農業も応援してくれる仲間(協働者)を求めている ~協働から共同体へ~ その1「顔の見える農業」 |
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2010年01月30日
【「新しい農のかたち」の実現に向けた政策提言】(7)企業による自給自足の挑戦
こんにちは。
政策提言シリーズも7回目を迎えました。
ここ数年、様々の業種から、農業へ参入する企業が増えて来て、マスコミでも、盛んに取り上げられています。 企業の農業参入は、これからの日本の農の担い手として不可欠な存在になって行くでしょうが、参入して成功している例、上手く行かず撤退した例と、様々です。
そこで、このシリーズの仲間で、現在までの、業種別の事例をいくつか調べました。
その前に、いつものクリックお願いします。
写真は、山梨県のHPからお借りしました。
(1)建設業界 公共事業の減少に伴う経営的危機が発端。雇用の安定と、経営の建て直しの方法として多角化に活路を見出そうとする。新しい事業選定の際に、建設のノウハウ(土地利用型、建設重機の利用)の有効利用を考えた上で農業を選択しているところが多い。一方で、建設業は地域に根ざした産業であるため、地域貢献への意識が高く、地域の農業衰退に対して一役買いたいということで、農業を選択する側面もある。
●五大農園株式会社・・・大規模な野菜の低農薬栽培 リンク:http://www.godaifarm.com/
●有限会社香遊生活・・・無農薬ハーブの栽培・加工・販売 リンク:http://www.koyuseikatu.co.jp/
建設業界の農業参入は、全体としては始まったばかりで、明確な成功事例として挙げられるところはほとんどない。まだ、事業の形を模索する段階にあると言える。
(2)メーカー
●オムロン
自社で持っている技術を利用した、新しい事業展開としての農業。オムロンが持つ世界屈指のセンシング技術を背景にしたハイテク栽培。
しかし、、トマトの初出荷からわずか三年も経たぬ二○○二年の一月二十一日、オムロンはトマト栽培にかかわった関連会社を解散して、農業からの撤退を表明した。
●大正製薬
自社の持っている技術を利用した、新しい事業展開。プレハブ住宅の製造ノウハウを生かし、野菜作りに必要な照明や空調などの設備をあらかじめ組み合わせた箱形ユニットを開発した。レストランや小売店に併設しやすい小型の設備で、2010年度中にも販売を始めたい考え。野菜工場のような設備を供給するために、農業参入のノウハウ蓄積を図るため、実験的農園を設立。模索中。
(3)外食、食品流通産業
●ワタミファーム
2002年に和民グループの自社農園として法人化。有機農産物の自社グループへの農産物供給を軸に、畑作(野菜)、養鶏、畜産、乳製品加工と事業を拡大し、2009年現在で、国内8箇所に480haの規模まで成長。2009年上期には、一旦赤字経営から脱したが(±0)、2010年上期(3月)決算では、再び1億の赤字を計上し、ワタミファームの社長が事実上の更迭。
成功事例とは、まだ言えない。
(10年上期決算http://www.c-hotline.net/docs/html/WATA9449rev/dl/wata091110_1.pdf)
生産品の70%を自社内流通、30%を宅配・卸。
赤字経営でありながら、8年の間投資を続けてきたのは、本業のブランドイメージ強化の利点が大きい。
ワタミファームは、自社内研修機能(施設)をもち、有機農産物の拡大発信と地域振興を目的に掲げるなど、意識産業的側面を打ち出しているが、実際には(現場担当者は別として)、私権企業の体質は変わっていない。
それは、ワタミ及びマスコミの発信内容とは一致しない地元評価に現れている。具体的には、発表される決算が一般農家ではあり得ない数値であるとの受け止め、有機認証自体への懐疑(自社内に認定期間を設けている)、農地を好意的に提供しない、等の地元評価に現れている。
●イトーヨーカドー
野菜の自社生産と流通、廃棄物の堆肥化の循環で効率化とPB展開。
JAとの連携で、小規模からの発進。無理のない展開。
地元連携重視で不足な栽培技術を補うリスク分散と、地域振興。
昨今の意識潮流を、安心安全、地産地消、環境貢献などの面からは的確に捉えた参入時期判断をしている。
まだ、事業展開や結果を見る段階ではないため、評価は尚早か。一般の評価は概ね良好。
(4)人材派遣業
●パソナ
既存業種への派遣、請負が先細りなのを予測し、新しい、派遣先開拓として、農業界に注目、研修制度から就農者を育成したり、農業ベンチャーを支援したりと、派遣対象を育ててゆくという発想。地域活性化事業とも絡め、特に、若者の就農等には、貢献しており、注目! 2009年9月決算では、以前からの減収減益が続き、今後、どうなるか流動的。社員も兼業で農業に携わることを希望している様子。
単に、派遣先一業種としての農業ではないところが、可能性か。
http://www.pasonagroup.co.jp/pasona_o2/
http://career.biglobe.ne.jp/topnews/news0909.html
http://eco.goo.ne.jp/business/keiei/keyperson/66-1.html
参考サイト
0901期 Nikkei トレンディ
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20090114/1022778/?P=1
レポート 大企業の農業参入
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri0909re1.pdf
法人の農業経営と異業種連携
http://www.arc.or.jp/ARC/200409/ARC0409gatu/0409ronnsetu.pdf
ワタミ10年上期決算
http://www.c-hotline.net/docs/html/WATA9449rev/dl/wata091110_1.pdf
ワタミファームHP
http://www.watamifarm.co.jp/index.html
ワタミファームの有機認証への疑問
http://blog.goo.ne.jp/sasamuraailand/e/9f83913c04724e32e0ab49e09dca42b6
ワタミファームの地元評価(05年 千葉)
http://www.nouminren.ne.jp/dat/200503/2005032101.htm
まだまだ、成否を判断するには、早い段階かもしれませんが、
これらを見てみると、上手く行くかどうかの分かれ目は、従来の市場社会の中での価値観、やり方、例えば、儲かるか否か、あるいは、自社の技術を栽培(生産)技術として生かす程度なのか、それとも、もっと本来的な共同体的発想、地域や社員の活力上昇、担い手の育成、食の安心安全の確保etc.農の社会的価値を見出したものなのかの違いでないでしょうか。
写真はカノトブログ さんからお借りしました。
その意味で、企業農業の1つのモデルともなるのではないかという先進事例(昨年このブログでも紹介)をあらためて載せます。
るいネットからの紹介です。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=217145
企業による自給自足の挑戦 ~船井総研の農業研修~
経営コンサルティング会社・船井総合研究所の環境ビジネスコンサルティンググループでは、企業の自給自足に向けて、今年から社員の農業研修を行っているそうです。
最近では公共事業の削減を受けての建設業者の農業参入や、新たな流通システム構築による農業再生といった流れは珍しくなくなりましたが、企業の自給自足という視点で農業に取り組むケースはまだ少ないのではないでしょうか。
同グループの部長である菊池功氏がブログの中で、同社の農業研修の目的・主旨・狙いを語っているので、紹介させて頂きます。「企業としての自給自足~エコライフを実践する~」(リンク)からの引用です。
********************************
究極的には、
「最低限の食料の自給自足を達成する」ことが出来れば素晴らしいと思っている。
企業農園を作って、社員持ち回り制で農作物を栽培管理して、
それを社員、及び、家族に分配して、
必要最低限の食料を自給自足的に確保したいと思っている。
また、都会生活をしながらでも、農作業に携わることで、
自然の恵みやありがたさ、逆に、難しさを体で覚えることも目的の1つである。
さらに、社員が一丸となり農作業に従事することで、
「農」や「食」を通じて、一体感・連帯感も感じることが出来る。
一方、視点を変えて、経営者発想で言うと、
経済状況がもっと悪くなって、
仮に、給料を下げざるを得ない状況になっても、
必要最低限の食料を支給することで、社員の暮らしを安定させる、
いわゆる、“現物支給の体制を作る”ことでもある。
地方の企業で、社員が兼業農家ならば、
食べていくことだけ考えれば、何とかやっていけるかもしれない。
しかし、土地も物価も高い都心部で、
賃貸マンションに住んでいるような若手社員の場合、
あるいは、小さな子供を持つニューファミリー的な社員の場合、
必要最低限の食料が確保されているというのは、
一にも二にも生活の安定につながる。
輸入に依存した食生活から脱皮しなければ、
本当の安定生活は作れない。
そして、農薬・化学肥料に染まった農作物に依存し過ぎては、
本当の健康的な生活は得られない。
“自給自足”
“地産地消”
“身土不二”
“LOHAS”
“持続可能”
そういうライフスタイルを目指したい。
そして、そういうライフスタイルを目指しながら、
環境ビジネスを追求していきたい!
日常のライフスタイルがエコと全く縁遠い人が
本当の環境ビジネスを追求できるとは思えない!
今、出来ていたとしても、
それこそ持続可能なビジネスモデルではないと思う。
今回、約3か月間、農業研修を行って分かったことだが、
20~30名程度で、上手に社員持ち回り制で栽培出来れば、
1人が月1~2回、農地に行くことにより、
最低限の農地管理は出来るようだ。
(毎週末、担当の誰かが農地管理をする)
普段はビジネスとしてのコンサルティング活動、
月に1~2回は、持ち回り制で農場に赴き、エコライフを目指した農作業、
そして、
収穫時には、全メンバーが一同に会しての収穫祭、
とりあえずは、このようなスタイルを確立したい。
今年は、あくまでも、研修、
来年は、米作りにもチャレンジして、野菜類は少しずつ自給自足、
3年後には、野菜に関しては本格的な自給自足、
そして、5年後には、胸を張って“自給自足”と言えるようにしていきたい。
以上のような活動を通じて、
船井総研自らがモデル(実験台)となり、
未来型企業のあり方を新しく作っていきたい。
そして、他の多くの企業にこの取り組みを提案していきたい。
これが、この農業研修を行う目的である。
*********************************
参照:
リンク「農業研修」
リンク「農業研修 その壮大なるプラン」
リンク「船井総研 農業研修」
企業の自給自足とは、市場を介さない、農産物のやりとりであり、また、社員みんなが、言わば、兼業として携わることで、企業集団としての一体感、活力上昇(期待・応望)につながり、精神的にも、経済的にも、肉体的にも安定した生活ができる。これは、お金では、表せない価値とも言えます。もちろん、こんな企業が増えれば、担い手問題もかなり改善すると思います。
今後も、注目して行きます。
投稿者 naganobu : 2010年01月30日 TweetList
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コメント
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