなっています。さらには、卒業生たちが、第二の故郷として里帰りしてきて、新しい絆が生まれる新しい流れもできています。
■地域の志ある人が立ち上がり、若者・有志を引き付ける
個人の人たちが、人生の経験・逆境を通じて、新しい農の可能性を追求し、そして、関心ある人たちに学びの機会を提供している事例もあります。奈良県・桜井市の川口由一さんの「赤目自然農塾」や、兵庫県・淡路島の一般社団法人・大地が教えてくれたことの「ありがとう農学校」、そして、北海道・河東郡の森田真礼夫さんの「大地の学校」などがあります。
彼らは、自らの経験を通じて、社会の不整合・近代農業に大きな不整合感を抱き、本来の生命感とは?本来の農とは?という根本を追求しようとしたところが共通しています。
そして、自らの追求によって見出した自然農や理論を構築し、それらを世の中の人たちに供給することによって、新しい農のネットワークを広げています。特に東北大震災以降の近年に、このような新しい潮流が活性化しているように感じます。
■企業の力で、人材育成の拠点をつくる
農・食には、生産-加工-販売という流れがあり、どこかが欠けても事業は成立しません。しかし一方で、農・食の生産現場は、農村衰退→担い手不足により、この流れ自体が弱体化している状況にあります。そこで、企業が立ち上がり、自らの力で学校を設立する動きがあります。
例えば、種子メーカーであるタキイ種苗における「タキイ研究農場付属専門学校」や、販売企業である「実農(みのう)学園」、あるいは、新しい農のインフラをつくろうとしているマイファームが「アグリイノベーション大学校」といった学びの場を作り出しています。
いくつかの事例で多い形態は、高校を卒業した若者を受け入れ(全寮制もあり)、2年間に徹底的に農業のノウハウをたたきこみ、そして、一人前の農業生産者として羽ばたかせていく教育です。業界そのものを再生していこうという基盤を、強い意気込みを持って実現しています。
■自治体・地域・企業が一体となった、就農定住事業
それぞれの組織の課題は少しずつ違えども、目指すべき志・実現像は一致するということから、産官民が一体となった人材育成事業=就農定住事業を展開している福井県・三方上中郡に「かみなか農楽舎」があります。
希望者は、ここで2年間の農業研修を受けるとともに、地域のまちづくり活動への参画、あるいは、様々な立場の人たちとの集団生活を送ることにより、経営・事業・人間力すべてを高めていく場です。
さらには、卒業する際には、この地域に定住することで、新しい担い手としても根付いている方も多くいます。都市と農村をつなぐ、そして、地域ともつながる、これからの農の再生・地域づくりで非常に重要な可能性を秘めている基盤になっています。
■可能性は?これからの展望・課題は?
農をとりまく人材育成の場、そして、農村活性化の場が生まれてくる背景と重要なポイントは、
★設立者は、地域・日本の農といった大きな社会的課題を解決するために、学びの場づくりに至っている。
★参加者自らも、これからの農をつくっていく担い手として、強い志と欠乏を持っている。
★農をどうする?という明確な答えはなく、常に未知課題を追求し、理論化していくことが、学びそのもの。
★つまり、従来の学校のイメージではなく、設立者・参加者やその他の人の志が重なり、追求することが、学校の本分。
このような新しい潮流・事例が、全国各地で生まれて来ていることは大きな可能性です。
その一方で、農の現場・農村部が、活力されているのか?あるいは、若者たちが、農的営みに可能性が膨らんでいるかと言えば、まだ途上です。もっと、若者が農を通じた全人的学びを得て、そして、地方移住する流れがもっともっと活性化させる必要があるように考えます。
それを紐解いていくためには、現代に答えはなく、歴史を遡って実現基盤を発掘していくことがで重要です。
そこで次回は、中世・近世における日本の農村部における学び・子育てついて追求していきたいと思います!
投稿者 hasi-hir : 2021年10月06日 TweetList
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