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2013年04月23日

農ブログ:食と日本人の知恵シリーズ④「旬は美味しさの合言葉」そして「体を作る知恵」

冬の牡蠣や蟹、春の桜鯛・・・旬の味覚を食べに行こう
そんな旅行会社のPRにそそられて、「ちょっと高くてもいいから食べたーい!」って、家族や友達、彼氏彼女と盛り上がっちゃいますよね

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みなさんは、「旬」の食材って、どんなイメージをもたれますか?
「旬」のものなら少し高価でも、美味しい時期に味わいたいという声も聞こえてきます
そんな少し高価でも・・・という声、同じ勉強会メンバー内で田舎出身の私やHさん、Aちゃんからしたら、驚きでした! 「旬」といえば、安く(近所で採ってきて♪)美味しく食べれる時期のイメージなんですが・・・
関東出身のKさんは、ブランド要素があって、少し高価ってイメージだったそうです
今回は、その「旬」という言葉を知り、その奥にある日本人の知恵に迫ります♪

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1.旬にまつわる昔のエピソード

旬宴
天皇は臣下に酒を賜る儀式があって、これを旬宴と呼んでいた。年
二回行われ、四月一日の宴を「孟夏旬」、十月一日を「孟冬旬」と
して、宴では時節の代表的な食べものを出したことから、旬の語が
生まれたという説がある。__________________

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奈良・平安頃よりこの宴はあり、旬は食の中にあったようです@@
江戸時代には、贅沢を戒める「奢侈禁止令」がたびたび出されてい
たが、食に関しての浪費をやめさせるものとしても、取り決めがあ
った。「何は何月何日以前には口してはならない」と、詳しくその
食味期間を決め、大衆の食べものを旬に合わせ、守らせていた。

のものは大量に収穫されるから安価となり、そのうえ栄養価が高く
味も良いから贅沢な食生活を防ぐのに最良の方法
とされていた。 

統治者が食味期間を決め、大衆の食べものを旬に合わせ、守らせていたのは驚きですが、古く昔から、旬の野菜は、たくさんとれ、安く美味しく食べられる時期として食生活の身近な知恵として受け継がれてきたんですね
2.旬は美味しさの合言葉。そして体を作る知恵
このように古く昔から旬という認識がありました。受け継がれてきた”旬”という認識は、次の3つの利点にまとめられます。
栄養価が高い
味が良い
たくさん採れる(価格が安い)
具体的には、以下のように紹介されています。

旬には出始めの「走り」、最盛期の「盛り」、そろそろ終わりになる「名残り」があります。
「走り」は珍しいですから高価ですが、まだ未熟でおいしくありません。主に料理屋さんでは、付加価値をつけるのに使われます。一番安くおいしいのが「盛り」の露地ものですが、値崩れを防ぐために出荷を控えたりして、なかなか手に入りにくいのが現状です。「盛り」の栄養価は「走り」の三倍~五倍もあります。太陽や地、雨の恵みを受けて最も育ちが良く、魚などは潮の満ち引きによって脂がのっていきます。
旬の栄養価の違いを見てみると、ほうれんそうは、冬が旬の野菜、冬の青菜です。それを、同じ産地のほうれんそうで、夏場のほうれんそうのビタミンC含有量を調べてみると、冬場のほうれんそうの1/3程度になってしまいます。
旬の魚についていえば、旬のサンマやイワシは、DHAやEPAが春から夏にかけて2~3倍程度あるといわれています。

旬って高価 というイメージは、旬の走りの時期に付加価値をつけ始めた料理屋さんのアピールからだったんですね
栄養価が高い時期の食材。それは、たくさんの自然の恵みを受けて育った、旬の則在です。それは決して高価な、希少なものではないのです。

旬の食材をいただくということは、実は深い自然との共生、人のバイオリズムと食材のバイオリズムが関係しています。

旬がバイオリズムと関係しているとは、どういうことでしょう。以下の紹介を詳しく見ていきましょう

春の旬野菜は、新芽、新葉を食べる『芽もの野菜』です。
特に共通的に含まれるアルカノイドという苦味成分は、胃を活発に働かせ、人間の眠っている細胞を起こしてくれます
夏の野菜は『ぶらり野菜』です。暑い夏に必要な水分とビタミン類が多く含まれていて、体をひやし、むくみをとり、暑さで弱った胃を刺激し、消化を助けたり、利尿を促したりする働きがあります。
気温が徐々に下がり始める秋の旬野菜の『巻きもの野菜』は、体の中に養分を蓄えて冬に備えます。越冬するために養分を蓄えている作物をいただくことで、私達の体の中にも蓄積型養分を作ります
冬の野菜は『根もの野菜』です。冬は、新陳代謝が鈍ります。体を内側から温めて活発にしてくれるのが『根もの野菜』です。

具体的な春の旬の食べものを見てみると、どうでしょう♪
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たとえば、春キャベツやえんどうまめ。
ビタミンCが豊富で、胃の調子を整えたり、免疫力を高めたり、メラニンの生成を抑えてくれるそう!季節の変わり目、温かい日と寒い日がまだ入り混じっている春に、うれしい野菜だったんですね。
また春の日差しは一番日焼けするといわれるほど。メラニンの生成を抑える効果も、春だからこそうれしい効果です☆
次に、春の山菜。

春、人の体が芽吹くときには、芽吹いた植物を食べる。それらの植物の滋養力で、人の体が冬の眠りから覚めて活動的になれるのです。
 「人は自然によって生かされている」とは、このことを言うのでしょう。ですから、立春以降に順次芽吹いてくる、フキノトウ、ツクシ、春菊、ワラビ、セリ、タラの芽と食べていくと、体に滋養が付くのです。」

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植物の季節に応じたバイオリズムを頂くことで、人も自然のバイオリズムになじんできたようです。旬は美味しさの合言葉。そして体を作る知恵でもあったようです。
3.まとめ
旬の食べものは、季節に応じた気候・土地からの恵をたくさん受けて育ったものです。季節に応じて、蓄えられた栄養を美味しく頂く知恵、それが日本には息づいてきたことがうかがえます。
一方で、現代の『旬』は、冒頭でも述べましたが、主に都市部では高価で美味しい食材という意識が根付いてしまっています。
そこには、これまで見てきたような旬の食材と人とのバイオリズムの関係、言い換えれば、『先人達の知恵』が忘れ置かれ、市場社会での思惑(高価・貴重といった幻想価値)のみが浸透しているようにも思えます。
今や「旬」が分からないほど、どんな時期にも色んな食材が手に入り、私達にとって便利で嬉しい反面、これまで塗り重ねられてきた先人達の知恵から遠のいてしまっていまるのです。
だからこそ、季節のある日本で、生きた『食の知恵』を受け継いでいくことが、とても大切なことに思えてきますね。

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リンク

[参照文献]
【薬食同源】人の健康は食べ物という薬によって維持されている
旬とは
食と日本人の知恵(小泉武夫著)

投稿者 megu3 : 2013年04月23日 List   

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