農を身近に★あぐり通信vol.3:農業とTPP~TPPは実は農業だけの問題ではない~ |
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2013年04月12日
タネから次代の農業を考える2.固定種は本源回帰の種
本シリーズ第1章でも紹介した【市場拡大期】以降、農業はF1種を始めとする様々な人工的技術を駆使して現代の農業に至っています。
しかし、そこには土地(土)に膨大なリスクを与え、今まさに死に絶えようとしているのが現状です
その構造を簡単に図解化してみました。
現在でも、全農家の9割以上が何かしらの化学肥料・農薬を使用しているのは事実です。
このままでは、さらに大量の肥料や農薬といった化学物質が田畑に撒かれ、土は死に絶え、そのためまた大量の化学物質が田畑に撒かれ・・・といった悪循環に嵌ってしまい、自然循環が出来なくなります。
それどころか、「作物すら栽培出来ない」といった状態にも成りかねません。
そもそもこの既存の市場には「循環」といった概念は全くと言っていいほど度外視されてきました 😥
この悪循環に嵌らないためにも今、化学物質に頼らない農業への転換が必要になってきているのではないでしょうか?
今回の記事では、その突破口として、肥料や農薬に頼らない固定種(自家採種)栽培の可能性を示していきたいと思います
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■ 自家採種した種は適応力を発揮する
プロローグでも提唱していますが、これからの農業は皆の期待(自給期待)を掴み、それに応えていける必要があるのだと思います
その期待に答える手法の一つとして、自家採種での栽培=循環型農業もまた例外ではありません。
重ねて紹介しますが、プロローグでもあるように、
伝統野菜とは、その土地で古くから作られてきたもので、採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの。
そう、その土地に適応していく事で肥料や農薬に頼らない農業が可能となってくるのです。
この「適応力」。いまいちピンと来ない方が多いかと思います。果たして本当に適応力は出てくるものなのでしょうか
実際に固定種栽培をされている農家さんの事例を紹介したいと思います
「タネは自家採種を繰り返すほど力を発揮する」~佃 文夫氏の事例~
私は、茨城県市で秀明自然農法に取り組んで18年目になります。自然尊重・自然順応の理念にもとづき、農薬や肥料を使用せず自然の力だけで作物を栽培します。自然に順応して栽培するには、肝心の土とタネが清浄で健全でなければ力は発揮されません。ですから自家採種は、秀明自然農法に取り組むうえで欠かせない重要な要素といえます。
毎年コマツナをつくっていますが、自家採種代数が10代を超えるコマツナがあります。何年か前の話ですが、そのコマツナのそばに購買種の山東菜(固定種)をつくりました。すると山東菜は、10~15cmの大きさになったころに虫がついてボロボロになってしまいましたが、コマツナのほうは平気でした。すぐそばにあるので虫がついてもよさそうなのですが、つかないんです。もちろん、まったく虫がいないわけではありませんが致命傷になることはありません。
~(中略)~
つまり、虫がいるから虫がつくのではないということです。虫はいても、つくものとつかないものがあるんです。子どものころ、冬になると風邪が流行って学級閉鎖になることがありましたが、そんなときでも平気な同級生は、たいていは冬だというのに半袖半ズボンでやたらと元気がよかったものです。野菜でも、元気なやつ、健康なやつは、病気にならないし虫もつかないんです。
だから、私は虫取りはしません。虫のせいにしているうちは根本的な解決はできないからです。多少は食われても、致命傷になることはない。こんな健康な作物を作るには、自家採種で健康なタネをつくることが大切です。
引用元はこちら →外圧適応態
全ての生物は外圧環境に対する適応態である。自然圧力に対する適応、他の生物(他の種)との間で生み出される圧力に対する適応、そして同じ種(あるいは群)内部で生じる個体間の圧力に対する適応態として存在する。それぞれの環境の生み出す圧力状況下で、対自然闘争・外敵闘争(種間闘争)・個間闘争が活性化され淘汰適応していくのである。そして、生物はさまざまな適応戦略をとっていくことになる。
この事例から見ても分かるように、固定種はその土地で生き残っていくために世代を継いで様々な外圧環境と常に闘い続けて 👿 きたからこそ、その土地に根付いて(適応して)いったのだと思います
一方、F1種は外圧と無関係に人間の一方的な都合で生殖を行わせてきたので、外圧への適応力が固定種に比べ断然弱いのです
つまり、F1種はやはり肥料や農薬という手伝いをしてあげなければいけないのに対して、固定種ではそういったものは一切不要になります。
■ 「循環型」という本源回帰
固定種を栽培していくに当って肥料や農薬といった化学物質は一切不要になります。それはつまり、循環型の農業が可能という事です。
この「循環型」というのも決して新しい認識ではありません。
第1章でもあるように、市場拡大以前までは当たり前の事として循環型は存在しました。
つまり、「新しく始める」のではなく、「失われたものを取り戻す」と言った方が正しいかと思います
無理矢理な市場拡大によって循環型という農業体系だけではなく、人の農業に関する一般常識すらも狂わせ、現在の農産物の価値軸は「低価格」や「見た目(品質)」といったものが大きく取り上げられています。
しかし、これからは市場経済において圏外であった「循環」という本質的な価値軸が第一価値に再浮上する社会となってきているのではないでしょうか
つまりF1種⇒固定種へ転換するという事は、
農産物の市場的価値(大量生産・大量消費)⇒本質的価値(循環型の社会)への回帰の可能性を十分に秘めています
次回の記事はその「回帰」への実際の潮流や可能性事例を紹介したいと思います
お楽しみに
投稿者 staff : 2013年04月12日 TweetList
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