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2022年11月03日

「腸が作る健康の秘訣」最終回~腸は自然外圧と直結した外識機能

腸が作る健康の秘訣を8回のシリーズで扱ってきました。

人体の健康こそ自然の摂理の中に答えがあるのだと気付かされたシリーズです。人類は単独で生きているわけではなく、植物から動物、様々な生命体の循環の中で生きている、生かされているのです。それは植物、動物以降の起点となる土の中にその答えがありました。人類は様々なものを食べることで進化し、生きながらえてきたのも全てこの土のお陰です。

動物の骨、骨髄、木の根、葉っぱ、虫、魚、・・・そしてその延長に現在の食卓があるのです。しかし、これだけのものを食べられる動物はそう多くありません。人類の最も優れた特徴です。それを可能にしたのが腸内細菌の進化であり、共存です。その腸内細菌は土の中の細菌のしくみとほぼ同じで、腸内の発酵を通じて栄養を取り込み健康を維持しています。

健康とは腸で始まり、腸で終わるというくらい腸壁の腸内細菌が重要で、様々な腸内細菌にバランスよく働いてもらうためバランスのよい食材を取り込んでいくことが必要なわけです。現在は好きなものを好きなだけ食べられる時代になりましたが、健康にとっては危険な状態です。飽食が腸内のマクロファージ(免疫細胞)の動きを鈍らせ、腸壁を貫通して細菌が体内に入っていき病気に侵されます。マクロファージと腸内細菌の関係はまだ追求できていませんが、同様の食材が効果があるという点から相似機能にあると想像できます。このシリーズは今回で終わりとなりますが、引き続き人体と自然界の関係を追求し、健康とは何か、食べるとは何か、土と人体の関係は等、多くの継続課題を残しつつ今回のシリーズを終えたいと思います。

尚、本シリーズの記事を書く上で大いに参考にさせていただいた著書『腸と森の「土」を育てる』(著:桐村里紗)にはこの場を借りて感謝申し上げます。

以下はシリーズダイジェストです。できるだけ原文を採用しています。

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『腸が作る健康の秘訣』プロローグ: 健康で充足した生き方をするために、人類の生命原理に迫る! – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

最も健康に気を使っている現代人が逆に最も病に冒されやすい、そんな矛盾も登場しています。健康って一体どういう状態なのだろうか?そこから追求してどうも腸内がそれを司っているのではないか?最近登場している「腸内細菌が健康を司る」に照準を当てて「いかに健康に生きるか」を追求してみたいと思います。

人類にとっての生命原理も、動物や植物と大きく異なるはずがなく、植物が根を通じて土中の微生物と必要な栄養分をやりとりして共生しているのと同じように、人類も微生物や細菌と共生することで健康状態を保っており、その中でも、腸の役割が極めて重要と考えています。

 

「腸が作る健康の秘訣」第1回 腸を知るための土の仕組みとは・・・ – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

「人は森であり、腸に「土」を内包しているー」
人にとって最も身近な自然環境は「腸内環境」であり、そこは人が根を下ろす「土」にあたる。土壌に暮らす微生物が、食べ物と共に腸内に移住したものが腸内細菌の起源であり、人は今でも「食べる」ことを通して、外的な環境と接続しているのだ。日頃の食べ物が腸内の土作りの材料になり、消化や腸内細菌による発酵を通じ栄養豊かな土となる。それはまるで、森の落ち葉や動物の死骸から腐植土が作られるシステムと同じである。~『腸と森の「土」を育てる』(著:桐村里紗)

腐敗土は発酵による美しい錬金術の産物です。
微生物は、フルボ酸などの有機酸を産生します。この酸はとても重要で、土壌のphを最適化し、土壌微生物の活性から植物を元気にします。微生物が発酵を繰り返して積み重ねた生命現象なのです。

 

「腸が作る健康の秘訣」第2回 土と全く同じ仕組みが、腸の中で作られている – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

人にとって文字通り「土壌」となる腸内環境は、森における土中環境と完璧な相似形です。多様な生物が織りなす森のシステムは、人と腸内細胞が作る「超生命体システム」に再現されます。

土の微生物を取り込むことによって腸内の土壌改良がなされるので、化学肥料や農薬を使っていない有機野菜であれば、土がついたものを丸ごと食べるのが一番健康によいのですが、現代人は土を汚いものとして何でもきれいに洗ってから食べています。これでは、せっかく野菜についている微生物がいなくなってしまい、健康という点では本末転倒なのです。

 

「腸が作る健康の秘訣」第3回 腸内細菌の中で最も重要な菌って何? – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

腸内細菌の中でも最近注目されているのが酪酸菌です。この菌は乳酸菌やビフィズス菌のように食べ物からはとることが殆どできず、体内で生み出されていく菌です。1)腸内を弱酸性に保つ環境を整える、2)便秘の改善、3)アレルギーからの防御、4)免疫機能のバランスを整える、5)肥満にならない、6)脳機能の向上、7)発がん性物質の抑制など多くの役割を果たしています。この酪酸菌や短鎖脂肪酸などの有用菌は、いわゆる健康に関わる全ての機能を担っているのです。酪酸菌とは様々な腸内細菌が役割を果たす上でのベースとなる環境を整えているのです。逆にこの菌が少なければテニスコート1面分の腸内細菌も十分に役割を果たせずバラバラな動きをしてしまうことで超重要な菌とも言えるでしょう。

酪酸菌を増やすには・・・という事でリンクでは食物繊維をしっかりとる事とアドバイスされています。海藻、果物、穀物、豆類がよいようです。

 

「腸が作る健康の秘訣」第4回 「善玉菌」「悪玉菌」の善悪って何? – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

腸内細菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」に分類されており、善玉菌と悪玉菌の割合は2:1で、善玉菌は全体の20%、悪玉菌は10%、日和見菌は全体の70%を占めています。

悪玉菌が「悪」とされるのは腐敗時に毒素を算出し、病気の原因となるからですが、実は発酵と腐敗には、物理的・化学的な明確な違いは存在しません。いずれも、食品がおかれた環境や食品成分に適した微生物が増殖して食品成分を分解することで生じる現象なのです。腐敗と発酵の区別は、人の価値観に基づいて、微生物作用のうち人間生活に有用な場合を発酵、有害な場合を腐敗と呼んでいるにすぎず、臭いの強いくさややふなずしなども、微生物の有用性が認められるのであれば発酵食品と呼ばれます。極端な話、納豆はそれが好きな人にとっては発酵食品に分類されますが、嫌いな外国人にとっては腐敗品に過ぎないのです。「善」と「悪」に分けたのは、キリスト教に影響を受けた西洋科学の思考法に起因しており、善悪の価値判断で分類しようとするから、どちらにも当てはまらない7割が「日和見」に分類されています。事実は、すべての菌が何がしかの役割を担っており、それらのすべてが影響し共存することで生命が維持されているのです。

 

「腸が作る健康の秘訣」第5回 腸が外圧を捉え、脳がどうするを考える – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

腸が健全だと脳も健全であるという考え方もありますし、腸が直接に外圧を捉えるので脳が素直にその信号を受けて対応するというのもあります。つまり、主従の関係で言えば外圧に対しては腸が主で脳が従になるのです。また、腸が感じた外圧を軽く考えたり、捨象したりすると脳は病気になり神経障害や悩みや鬱に繋がるのです。

最近「腸脳相関」という言葉をよく聞きます。腸と脳は、自律神経やホルモン分泌、生理活性物質などを通じて、24時間365日、そして毎瞬時、私達が気が付かないうちに、互いにコミュニケーションをしていることが明らかになっています。腸内細菌業―腸―脳軸とも呼ばれます。これはもはや独立した2つの臓器ではなく1つのネットワークだと考えられます。

腸はじつは最大の面積を持つ感覚器官です。また腸は常に外界と接している場所なので外からの刺激をリアルタイムでインプットする必要があります。腸にはびっしりと神経が張り巡らされています。入力、出力端子をあわせて「腸管神経系」と呼ばれるこれらの神経系の細胞は、4億個から6億個と脊髄の神経細胞の総数に匹敵するとされています。そのため、内臓感覚としての胃腸の動きや腸内細菌業の状態は膨大な情報として常に脳の中枢コンピューターに入力されているのです。全く無視できません。

「腸が作る健康の秘訣」第6回:健康になるためには、なにを食べらいい? – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

「バランス良く色んなものを食べるのが良い」とよく言われますが、どう「バランス」をとれば良いのでしょうか?

他の動物は、食物連鎖内での種としての生存闘争によって、それぞれの種が決まった食べ物を食べることで棲み分けているのに対して、体格的にも機能的にも劣る極限時代(人類が誕生して以降、弓矢等の武器を手に入れるまで)の人類は、縄張りを確保できず、生き延びることができたこと自体が奇跡的なほどでした。当時の人類は、他の動物が食べない骨を割って骨髄をすすったり、草の根っこを食べたり、生き延びるために食べれるものは何でも食べていました。その状況に適応するために、人類は腸内に多様な腸内細菌を取り込んで、いろんなものを消化できるようになりました。

「バランス良く食べる」とは、多様な腸内細菌たちに合わせて、彼らのエサを与えてあげるために必要なのです。

 

「腸が作る健康の秘訣」第7回 少食(腹7分)はなぜ健康によいのか?~マクロファージの観点から – 新しい「農」のかたち (new-agriculture.com)

最近の研究で少食の優位性をマクロファージの観点から解明したものがあります。生命の起源はマクロファージです。単細胞から多細胞生物に進化した段階で原始マクロファージが発生したと考えられています。原始マクロファージはその後、各臓器を構成する細胞、免疫細胞である顆粒球、リンパ球等に進化して行きました。飽食になるとマクロファージが栄養処理に回るので本来の免疫役割を果たせなくなるという内容です。それが生活習慣病になる理屈でもあるのです。つまりマクロファージを本来の免疫機能として活性化させるために常に腹7分は効果があるのです。

マクロファージを活性化できる食べ物って何でしょうか?
少食もありますが、食べ物自体で活性化する方法もあるようです。それがかつて日本食でよく言われたバランスのよい食べ物「まごはやさしい」なのです。
「まごはやさしい」=ま「豆」・ご「ごま」・「は(わ)」わかめ・や(野菜)・さ(魚)・し(しいたけ等キノコ)い(芋)

投稿者 tano : 2022年11月03日 List   

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