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2012年01月14日

企業から始まる自給自足の道シリーズ~No.2:企業の農業参入を阻む壁(その2)

企業の農業参入の可能性を追求するシリーズの第3回目。
今回は、企業の農業参入で撤退した事例を元に参入の壁を見ていきます。
前回では
従って、採算の悪さが企業の農業参入を阻む壁になっている、と言えます。この辺りは次回!参入したが早々に撤退した企業の事例を調べて明らかにしたい。
ただ、新規に農業参入した企業の紹介記事は多く在りますが、撤退した企業の情報は意外と少なく撤退した大手の報道に限られているようです。まずは、下記の「農地法の一部を改正する法律」が施工された2009年6月以前の記事の内容を見ていきたいと思います。
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 参入企業 1割が撤退 農業収益振るわず/農水省調べ
2009/04/19 日本農業新聞
 市町村などが一般企業に農地を貸す「特定法人貸付事業」により2008年9月までに参入した企業351社のうち、1割弱に当たる31社が撤退していたことが、農水省の調べで18日までに分かった。撤退した理由は「本業の不振」「農業経営の不振」がそれぞれ3割を占めた。農業に期待をかけて参入したものの、農業の収益性が高くない中で厳しい選択を余儀なくされている。
 特定法人貸付事業は、農業生産法人以外の一般企業に例外的に農業参入を認める仕組み。市町村が実施区域を指定し、区域内の農地を企業に貸し出す。03年に構造改革特区の一環で始まり、05年に全国展開した。
 撤退した理由で最も多かったのは「本業の不振」で11社、「農業経営の不振」が10社。本業との人材のやりくりがうまくいかず、「農業従事者の不足」を挙げた企業も5社あった。「別法人への移管」が3社、「貸付期間満了」が2社だった。
 企業参入している農地の過半は元遊休農地か、遊休化する恐れのあった農地。31社が撤退した後の農地について、農水省は「ほかの法人などに利用されており、ほとんどが遊休地化していない」(経営局)としている。
 一方、撤退した企業を除いた320社は農業経営を続けている。ただ、農業参入法人連絡協議会が実施した別の調査では、参入している企業でも6割以上が参入して3年以内と日が浅い上、63%が赤字との結果も出ている。
 また、参入企業の経営規模も調べたところ、借り受け面積は「1ヘクタール未満」が52%を占め、小規模にとどまっている企業が多い。1法人当たりの農業常時従事者も「0~2人」が56%を占めるなど経営は盤石とはいえず、地域との合意の上で参入した企業には定着に向けた政策支援も必要といえそうだ。

上記の記事で、撤退理由にあがっている「本業の不振」とは、利益を上げていた本業が経営不振になり、不採算部門の農業に支援ができなくなたということで、農業経営は元々赤字であったということです。
また「農業経営の不振」はそのもので、農業経営は単独では採算合わないということです。
そして、参入して3年以内の企業も6割以上が赤字で、潜在的な撤退要因を抱えており将来撤退していく可能性があります。
加えて「農業従事者の不足」をあげている企業もありますが、農業参入に可能性を感じて参入したものの、可能性を実現ず人材不足に陥ったのが実態ではないでしょうか。
上記から見えてくる事は、期待して農業に参入したものの儲からず赤字が続き、企業内の活性化にも繋がらずわずか4年足らずで農業から撤退していくようすです。
企業が農業参入して継続していくのはかなりハードルの高いものといえます。
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上の図が示すように、一般企業が新規事業に参入する場合、黒字化の予測期間は3~長くて5年です。
農水や自治体が紹介する参入先の特区は元遊休農地か、遊休化する農地が多く在ります。
この場合、参入した企業は農地の整備など、生産基盤を整える期間が必要で有に2~3年は必要で、それから自らが生産を始め農業技術を実践していくことになります。
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アンケートが示しているように農業参入した企業が黒字転換までに7.6を必要とし投資金額を回収するにはより長い年月がかかります。
農業への新規参入は他業種への新規参入に比べ5年程度の差が在ることになります。
加えて、新規参入した企業がすべて白紙から新規参入したかというとそうではありません。もともと地場の企業で地域と関係が深かったり、地場の農家が企業化したような事例が多く含まれています。そのような基盤があっても6割以上が赤字というのが実態です。
ましてや、なにも基盤が無く、白紙からの新規参入組であれば、荒廃した農地で生産を試みる場合は、より多くの時間と経費と労力が必要になってきます。
さらに、農産物の多くは1年サイクルで、自然環境は毎年大きく変化し、植物も環境に対応して変化します。工業生産のように計画的に作れるものではありません。
農業生産を安定さすには、自然環境を読み解く長年の経験と創意工夫が必要です。
またこれらの知恵を学び実践できるようになるには長い年月が必要になります。
この自然相手の農業を理解できていない企業は、農業の現場が非効率で農業者がいかにもサボているように見えてくるのでしょう。
そこで工業生産的な手法と経営判断を導入すれば簡単に採算が取れるように考えるのでしょう。
しかしオムロンやユニクロなどの事例が示すように、これらの技術や従来の経営判断がまったく役に立たず継続的な採算低迷で簡単に撤退していきます。
ユニクロ
「農作物の販売は、ビジネスとして日本で一番遅れており、チャンスは大きい」として、2002年に農業に参入しましたが、販売価格が高い上に売れ残りが多く、黒字化のめどが立たず1年半で撤退しています。
オムロン
創業者の農業への強い思いから参入し、自社の制御技術を使いトマト栽培用の温室に22億円を投資したが、自然相手では約に立たず生産がうまくいかず、加えて農業を目指す人材が無く、5年で撤退しています。
後を引き継いだ田園倶楽部北海道も倒産。
これらの他にも、キャッツ、トビーグリーン、出光興産、中国電力、MCファーム、ヤナセ、天塩川製紙、建築資料研究社、マルシェ、などあります。報道されていない企業や活動を休止縮小している企業も多く在ると考えられます。
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そして、2009年6月に「農地法の一部を改正する法律」が施工されますが、以前と以後で参入件数に大きな差があります。
以前は、6年間で新規企業参入件数は436件(年平均72件)が参入。
以後は、1年半で新規企業参入件数は576件(年平均384件)が参入。
年平均で比較すると5.3倍の参入件数になっています。
参入企業を見てみると、以前と同じく土木と食品関連が7割程度を占めていて傾向は大きく変わっていないようです。
おそらく、土木企業では、重機や余剰人材の活用で荒廃地の改良なの有利さがあり、食品関連では、食品加工施設や流通などを活用して農業を取り込み、新しい活路を模索しているようです。
しかし、既存参入企業の6割以上が赤字という現実を、改正以後に参入してきた企業はどのように考えているのでしょうか。
次回は
なぜ企業は農業に参入していくのか、どこに可能性と必要性を感じとっているのかを、成功事例を紹介しながら考えていきます。

投稿者 hakosuka : 2012年01月14日 List   

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