日本人の一年(ひととせ) |
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2009年12月30日
1章 あらゆる生命はエンジンである(その2)
前回 の続きです。
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■細胞間で養分のやりとりをする菌類(P.32)
菌類は、水溶液であれば有機物と無機物の区別なく、細胞膜を通して養分を吸収する。多くの菌類は死んだ生物組織を分解する酵素を分泌して水溶液の養分に変えて利用する。なかには放線菌のようにストレプトマイシンなどの抗生物質を分泌して他の細菌などを殺して養分を奪うものもいる
菌類は、細胞間で養分の水溶液や毒物の水溶液の受け渡しがなされている。これが細菌類との違い。養分のやりとりがなされていなければ菌類ではない。
多細胞生物での細胞間の養分や毒物の受け渡しをつなぐと、物質は循環している。
■有機物の固まりを体内に取り込む生物=動物(P.34)
動物には口と消化管と排泄口があり、口から取り込んだ有機物の固まりを消化壁から分泌する消化液により分解し、その水溶液を消化管壁の細胞膜から吸収する。その能力により身体が大きくなると、細胞膜間における養分や毒物の直接受け渡しでは対応しきれなくなり発達したのが、血管と血液である。それは新しい物質循環系の獲得であり、そのことで動物は生命エンジンの効率的運転を可能にした。
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■無機物も吸収し利用する植物(P.37)
細菌、菌類、動物は、水溶性の有機物を養分として取り入れている、それに加えて水溶性の無機物も取り入れて生活する能力のある生物を植物という。水中植物は体全体から養分の水溶液を吸収するが、地上の植物は、主に土中の根から養分を吸収する。
植物も他生物と同じで、水溶液ならば糖やアミノ酸などの有機物を取り込める。驚いたことに、分子量8000という小型のタンパク質水溶液でさえ取り入れて利用できる。
前述のように選択的な吸収をするのではなく、水に溶けている有機物も植物の根の細胞膜を通して自動的に入ってくるというのです。不用な毒物は選択的に排出するが、役に立つブドウ糖やアミノ酸などの有機物を捨てたりはしないのです。
分子量8000の小型タンパク質をも取り込めるというから、その穴の直径は最大で2ミクロン程度と考えられており、乾燥に耐えて自在に開閉できるらしい。植物は無機物のみを吸収し利用するというリ―ビッヒの「無機説」は、今は退けられているらしい。それは、肥料業界に都合のよい論理であるがゆえに一世を風靡したのかも知れません。
なにはともあれ、植物が土の中の水にブドウ糖やアルコールやアミノ酸が溶けていたら吸収できるという事実は、有機肥料に含まれる有用な有機物が重要であるということになります。これは、有機農法や自然農法が理に叶っていることにつながる要素でもあります。
そういえば、林業家や園芸家が植物に感謝の気持ちを唱えながらお神酒を植物の根元に注ぐ映像を見たことがありますが、彼らは、植物がそのような能力を備えた存在であることの確信を持っているからではないか、と思えます。
■温室内で石油を燃やすのはCO2を供給するため(P.40)
数億年前の大気中のCO2濃度はもっと高かったのに、現代はわずか380ppm程度しかない。したがって、密閉した温室栽培の場合は、CO2が簡単に消費されて不足しがちになる。だから、石油を燃やしてCO2を供給しているのは炭素不足を補うためである。
という件は、「物質循環」という概念あればこそでろう。
原産地に近い環境を再現しようと試みる永田農法では、雨露を避けるためにビニールハウス使ったりするが、理を極めた人の論理と成果には思わず頷いてしまう。
■光合成もエントロピーを増大させている(P.41)
光合成反応とはCO2とH2Оからブドウ糖(CH2О)と酸素(О2)をつくる反応で、ブドウ糖を燃焼する反応の逆反応である。(中略)
実は、光合成反応では、化学反応式つまり理論的に必要とする太陽光の量に比べて、実際には3倍以上の太陽光が必要である。なぜ、そのように余計に太陽光が必要なのか、これまで理由がわからなかったが、この余分な太陽光が熱になることによって、呼吸とは逆反応の光合成反応もエントロピー増大となり、矛盾ではなくなるのである(槌田1992)。
陸上植物は15~30℃の範囲で光合成をするので、太陽光の熱で植物の躯体が高温になるので防ぐために、植物は蒸散で水冷する事で解決している。それが陸上植物の光合成に大量の水が必要な理由である。 砂漠の植物は早朝の涼しい間に空冷することで熱処分して光合成を行い、昼間は休んでいたのだ。
地球上の大量の生物がエンジンとして活動すれば、物と熱のエントロピーを発生し、地球に排出すればそのエントロピーがそのまま溜まり続け、地球上のすべての生命活動は止まるはずである。しかし、原始生命が発生してかた33億年も新しい生物が次々と加わっては生態系の形を変えながら維持してきた。
なんでだろう?
出典:「地球生態学」で暮らそう(槌田敦著/ほたる出版)
(つづく) by びん
投稿者 staff : 2009年12月30日 TweetList
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コメント
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