| メイン |

2008年04月18日

「農業教育」は子どもたちの脳を活性化する

seimeishiemaki.jpg
※画像は「生命誌絵巻」
 生命誌の提唱者、中村桂子(生命誌研究館館長)が一つひとつの生きものがもつ歴史性と多様な生きものの関係性を示す新しい表現法として考案した図(協力:団まりな、画:橋本律子)http://www.shiojigyo.com/en/archives/nakamura.cfm より

以前よりこのブログでたびたびご紹介させていただいている『自然体験学習教室』ですが、先日4月13日(日)にいよいよ今年度の第一回開校式が開催されました。
開校日のレポートは別のメンバーに譲るとして、私:雅無乱は、「農業教育」について論じた一つの新聞記事を紹介したいと思います。
その前にポチッ と応援よろしくお願いします。
JT生命誌研究館館長の中村桂子氏が、2008年4月2日の日経新聞“やさしい経済学-21世紀と文明”に、農業教育に関するコメントを寄せています。
この『自然体験学習教室』にも大いに関連するところがあるので、引用紹介します。

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ


“やさしい経済学-21世紀と文明”『生命から発想する⑥』
(2008/04/02日経新聞)
生命を基本に置くと、次の世代が重要になり、そこで浮かび上がるのが教育と環境である。
なかでも教育の重要性は誰もが認めるところであり、すでに多くの議論や提案があるが、とくに関心を持たれているのが科学教育である。
小学校の先生は理科が得意でないとか、両親が科学技術リテラシーに欠けているなどの問題が指摘され、科学教育(学校教育とともに社会教育も)への取り組みが行なわれている。
ただ、ここでの科学教育は既存の科学の知識や実験能力を身につけさせることを目的としており、20世紀型の思考から抜け出し、自然そのものに向き合うという認識がない。
自然は複雑で一筋縄ではいかない相手だ。もちろん自然の一部である生物や人間も複雑だ。それを十分理解する学問をつくりあげ、その応用技術を開発するのにはかなりの時間がかかることを覚悟しなければならない。
その間の教育はどうあったらよいか。
科学の基本教育は続けながら、同時に自然と直接向き合う機会をつくることである。
しかも、夏休みに高原に行くという程度ではなく、日常が自然の中にあるようにすることだ。
しかも自然の美しさや面白さを感じるだけでなく、自然の厳しさを知らなければ複雑さに接することにならない。
そこで思い切って小・中学校の教育に農業を取り入れることを考えたい。
農業は、自然の複雑さに向き合うと同時に、産業、経済、地域社会などあらゆる教育課題を含んでいる。

事実、農業を教育に取り入れている例を見ると、先生は必ずしも農業の知識や体験を持っているとは限らないので、地域の人々の応援を必要とし、地域と学校の連携ができる。
とくに体験豊な高齢者は子どもたちの指導に向いており、教える側、教えられる側にとって新しい人間関係が生まれる。
また上級生が下級生の面倒を見るようになり子どもの中での縦社会もできる。
自分たちのつくった米を地域の仲間に食べてほしいと市長に給食用への米の買い上げを交渉したという例もある。
まさに経済活動であり、思い通りにいかない厳しさも知る。
とにかく、人間関係の作り方、自ら考え判断する力の獲得など、農業体験を通じて子どもたちはめざましく成長している。まさに生きる力だ。
塾で受験技術を身につけるより、大人になってからはるかに伸びる可能性を筆者は感じている。


人間の脳というのは、太古の時代から培った脳幹に、感情・共感・記憶などを司る大脳辺縁系がかぶさり、さらにその上に大脳新皮質が塗り重ねられた構造をしています。
F1213.jpg
画像はここ→http://www2j.biglobe.ne.jp/~fkamiya/HB/C12_57.htmlより
感覚器から得た情報とも密接に関連して、状況(外圧)を認識して行動方針を出す。人間の脳も、そうやって複雑な現実に対応するために進化してきた器官です。
状況(外圧)から遊離して、観念だけを記憶しようとしても限界があります。それは一夜漬けテスト勉強などでみなさんも経験され、実感していることと思います。現実に役に立つとは思えない事は、必死で覚えようとしても忘れてしまうけれど、逆に、実体験や感情の伴った出来事は、覚えておこうと思わなくてもずっと記憶に残っているものです。
中村氏は、単なる観念教育としての「理科教育」から、実感・実践の伴った「農業教育」への転換の必要性を論じています。
人間は、現実(特に自然や仲間とのコミュニケーション)に対応する際、実は感覚器官(五感)をフル稼働し、本能や感情・共感などを主とする古い脳も含めて脳全体を活性化しています。このような実感の基盤の無い中で、いくら観念教育だけを行なっても、記憶に残らないし、中身も上滑りしてしまいます。「いのちの不思議さ」や「自然の厳しさ」など、いくら言葉を連ねて説明されたとしても、心から実感するのは極めて困難です。
『自然体験学習教室』では、中村氏の事例にもあるとおり、1年を通じた農業体験・販売体験・地元農家での研修などを通じて、現実の仕事の中で教育を行なっています。子どもたちは、自然の厳しさの中で作物を育てる体験し、地元の人々や仲間と協力して販売などを経験する中で、脳を揺さぶられ、科学的思考やコミュニケーション能力・社会性など、現実に対応する基本的な能力を培っていきます。
農林水産省も、このように、http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/nouson/070831_1.htmlいよいよ農業教育に取り組み始めましたが、農業教育の真価が世の中にも広く認められるきっかけになりそうですね。
私たちの農業教育の取り組みが、もっともっと広がっていき、どんな現実にも対応できる健全な子どもたちが日本に増えていってほしいな、と願っています。

投稿者 nanbanandeya : 2008年04月18日 List   

トラックバック

コメント

gucci clothing exporters 新しい「農」のかたち | “モンサント”の世界戦略(前編)の紹介 4/4
hermes outlet store http://suvidhajobs.co.in/images/hermes-outlet-online-hermes-outlet-store-5445.asp

投稿者 hermes outlet store : 2014年1月16日 05:49

hermes replica 新しい「農」のかたち | “モンサント”の世界戦略(前編)の紹介 4/4

投稿者 sverige hermes bags : 2014年1月30日 09:56

hermes usa corporate office 新しい「農」のかたち | “モンサント”の世界戦略(前編)の紹介 4/4

投稿者 hermes red : 2014年2月2日 18:16

hermes website service 新しい「農」のかたち | “モンサント”の世界戦略(前編)の紹介 4/4

投稿者 hermes belt outlet uk : 2014年2月6日 21:31

新しい「農」のかたち | “モンサント”の世界戦略(前編)の紹介 4/4

投稿者 wholesale bags : 2014年2月10日 02:05

hermes bags beckham in france 新しい「農」のかたち | “モンサント”の世界戦略(前編)の紹介 4/4

投稿者 ireland hermes : 2014年2月18日 07:02

hermes leather bags online 新しい「農」のかたち | “モンサント”の世界戦略(前編)の紹介 4/4

投稿者 hermes bag sale : 2014年2月20日 22:49