「農」再生の実現基盤ってなに?~番外編~ ㈱マイファーム代表西辻一真さんにインタビューしてきました! |
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2011年01月08日
シリーズ口蹄疫問題の本質に迫る! 第6回 自然の摂理に則った生産と消費の可能性
口蹄疫シリーズを進めてきましたが、今回と次回のまとめシリーズで締めくくりたいと思います。 😀
まずは、今までのシリーズのおさらいです。
口蹄疫の問題が、いつぐらいから大きく取り沙汰されたのかと歴史をみていくと、おおよそ19世紀-産業革命の時代にいきつきました。
産業革命より前の牛の役割としては、輸送や農耕といった労働力 としての役割を主に担っていました。ところが、産業革命が始まると、労働力としての役割は機械にとって変えられ、牛の役割が食用 へと変わっていきました。
それまでも労役の牛が死んだら食べたりしたようですが、上級層以外は、食べる機会は少なかったようです。その後、食肉需要はどんどん拡大していき、「より美味しいものが食べたい」「できるだけ安いものがほしい」「たくさん食べたい」といった、要求するものが高度化 していきます。
そういった声に応えるため。また利益を追求するため、生産側では高品質のものを大量に、かつ低コストで短時間で生産するという、工業生産的な生産スタイル になっていきました。
工業生産的な生産を極度に進めた結果、今回のシリーズでも取り上げた人工授精や過密飼育といった事まで行われるようになり、自然のサイクルや自然の摂理を超えるほど徹底的に効率化 が図られました。
この自然の摂理を超える効率化された生産が、家畜を不健康にし、病気や環境の変化への抵抗力を著しく低下させ、口蹄疫を始めとする様々な病気の爆発的拡大を招くようになった。
というのがいままでのおさらいです。
以上を踏まえて、今後どうして行けばを考えていきます。
上記の話から言うと、「自然の摂理を逸脱しない生産」をする事が、口蹄疫の問題を根本から解決するために必要な事だと言えます。 😉
そしてこれを実現するには、こういった生産の中で作られたものを、消費者が積極的に消費し、自給していける食生活にしていく必要があります。
ではなぜ自然の摂理を逸脱するような工業生産的な生産に行き着いてしまったのかというと、生産と消費の分断 という問題に行き着きます。
今までずっと、ほとんどの人は農業に従事してきたわけですが、産業革命以降、社会全体で工業化が進むにつれ、農村から都市へ人が大量に流入し 、農業を従事する人→「生産者」と、従事しない人→「消費者」という分断が起こりました。その結果、消費者側の要求と、生産側の実現基盤に大きなズレが生じ、それを埋めるために徹底的な効率化、工業化が図られたという経緯があります。
そこで今後は、生産者と消費者をいかにつなげていくか というのが、食生活の改善を図る上で非常に重要な観点になると思います。そういった視点で回りを見回してみると、さまざまな可能性の萌芽がみて取れます。今回はそんな事例を紹介します。
「田舎時間」
NPO法人として活動されていて、農家さんと、都会の人たちの交流の場を提供するという、まさに消費者と生産者をつなげる活動をされています。農家にとっては労働力の確保。参加する都会の人たちにとっては非日常的な農業体験ができるという、お互いにメリットが発生する機会を作り出しています。何よりもお互いの交流が活力を生み出しています。
なぜ、こんなことを始めたのか、理念の部分を、田舎時間のサイトから引用します。
田舎時間の理念について
田舎とは何でしょうか?
田舎で連想する言葉というと、田んぼだったり、ゆったりと流れる時間だったり、おばあちゃんの手料理だったりします。
田舎と都会は違う空間です。田舎には、都会では見られない自然があります。里山、蛙、田んぼ、果樹園、滝などなど。都会とは違った生活のリズムがあります。雨が降ったら家にいます。収穫の前には台風が来ないようにお祈りします。四季のうつろいを、新芽の息吹で、作物の成長で、肌で感じることができます。自然や生き物とだけじゃありません。まわりの人との付き合い方が違うのにも驚きます。玄関の鍵をかけない村があります。畑作業を家族みんなでします。食事の時に近所の人がなんとなく入ってきてちょっと御馳走になって、なんとなく出て行ったりします。公民館にはみんなでしょっちゅう集まります。
もちろん、田舎は理想郷ではありません。やっぱり不便だし、おしゃれなお店はないし、近所付き合いが面倒なときだってあるし、畑作業だってたまにやると楽しいけど、毎日やれと言われたら悩んでしまいます。でも、都会に住む私達が失ったもの、大地から離れてしまってわからなくなってしまったものが、田舎にはあるのではないでしょうか。
田舎時間企画は、田舎という空間で、農作業を通じて、都会からと田舎からの両方の参加者に交流の場を提供します。都会からの参加者を農作業の労働力としても期待して欲しいです。
普段何気なくやりすごしている、食べるという行為、そこに行きつくまでの必要なプロセスを、五感で感じとって下さい。食べ物はそんなに簡単に作れません。自然と御先祖様に感謝して、いろんな努力と工夫と手間をかけないと手に入らないのです。普段とは違う日常の中で、自然に囲まれ地域の中で生きる自分を見つめることで、自分が大切にしたいもの、自分が忘れてしまったものが見つかるかもしれません。
日本の田舎はどんどん少なくなっています。自然は削られ、方言は忘れられ、ちょっとした風習がいつのまにか無くなっています。田舎時間企画では、田舎を楽しむだけではなく、田舎の価値を発見し、主張し、守っていきます。
都会に住む多くの人は帰る場所がありません。コンクリートと電波に囲まれて生活するしかありません。時間はかかると思いますが、田舎時間企画で提供する場所が、ちょっと帰ってみようかなと思える田舎になればいいな、と願っています。
運営について
農業体験する人をお客様扱いせず、普段の生活・農作業をできるだけそのまま体験してもらうことに重きを置いています。
参加者の負担は主に行き帰りでかかる交通費ぐらいで、食事などは、農家の好意で用意されたりと、受け入れ農家の協力があって、企画は成り立っているようです。
また、宿泊農家の農産物を販売することも手掛けているようです。
参加者の感想
実際参加した方の感想が載っていたので、引用します。
田舎時間から帰った翌日、スーパーに買い物に行きました。いつも行っているスーパーは入口付近に果物売場がありますが、そこでおいしい果物に出会ったことがないので、大抵素通りしていました。しかし、その日は、田舎時間でお世話になっている果樹園でリンゴの収穫をお手伝いさせていただいたこともあり、リンゴと、すでに収穫が終わって販売中のラ・フランスを探しに行ってみました。すると、大きさの揃ったバラ売りのリンゴと箱入りのラ・フランスが陳列棚に飾られていました。どちらも山形産。「売っているリンゴはみんな柄が付いているなぁ。」「ラ・フランスはいただいたのよりも小さいなぁ。」収穫時に伺った話を思い出しながらいくつか確認したら、帰り際にいただいたリンゴが急に食べたくなりました。
帰宅してリンゴを一つ手に取ると、両手でリンゴを真っ二つに割る「リンゴ割り」に再挑戦したくなりました。長沼さんのおばさんの得意技(?)で、参加者全員がラ・フランス3kgの景品をかけて挑戦したものの及ばなかったものです。コツを思い出しながらやってみると、メキメキと音を立てた後、五分後にはリンゴが二つに割れました。運が良かっただけでしょうが、とてもうれしくなりました。
割れたリンゴを食べながら、私たちを受け入れてくださったN家のみなさん(特に、おじさんの屈託のない笑顔)や、リンゴの収穫のお手伝いにいらしていたみなさんの顔を思い出しました。僭越ながら、これまではその生産者を思いながら食べ物をいただいたことがありませんでした。生産者と流通ルートの末端にいる自分とのつながりがあまり感じ取れませんでした。でも、今回初めて田舎時間に参加して、快く出迎えってくださったみなさんの温かさに触れて、実際にお作りになったものをいただいて初めて、食べ物を手にすることができることの有り難さを実感しました。割ったリンゴの蜜と水分が喉に染み渡ったとき、自分の心と体が満たされたことと新たな発見ができたことに感謝せずにはいられませんでした。
都会の生活から離れて、非日常的な田舎へ来ての1泊2日という短期間だから、とりわけ印象的に映るようです。
それが普段の生活に戻ったとき、どれほど繁栄されるかは分りませんが、それでも生産者その人となりや、生産側の事情、消費者側に届くまでの過程を知ったことは、すくなからず普段の食べ物について、考えるきっかけを与えてくれるように思います。
このような生産者と消費者をつなげ、生産と消費について一緒に考えていける関係作りが増えていけば、普段の食生活を変えていくことも可能ではないでしょうか?
最後まで聞いていただき、ありがとうございました。
最後にぽちっとお願いします。
投稿者 keitaro : 2011年01月08日 TweetList
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コメント
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