2007年2月13日

2007年02月13日

「肥毒(ひどく)」=肥料の害、という考え方

我々は作物を栽培する時、「必要な栄養分として、どの肥料をどれだけ与えるのか」を基本的な考え方にしています。
しかし、小松さんが自然が教えてくれる事~無肥料栽培の原理地力はおちないか?~無肥料栽培の原理(2)の投稿でも展開されている「無肥料栽培」という農法を調べていくと、
「肥毒(ひどく)」=肥料の害、という考え方が提起されています。
肥料が毒?、害?。
近代農法の行き詰まりを解く上で大きなヒントになりそうなので紹介します。

 なぜ、無肥料栽培なのだろうか。実施農家の多くが「肥料は毒だ」「肥料で土が弱る」という。
 一般的に肥料の害として知られているのは、化学肥料の連用による弊害 である。土壌微生物(生物性)の激減や土壌物理性の悪化(単粒化)。有機肥料だとそのような弊害はないといわれているが、別な形で害を生むことがある。
有機物を未分解の状態で土に混入すると、それを分解するためにあらゆる微生物が旺盛に働く。このとき、分解程度が浅いほど、土壌病原菌に属するフザリウム・ピシウム・ネコブセンチュウなどの増殖を促し、発生する未熟ガスが作物の根を傷めてしまう。
 ところで、土壌の状態の良否は、ベッド(ウネ)の土と、その上のマルチの内側につく水滴(マルチ水滴と呼ぶ)のpHの違いでわかる。通常の原野などでは、この両者間には差がない。しかし、施肥栽培を繰り返し、未熟な有機物の連用を繰り返しているようなところでは、ベッドの土よりもマルチ水滴のほうが酸性になっている。現在の日本のほとんどの耕作農地がこの状態にある。逆にいい土といわれる状態は、マルチ水滴の のほうが高くなる。無肥料栽培では、この状態の土になることが目標である。
 また、「肥料は毒だ」といわれる最も代表的なことに、農産物中の硝酸塩(硝酸態チッソ)による人体への害がよく知られている。硝酸塩は人体に入ると、血液中のヘモグロビンと結合し、極度の酸欠状態と呼吸阻害を引き起こす(チアノーゼ現象)ほか、体内のアミノ酸と結合し、ニトロソアミンという発癌物質にまで変化する。近年このことが広く知られるようになり、減肥の必要性が叫ばれ始めたが、実際の現場レベルの農業においては収量の減少を懸念して、なかなか解決に動かないのが現状ではないだろうか。
また、減肥対策の一環として化学肥料から有機肥料へと移行する産地も多く出てきたが、実際の収穫物中の硝酸塩を計測すると、かえって有機肥料施用時のほうが硝酸塩残留度が高く計測されてしまったという事例が数多く報告され始めている。
 有機・無機を問わず、施肥に伴う過剰チッソは様々な障害を生み出す。土壌中の塩類濃度の上昇は浸透圧を高め、作物体から水分を逆流させる「根焼け」がおこるリスクや、硝酸塩が土壌に集積するとカルシウムやマグネシウムなどの塩基の流亡が促進されてしまうこともある。また、特に過剰チッソ施用は、農地の周辺水系の富栄養化や地下水の高濃度チッソ汚染にもつながっていることを忘れてはならない。無肥料栽培

「化学肥料の連用による弊害 」や「農産物中の硝酸塩(硝酸態チッソ)による人体への害」などは、ある程度我々にも認識されてきていますが、「有機肥料」にも問題があることや、肥料自体に問題がある、という視点は大きな認識転換を求められる内容です。
他にも肥毒に関するデータ-がありましたので参考として添付しておきます。
肥料の逆効果
実生ガーデニング、家庭菜園
自然のたまもの
   正国でした。

投稿者 totokaka : 2007年02月13日