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2008年10月04日

貧困と飢餓が起こる真の原因構造(黒幕はグローバル企業と世界銀行)

どうも雅無乱です。

先日紹介した、ブログ仲間と協働して作成中の農業問題を扱った新しいグランドセオリーの担当部分、第3章の叩き台を作ったので、ブログに仮アップしてみたい。いろいろツッコミよろしく。

第3章 グローバリズムがもたらす食糧危機

■世界の貧困と飢餓を拡大させた「緑の革命」の実態

現在の世界の食糧危機の原因をさかのぼっていくと、必ずと言っていいほど「緑の革命」に行き当たる。

「緑の革命」とは、“世界の食糧危機を克服する”目的で、1940年代から1960年代に世界で推進された運動。高収量品種(HYV種)の導入や化学肥料の使用などによって、穀物の収穫量増大をはかったもの。

「なんで食糧増産が食糧危機の原因になるの?」と意外に思われるかもしれないが、(2章で触れたように)この近代農業の導入が各地で地域社会を破壊し、自給自足や地域農業を崩壊させ、飢餓人口をかえって増大させた主原因なのである。

そのプロセスは概略次のようになる。

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出典: 【図解】「緑の革命の本質とは」

①「農業改革」そのための「開発援助」と称して世界銀行が途上国に融資を提案する。
 高収量品種(HYV種)や農薬を生み出したモンサント等の巨大メーカーやカーギルなどの穀物メジャー、そしてそれら巨大資本を動かす金貸し勢力の息のかかった研究機関等の要員が、途上国政府の上層部に融資を持ちかける。この融資は、東西の冷戦構造とも相まって、あらゆる手段をもって途上国は承諾させられた(参考書籍:『エコノミックヒットマン』ジョン パーキンス著、古草 秀子訳 東洋経済新報社)。
②高収量品種(HYV種)は、大量の水を必要とする。融資された資金をもって、土地を集約し、ダムや水路・道路などの大規模インフラを整備する。工事を受注するのは専ら多国籍企業であり、世銀から途上国政府が借りた、結局資金は先進国へと還流する。
③高収量品種(HYV種)は他にも、多量の化学肥料・農薬、そして一代限りの種子(F1)を大量に必要とする。高収量を上げ続けるには、これらを毎年購入しなくてはならないが、普通の農家には不可能である。逆に、収穫した農産物は先進国に買いたたかれるため、多くの人々が土地を追われ経済的に生きていけなくなった。
④多国籍企業は、このようにして土地を追われカネが無くては生きていけなくなった地元の人々を、不当な低賃金で雇って、本国で売れる単一作物を作らせる。
 作物は、天然ゴム、タバコ、コーヒー、カカオ豆、パーム油、サトウキビ、茶葉、綿花など、趣向品が多く、おおよそ主食にならないものばかり。地元の人々は、輸入された先進国の食糧を、労働で得た賃金で購入するしかない(WTOは、先進国に有利な貿易のルール作りで、途上国の破壊に一役買った)。その結果、自給自足的な地域共同体は破壊され、ささやかに暮らしていた地元の人々は完全に市場に組み込まれる。
⑤多量の化学肥料・農薬を使用する近代農業は、年ごとに収穫が減少し、さらに多くの資材に依存する悪循環をもたらす。運良く経済的に破綻しなくても、農薬による自然破壊や健康被害、大量の水を使用するため塩害などが起こり、農業生産ができなくなる土地が続出する。


このようにして、途上国の今までわずかでも食糧を生み出していた農地は、農薬汚染や塩害などで砂漠に変わっていった。貧しい国には餓死者が大量に発生した。

途上国には、農薬、化学肥料、種子、インフラ整備の費用が莫大な借金として重くのしかかった。

モンサント等の種苗・農薬メーカー、カーギルなどの穀物メジャー、ベクテルなどの開発企業、そしてそれら巨大資本を動かす金貸し勢力だけが、数千万の途上国国民の死体と引き替えに巨利を得た。

これが「緑の革命」と称して行われた「国連による経済支援」「世銀による開発援助」の実態である。

■這い上がろうともがく者をさらに崖から突き落とすIMF

世界銀行からの多額の借金や、乱開発による社会的・経済的混乱などで財政的に破綻した途上国から、先進国がさらに貪り尽くす事に手を貸す機関がある。IMF(国際通貨基金)である。

IMFは、1979年以降、「融資の効果を阻害するような政治状態の国」には、「政策改善」を条件にした(コンディショナリティ (Conditionality) )融資を行うようになった。
その国家の政策に対して外から口を出す権限を得るわけだ。

この際に、対象国に課せられる要求のことを「構造調整計画 (SAP:Structural adjustment program) 」と呼ぶ。

緊縮財政を敷き福祉などの支出を大幅カット、税金△で国民から搾り取るだけ搾り取り、市場開放、貿易の自由化、公的機関の民営化などを強制的に推し進め、徹底的にグローバル企業の餌食になるためのお膳立てを行なう。

これにより、アフリカ諸国や南米(ブラジルやアルゼンチン)、アジアなどの途上国では、様々な経済問題(失業など)が発生し、社会が大混乱に陥った。
IMF.jpg
画像上の日本語訳:「はい、この通り。あんたがたの発展のためのインフラ整備は完了しました。そのために我々があんたがたに投資してできた借金は、ちゃんと返してくださいね。当然でしょ?」
※画像は↓ここから。
http://www.under.ch/SansTitre/Archives/Images/Vrac3/Vrac3.htm

■世銀による新たな共認支配:グリーン・ネオリベラリズム

世界の貧困や飢餓の撲滅を掲げる国連の組織(世界銀行やIMF)や、世界の公正な貿易の推進を謳う組織(WTO)が、実は、単にアメリカの巨大企業の利益を上げるためのお膳立てを行う機関に過ぎない。この事実は、なぜか日本ではあまり知られていないが、世界では常識になっている。その証拠に、反グローバル運動は世界中で大きなうねりとなっている。

この全世界からの非難に対抗するために、世銀はこんな手をうっている。

参考書籍:『緑の帝国』世界銀行とグリーン・ネオリベラリズム
マイケル・ゴールドマン著  京都大学出版会
 
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彼らが行っているのは、自分たちの主張にお墨付きを与える学者に研究資金を出し、御用学者として飼いならしながら、世界の環境運動、貧困撲滅運動を行う非営利組織などを逆に取り込んで味方に付けていく、という巧妙な方法である。

学者を金(研究費)で釣って、己の都合のいい理論武装をするために利用している。これは昔からロックフェラー財団などが行っている方法論で、特に新しい手法ではない。だが、プロ専門家の仮面をかぶった人々が都合よくねじ曲げたデータを出して、「権威」を主張されたら、途上国や貧困層の人々はなかなか有効な反論ができない。協力しない学者は学会から徹底的に干されるので、学者生命を賭けて反旗を翻す学者は稀少である。それに加えて、巨大資本をバックとした企業をスポンサーに付けているマスコミも、正面から事実を報道することができない。

マスコミしか情報源の無い人々は、世界の福祉を考える超国家的機関である世界銀行やIMF、WTOが、まさか特定の企業と結びついて金儲けのお膳立てをしている…なんて夢にも思わないだろう。

こうして、人々の素朴な善意さえ、先進国企業によるさらなる途上国からの収奪に利用されているのである(ODAなどはその典型である)。

世銀は、今度は「地球温暖化」「CO2は悪」「自然保護」「アフリカの貧困」「第二の緑の革命」「貧しい人々に食糧を!きれな水を!」を声高に叫ぶことで人々を騙し、莫大な資金を集め、さらに効率よく途上国から収奪しようというシステムを整えていく。

現在起こっている、世界の飢餓状況を改善するためには、このような超国家組織(世銀やIMFやWTO)による欺瞞、収奪構造を白日の下に晒し、ふつうの人々の共認によって封じ込めていくことが必要なのである。

投稿者 nanbanandeya : 2008年10月04日 List   

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種子、石油、水・・・資源を独占されてしまえばたまったもんじゃないと思いますが、そうなったとしてもその事に気付けなかったら本当にヤバい事になりますね。
もうすでに支配されている??
早く読みたいです!

投稿者 せきや : 2009年3月3日 20:17

ありがとうございます。
既にかなりの部分が気付かないうちに支配下におかれてしまったりしてます。
今まで自然にあたりまえに存在した物が、企業の所有物となり、使用料が発生するようになる。
土地とか水もそうだが、例えば「遺伝子資源」などと呼んで、勝手に生物の遺伝子を特許にしたりとかされると、今まで種を普通にとって植えてたものに、カネを払わなくてはならなくなったりする。
恐ろしい事です。
続きはただいま草稿中です。しばしお待ちあれ^^;)

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