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2012年01月19日

【コラム】社員もパートも活力をもって働ける会社☆東九州電設工業・東九農園

一般企業でも社員の活力を上げるのに悩まれている経営者の方も多い現代ですが、社員の活力もあげ 、経営が厳しいと言われている農業分野で赤字を出さずに、経営をなりたたせている企業があります。その成功の秘訣はどこにあるのでしょうか?今回は、その東九州電設工業という会社について紹介します
東九州電設工業は、宮崎県日向市にあり、従業員15名ほどの電気工事を中心とする建設会社です。JRを中心とした鉄道現場の工事、地元の学校や集合住宅の電気工事を出掛けています。

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そんな電気工事を専門にした会社が、東九農園を設立し、農業参入 ウリは自社開発の水耕栽培が可能にした苦味の少ないピーマンで、地域からの評価も集まっています。では、どのようにして農業参入に至り、現在に至ったのでしょうか

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■時代の変化を捉えていたから『農業』に参入
東九州電設工業は、1977年の創業以来、高い技術力と、鉄道と言う社会的必要性の高い事業により、安定した経営を行っていました。
社長の石田和平氏が農業参入を決意したのは、1993年。ちょうど土地バブルの最中でした。評論家竹村健一氏の「今、これだけのおかねがうごいている時期だからこそ、次にやるべきことを考えなさい。」という話を聞いて、新事業を考えたその先が投資ではなく、『農業参入』=東九農園の設立だったのです。

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おそらく石田社長は、潜在的に大きな時代の変化を捉えていたのでしょう。バブル崩壊を経て、価値観が“お金”から“心の充足”へと移行する中で、石田社長は社員の活力と仕事を生み出す方向へと舵を切ったのでした。
石田社長が会社として農業を始めるにあたって、まず考えていたのが、
①閑散期の社員の労働力を活用
長期間県外に出向することが多い仕事ですが、年末年始・GW・お盆周辺の三週間は鉄道輸送の繁忙期で工事がなく、本社に戻ってくる閑散期となり、社員の労働力活用が課題となっていました。
②定年退職後の働き口の確保
また、「定年退職してすぐにさよなら。」ではなく、体が動くうちは何らかの仕事を作っておきたいという想いもありました。
石田社長は次のように語っています。

本人も休暇を取ることに気を遣わなくていいし、ボーッと家にいたり、パチンコばかりするわけじゃないので、次に現場に復帰したときに効率も上がるのです。それもひとつの大きな狙いです。
社員は一生懸命にやってくれています。定年になったときに使い捨てのようにもう来なくていいとは言いたくありません。ですからわが社は60歳になったら農園に転職するようにしています。配電盤のスイッチ管理も密になるなど、主戦力として活躍できます。
このような場を準備していおくことで、社員も安心して本業に打ち込めるのです。
(産業支援みやざきNo.233より引用)

このように、農業参入の取り組みは、あくまでも本業の補完のため、会社の仲間たちがもっと活力を持って働けるよう会社作りのための農業でした。
■「自然の摂理」への同化 と、「みんな発」の技術開発
石田社長は、地元宮崎県の主要生産物であるピーマンに特化することを決めました。そしてまず、生産技術の基礎について農家に習い、農業高校の教科書を徹底的に読み込み、土耕栽培を始めました。
しかし、土耕栽培は勘と経験による部分が多く、計画したような生産ができませんでした。そこで、東九州電設工業の高い技術力を最大限に生かし、独力で水耕栽培のシステムを組み立てたのだそうです。
東九農園の水耕栽培は、石田社長の柔軟性と追求力、そして「楽しく、仲良く、誰でもできる農業を」という想いによって実現されています。
①液肥の管理は自動制御!作業の簡略化と必要な仕事の明確化で、誰でも作業できる♪
水耕栽培で勝っていくために、他農家と差別化をはかっているピーマンの味・生育時期を決める苗にはお金を惜しまず、会社の制御技術を生かすことで、素人でも高品質なピーマンを成育可能なシステムを構築しました。
とは言え、労働力は決して惜しみまず、ピーマンの選別時も「良い商品を消費者に届けるために」という想いで規格を徹底し、販売搬送時にオリジナルダンボールを使用するなどブランド化をはかる販売手法を取られています。

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②栽培進捗状況の「見える化」で、誰でもいつでも作業に入れる☆ 
栽培しているハウス内は、区画で分け番号管理し、作業工程を把握しています。これによって、栽培状況をすぐに共有でき、本業の閑散期に社員がいつでも作業に入ることができるそうです。
③生育データの数値化を蓄積!誰でも判断が可能に☆
生育状況を徹底的に数値管理!社員が生育状況を判断でき、かつ、石田社長がどこにいても判断を電話一つで仰げるようにしています。この徹底した追求で、品質も徹底されて、苦味の少ないピーマンを他の農家と栽培時期もずらして販売し、他の農家との差別化にも成功しています。
このように社員の活力と、やりがいのある仕事を生み出す為に、「自然の摂理」を謙虚に学び、「みんなの役に立つ」という視点で技術開発・商品管理に取り組んでおられます。
■社員の活力が、会社の活力や成果を生む
誰でもできるように、栽培状況を徹底的に「見える化」して、どうしたらいいかの対応策も蓄積されていった結果、東九農園はパートにとっても、東九州電設工業の社員にとっても「楽しく、仲良く、誰でもできる農業」を実現しています

たとえば、パートには周辺の主婦が多く、夕方以降の忙しい時間帯・お盆や年末年始の忙しい時期には社員に担ってもらえる、働きやすい職場になっています。
社員にとっても、閑散期に農園での仕事が確保されていて、日々の活力に繋がっています。さらに、農園での仕事に関わることによって社員のコスト意識も変わってきました。例えば、1キロの箱にピーマンが10個入っているとすると、それを300円で売れば1個が30円。苗を植えて花が咲いて、ある程度月日がたって病気にも目を光らせてと、30円のためにはこれだけ苦労するのだと気付きます。そうして、今まで放置していたステンレスのボルト1個にも「もったいない」と持ち帰ってくるようになったのだそうです。

言葉で伝える必要はなく、経験を通して言葉がなくても通じているから、がんばっていけるのだと石田社長は話されています。
石田社長が、社員が活力を持って働ける体制作りへとバブル期に舵を切り、自ら先頭に立って追求し続けていることが、今の東九州電設工業と東九農園の成果を生み出しているのでしょう。
1990年代のバブル時代から現代にかけて、活力は「自分のため」から、「みんなの役に立つことで生まれる」時代へと大きく変化しました。
農業は、共同作業を行う中で、周りの仲間たちや自然との期待応合の関係や充足を生みだす力を持っています。また、自然を徹底して注視し同化することは、自然と「みんなへの肯定視」を生み出します。
現在の社会問題にもなっている企業の社員の活力問題も、「社員の活力を上げるためには?」という視点と、こうした「農業の多面的価値」を重ね合わせていくことで、企業の活力や成果に繋がっていくのではないでしょうか。それが今後の企業に期待されていることなのだと思います。
(参考文献)
(1)産業支援みやざきNo.233
(2)戦略的農業経営―衰退脱却のビジネスモデル改革― 渋谷往男著

投稿者 megu3 : 2012年01月19日 List   

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