| メイン |

2012年01月17日

【コラム】食育で人の心を掴む!~農業研修会での気付き

みなさんこんにちは。
先日、みえ農業法人会の研修会に参加してきました。
みえ農業法人会とは、三重県内の農業法人の集まりで、情報や技術を共有し、お互いに向上していこうという主旨の集まりです。
今回は、研修ということで、三重県の南にある熊野市に行ってきました。
熊野市ってどんなところか知ってますか?「熊野古道」は有名ですよね。その他には、「丸山千枚田」というところも有名です。
img_366363_5474743_0.jpg
「熊野古道」こちらからお借りしました。
09.jpg
「丸山千枚田」こちらからお借りしました。
で、今回、熊野に行ったのには理由があります。熊野ってすんごい田舎なんです。。。人がどんどん減っていっているいわゆる過疎化が進んでいるところです。
そんな田舎では、普通に農業をしていたのでは、到底生活できていけないような場所です。人も家も少ないんです。そんな田舎でも、立派に農業を続けておられるところがあります。
有限会社 すぎもと農園」さんと「有限会社 カントリーファームにしうら」さんです。
人が少ないという逆境をいかに乗り越えてきたのかということをお聴きするために熊野にやってきました。
というのも、大規模化や効率化を図り、販売は卸やJA任せという経営では、今後やっていけないと参加したみんなが感じており、いかに個人客をつかむかということにみんな頭を使っているのです。そのヒントを探し出したいというのがみんなの思いでした。
この2つの法人は、早くから個人のお客さんに目を向け、差別化や確固たる理念を持ち、たくさんのお客さんを抱えておられます。そこにどんな秘訣があるのか、聞いてきました。
ポチっとお願いします。

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ


有限会社 カントリーファームにしうら」さん
128kj1p1.gif
カントリファームにしうらさんの特徴は、安心安全な豚を生産するという確固たる理念を持ち、販売まで手掛ける養豚業を営むところです。
経営者の西浦虎夫さんは、もともと養豚とは関係ない仕事についていましたが、自身が病気になったことや、仕事に対して疑問をもったことで故郷に帰ってきました。
周りを見ると養豚をしていたことから、西浦さんも養豚をすることにしました。
町は山間部にあり、若者は外へどんどん出ていってしまうことを目の当たりにして、「理想とする養豚をやりぬくぞ!養豚でふるさとを守るぞ!」と心に固く誓って取り組むようになりました。
時は高度経済成長期で、作れば作るほど売れていく時代でした。しかし、当時は効率化が優先され、豚は過密飼育、エサは病気にかからないように抗生物質入りのエサを与える。そのことが当たり前になっている現実に疑問を持った西浦さんは、薬に頼らない経営を目指しました。
外部から種豚導入が一般的であったところを、外から病気が持ち込まれないように自家生産に切り替える。エサも自分で取りに行き、自分で調合して与える。すべては安心して食べてもらえる豚を育てるために行ったことでした。
今となってはそういった話はよく聞きますが、以前から一貫して取り組んでこられたそうです。
市販の飼料や薬を使えば、より早く出荷ができるになり、分娩回数も増える。そうすればより儲けることが出来る。しかし、西浦さんの「安全で安心な食糧を供給するために経営を続ける」という経営理念に則って、あえてこの方法は取らないそうです。
このような西浦さんの活動を聞いていると、西浦さんのお客さんは、肉の品質はもちろんですが、西浦さんの理念に惹かれて買っている人が多いように感じました。お肉を買っているが、内実は信頼を買っているといった感じです。
有限会社 すぎもと農園」さん
600x413temp.jpg
すぎもと農園さんも熊野にある法人ですが、ここの特徴は「お客さんに満足していただけるみかんを作りたい」という想いです。農薬や肥料といった人工物はできるだけ減らして、おいしいものを追求されています。そしてその想いを、「さまざまな手法を使って、コツコツと発信し続けている」点です。
例えば、みかんを買ってしばらく置いておくと、たまに腐ってしまうみかんってありますよね。あれはみかんの中に雑菌が入って、かびてしまうことに原因があるようですが、あれを防ぐにはみかんの表面にワックスを塗ると、一ヶ月経っても腐らなくなるそうです。そこをすぎもと農園さんは、「せっかく手塩にかけて育ててきたものだから、最後まで安心安全な状態でお客さまにお届けするために、あえてワックスを塗らない」そうです。
そういったことを理解してもらうために、宅配の箱の中にアンケート用紙を入れて、みかんが割れていなかったか、かびていなかったかお伺いできるようにしています。結構そのアンケートの返信があるそうで、そのたびに説明し、納得していただいたお客さんから別のお客さんを紹介していただき、新たに注文をいただくこともあるそうです。
自然のものだから、腐るのは考えてみれば当たり前ですよね。でも買う側にいると、そういったことも見えなくなってくる。薬で無理やり腐らないようにしているそんなことはおかしいのではないか?という想いが伝わってきますね。
また、数量限定のみかんが出荷可能になると、お得意様にはお伺いの電話を掛けたり、3か月に一回、専門の人にお願いして広報誌を書いてもらったり、宅配の箱の中に、季節を感じさせる植物の葉っぱを同封したりと、ちょっとした心遣いを添えてお客さんと積極的に関わり、こちらの想いを伝えています
そこまでしてもらえると、また買ってみようかなって思えてくるのも分かるような気がしますよね。
どちらの会社においても、これからはお客さんに直接販売するやりかたじゃないとやっていけないという危機感を誰よりも強く感じ、早い段階から実践されてきたところです。その結果、過疎化が進んだ地域でもしっかり生き残ってきたんだと思いました。
そして、直売のお客さんを増やしていくためには「食育 」がとても大事という話でまとめられました。
お客さんに現場を知ってもらう。何が問題なのか考えてもらう。そういった働きかけをしていくことで、一緒に考えてもらえるコアなお客さんができていくという話です。
食育の話と、上述した2つの事例を合わせて考えると、以下のようなことなのかな~と思いました。
お二人はそれぞれ違うことをされていますが、共通していることは、どんなことに問題意識をもち、何を課題としているのか、そしてその課題をどのように乗り越えようとしているのか、そしてそのことがお客さんにどのようにつながっているのかを発信し続けている ことです。
これが今回一番大きな気づきでした。仕事に反映していきたいと思います。
外に出ると、思考の枠が広がりますね。こういった研修に参加したら、また報告しますね。
最後まで聞いていただき、ありがとうございました。

投稿者 keitaro : 2012年01月17日 List   

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2012/01/1303.html/trackback

コメントしてください