耕す市民を育てる ~ 自治体による農家と市民の橋渡し |
メイン
2008年08月19日
日本の農業再生を本気で考える、鈴木宣弘教授のメッセージ
こんにちは、小松です。WTO関連をもう一つ。
決裂に終わったWTO農業交渉について、若林前農相の談話が農水省のHPにアップされていました。
http://www.maff.go.jp/j/press/kokusai/kousyo/pdf/080730-01.pdf
若林農林水産大臣談話
21日から本日まで、9日間にわたって議論してきた。私は食料輸入国の立場をしっかりと交渉結果に反映させるべく必死に議論に参加してきた。
今日の、そして中長期的な食料をめぐる情勢を見据え、北海道洞爺湖サミットで合意されたように、我が国のような輸入に大きく依存している国も食料生産の強化に取り組むことが求められている。そのような中で、我が国の農業と消費者を守るために上限関税や重要品目の数について必要な主張をした。しかしながら、もちろん今回合意できなかったのは誰のせいでもない。
今回残念ながらモダリティ合意に達することができなかったが、これはドーハラウンド交渉の終焉(しゅうえん)ではない。我々閣僚がドーハラウンド交渉の結論を出すために再び集まることがあると信じる。そのときにも私は食料輸入国の立場で交渉の成功に貢献する決意である。
はぁ~、これが我が国の農政のトップの言葉かと思うと、ガッカリさせられると同時に 😥 、怒りすら覚えますね 😡 。
重要品目数については、当初は10%だったはずが、なんとか8%を勝ち取ってくる、という話に摩り替わり、あろうことか、4%プラス上乗せ2%という調停案に合意するつもりだったようです。それがインド・中国を中心とした途上国の必死の抵抗で交渉は決裂し、結果的に日本は助けられたのですから。
参照 「ドーハ・ラウンド 米国が補助金頼みの輸出農業を棄てないかぎり妥結はない」(農業情報研究所)http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/globalisation/multilateral/news/08073001.htm
この談話に怒りを感じた方は、ポチッと!☆応援ありがとう!
「10%が無理なら決裂させて帰って来い」、というのが農業関係者のほぼ共通認識だったと思います。その意味で、「農業情報研究所」北林氏の言葉を借りるまでも無く、日本の現政府が日本の農家、農村の利益や食料自給力の維持・向上を本気で考えていないということは、はっきりしました。http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/globalisation/multilateral/news/08073001.htm
アメリカやEUなど輸出国のやり方や、インドや中国など途上国(輸入国)の主張を捉え、批判する訳でもなく賛同する訳でもなく、かと言って交渉の総括をする訳でもない。何のための交渉なのか、何を決めてくるのか、その肝心の中身が全く無いまま交渉に臨み、規制緩和を迫る他国の言いなりになって、無理難題を押し付けられて帰ってくる、今の日本政府の姿はこんな感じでしょうか?
そのような規制緩和の流れに警鐘を鳴らすと同時に、日本の農政を本気で考える、東京大学 鈴木宣弘教授のメッセージを紹介しておきます。
「食と農の応援団」より。
我が国の農産物市場が閉鎖的だというのは間違いである。実は、日本ほどグローバル化した食料市場はないといってもよい。我々の体のエネルギーの60%もが海外の食料に依存していることが何よりの証拠だ。関税が高かったら、こんなに輸入食料が溢れるわけがない。
わずかに残された高関税のコメや乳製品等の農産物は、日本国民にとっての一番の基幹食料であり、土地条件に大きく依存する作目であるため、土地に乏しい我が国が、外国と同じ土俵で競争することが困難なため、関税を必要としているのである。
しかし、日本とオーストラリアとの2国間の自由貿易協定の交渉では、このような重要品目についても関税撤廃が強く迫られる可能性がある。一方、WTO(世界貿易機関)による多国間の関税削減交渉でも、大幅な関税削減を求められる可能性も出てきている。しかも、国内では、日本の将来方向に大きな影響力をもつ経済財政諮問会議等において、貿易自由化を含め、規制緩和さえすればすべてがうまくいくという人々が、さらに声を大きくしてきている。
規制緩和さえすれば、すべてがうまくいくというのは幻想である。農産物貿易も、自由化して競争にさらされれば、強い農業が育ち、食料自給率も向上するというのは、あまりに楽観的である。日本の農家一戸当たり耕地面積が1.8haなのに対して豪州のそれは3,385haで、実に約2,000倍である。この現実を無視した議論は理解に苦しむ。このような努力で埋められない格差を考慮せずに、貿易自由化を進めていけば、日本の食料生産は競争力が備わる前に壊滅的な打撃を受け、自給率は限りなくゼロに近づいていくであろう。
しかし、かりにそれでも大丈夫だというのが、規制緩和を支持する方々の次なる主張である。自由貿易協定で仲良くなれば、日本で食料を生産しなくても、オーストラリアが日本人の食料を守ってくれるというのである。これは甘すぎる。食料の輸出規制条項を削除したとしても、食料は自国を優先するのが当然であるから、不測の事態における日本への優先的な供給を約束したとしても、実質的な効力を持たないであろう。EU(欧州連合)も、あれだけの域内統合を進めながらも、まず各国での一定の自給率の維持を重視している点を見逃してはならない。ブッシュ大統領も、食料自給は国家安全保障の問題だとの強い認識を示し、日本を皮肉っているかのように、「食料自給できない国を想像できるか、それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」と演説している。
いま、我が国では、医療と農業が、規制緩和を推進する人々の「標的」となっており、医療についても、農村部の医療の「担い手」不足の深刻化等、医療の崩壊現象が日本社会に重大な問題を提起し始めている。医療と農業には、人々の健康と生命に直結する公益性の高さに共通性があり、そうした財の供給が滞るリスクをないがしろにしてよいのであろうか。農業が衰退し、医者もいなくなれば、地域社会は崩壊するが、要するに、無理をして、そのような所に住まずに、みんな都市部に集まれば、それこそ効率はいい、ということなのだろうか。
食料貿易の自由化も、一部の輸出産業の短期的利益や安い食料で消費者が得る利益(狭義の経済効率)だけで判断するのではなく、土地賦存条件の格差は埋められないという認識を踏まえ、極端な食料自給率の低下による国家安全保障の問題、地域社会の崩壊、窒素過剰による国土環境や人々の健康への悪影響等、長期的に失うものの大きさを総合的に勘案して、持続可能な将来の日本国の姿を構想しつつ、バランスのとれた適切な水準を見いだすべきである。一部の人々の短期的な利益のために、拙速な流れを許せば、日本の将来に取り返しのつかない禍根を残すことになりかねない。いまこそ、国民的な議論を尽くすべきときである。
投稿者 komayu : 2008年08月19日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2008/08/614.html/trackback
コメント
投稿者 kabu : 2009年1月14日 20:16
kabuさんその通りですね。
あらゆる業種の企業が、農業に関わっていく時代だと思います。
投稿者 naganobu : 2009年1月20日 08:01
私は車タイトルローン西キャロルオハイオ州を探しています
投稿者 car title loans chambersburg pa : 2013年9月18日 10:33
ノークレジットの給料日ローンを探しています
投稿者 faxing payday loan : 2013年11月8日 12:08
こんにちは!私の名前はDelmer Frigonと私はムーア、アメリカ出身。私は自動ポーンの作品についてウェブサイトを持っている。私はあなたのブログにコロラド自動ポーンについての私のブログからのリンクを配置します。
投稿者 car title loans : 2013年11月28日 07:54
こんにちは!私の名前はMaye Zagoracと私はChaseley 、アメリカ出身。私はCNAのクラスが提供さ場所についてのウェブサイトを持っている。私はあなたのブログにCNAトレーニングラクロスのWiについての私のブログからのリンクを配置します。
投稿者 cna certification online : 2013年11月29日 13:09
こんにちは!私の名前はケーリーSusichと私はウスター、アメリカ出身。私は、メイン州メッドCNAプログラムについてのウェブサイトを持っている。私はあなたのブログにユニオンシティカリフォルニア州のCNAプログラムについての私のブログからのリンクを配置します。
投稿者 cna programs : 2013年11月30日 07:34
あなたはどこに融資の最大のタイトルの融資を見つけるを知っていますか私はtitlemaxのスプリングフィールドのMOを探しています?
投稿者 title max loans : 2014年1月4日 14:10
カナダ411 trouverのitineraireを探してどこcanada411電子メールを見つけることができます
投稿者 411 canada : 2014年1月19日 14:03
hermes bags blue springs state park 新しい「農」のかたち | 棚田トラスト/企業から助っ人募集
投稿者 Spain Hermes handbags : 2014年2月18日 22:10
この制度がよりよく発展すればいいですね。
都会で働く個々人が、農業の生産現場に関わることは大変少ないし、どうして関わればよいのかわからないと思います。
企業が、仕事として農業に関わることが出来れば、企業も農業も新しい可能性が見えてくるように思えます。