食糧危機!!新しい農のかたちとは?! 3章グローバリズムがもたらす食糧危機② 資源の危機~水の枯渇、土壌汚染 |
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2008年11月22日
食糧危機!!新しい農のかたちとは!?【食のグローバル化とアメリカの共認支配】
グランドセオリー『食糧危機!!新しい農のかたちとは?!』の連載継続してUPしています。
今回は「食のグローバル化とアメリカの共認支配」です。
NHKスペシャル『世界同時食糧危機~アメリカ頼みの“食”が破綻する』(2008年10月)でも、アメリカ一極支配に異を唱えておりました。ただ、決して日本や途上国が選んで「アメリカ頼み」になったわけではありません。本稿ではアメリカが謀った“戦略”にまで迫ります。
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【食のグローバル化とアメリカの共認支配】(草稿)
1960年、80%を超えていた日本の食料自給率は今40%を切っている。その状況がアメリカによる「仕組まれた共認支配」によって作り出されたことはあまり知られていない。
太古の昔、地球規模の気候変動による急激な寒冷化によって、人類はそれまでの狩猟生活では生きていけない深刻な食糧危機に遭遇した。そもそも食糧確保は、集団にとって自主解決すべき根本問題である。この危機的状況の中、その解決策として農業が始まったのである。
しかし現在、多くの国が食を外部依存しており、食糧高騰によって簡単に暴動や政権崩壊etc.社会秩序の崩壊に至ることが、‘08年の食糧危機で明らかになった。
実はこの状況、半世紀に渡るアメリカの食料支配の結果なのである。アメリカは戦略として“食料による支配”を画策し世界的な食料支配を行ってきた。
食糧確保は本来、自主解決すべき根本課題であるが、今はお金さえ払えば自らが生産しなくても食糧を手に入れられると皆が思っている。
農業生産が中心と思われがちな途上国も食糧は外部依存しており、輸出してお金になる趣向品(天然ゴム、タバコ、コーヒー、綿花など)が主要生産物になっている。
日本もバターの品切れ、小麦粉の高騰でようやく自給率40%の実態に気付かされるくらいに、外部依存が当たり前になっている。お金を払っても買えない状況に片足を踏み入れているのにもかかわらず、「他人に食糧を委ねる」という危険性が認識できない。
見落としてならないのは、途上国や日本が自ら選んでこのような状況になったのでは無い、という事である。「外部依存して当たり前」「お金こそ生存基盤」という状況こそ、全てアメリカが描き出した食糧支配、市場拡大の構図なのである。
では、どうやって世界を支配したのか? その始まりは、実は日本にある。
アメリカの生産力は他国に比べて圧倒的に高い。自国の食糧を確保しつつ、余ったものを外に売る=攻撃的な食糧政策を行ってきた。まずアメリカは、日本が敗戦という極限状態におかれている中、食糧支援という形を装って日本の食生活の欧米化を図った。“結い”や“もやい”といった相互扶助の精神で集団生活を営んできた日本人にとって、アメリカの支援は疑いようもなく、平和友好の証しとして快く受け入れられた。アメリカの画策と日本の精神が嵌りに嵌ったのである。アメリカにとってみれば、これほど思惑通りに事が運ぶとは思わなかっただろう。
結い ~「NHKスペシャル」より
自然災害、戦争などの人災などもネタにされた。そのやり口は様々で、伊勢湾台風の復興支援に行われた「豚空輸作戦」、戦後の高度経済成長期に行われた栄養改善指導の「キッチンカー」「学校給食」など、アメリカは戦後一貫して日本人の舌を馴らし、食生活を変えてまで輸出してきた。当初から“混乱期につけこんだ長期的な戦略”を企てていたのである。
自主生産すべきものを「輸入でええやん」と促がすことで、集団の結集軸である根本的な共認課題を破壊し、共同体そのものを破壊する。日本は世界に先駆けて食糧支配の実験場にされてきたのである。
キッチンカー 「写真でたぐる昭和の記憶」より
集団の破壊は、市場を拡大する意味で極めて重要だった。「自由と平等」「個人主義」は市場拡大のための謳い文句であり、様々なコミュニティの崩壊を踏み台にして幻の豊かさが創り出されてきたのである。
‘60年代、それまで農業を営んでいた働き盛りの男達の中には、物質的な豊かさを求めて都市労働者(サラリーマン)に転向する者が増えてきた。労働力を賃金で切り売りする市場の住人になっていったのである。一方、働き手を失った農村では残されたおじいちゃん、おばあちゃん、おかあちゃんが農業を行う「三ちゃん農業」が増えていく。共同体の消滅、働き手の流出による生産基盤の弱体化の中で心もとなくなった農家は、農業協同組合(現JA)に頼らざるを得ない。生産に関する全てのこと(労働力・除草・農薬・施肥・集荷)を農協主導のマニュアルとお金で解決するようになっていった。
このようにして人々の生活は、かつての「仲間の期待がかかる集団的営み」から「お金がかかる個人の営み」に変貌したのである。
日本の成功事例から食の外部依存へと導くことによって売上げ市場の拡大⇒価格支配できる、という旨みを知ったアメリカは、世界的に豊かさ共認を広げていった。
‘08年の食糧危機もアメリカが一極支配してきたことが原因である。後進国が豊かさを求めたときに、農業から工業に転換させ、食糧を他国アメリカに依存するように仕向ける。一極支配を踏み台にして、「買わないと食えない」という状況を作り出してきたのである。結果的に、食糧の幻想価値が拡大し、実質を遥かに超えた価格で取引されることが可能になった。今回の穀物高騰も、このような一極支配の中、他に投資する先がなくなった資金が全て穀物市場に流れ込んで起こった事態。
共認支配により対象国の生産基盤=安心基盤である集団を崩壊させ、バラバラな個人として消費者に仕立て上げる。さらには、生きる上で不可欠な食糧を一極支配する。
これがアメリカ主導による「食のグローバル化」の正体である。
(※皆で推敲を重ねてさらに良いものにしていきます。お楽しみに )
投稿者 pochi : 2008年11月22日 TweetList
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