2022年1月14日
2022年01月14日
食料問題シリーズ5:データを見ていくと「日本は超優秀な農業大国」だった!
さて前回は国連が世界中を「食糧危機」で煽っているという構造に踏み込みました。
そしてその食糧危機を煽るわかりやすい数字としてあるのが「食糧自給率」です。そして日本人なら誰でも聞いたことがある決まり文句、「日本の食料自給率は低い」ということ。
はなしてこれは事実なのでしょうか?
今回はその辺りに突っ込んでいきたいと思います。
投稿者 sue-dai : 2022年01月14日 Tweet
2022年01月14日
【世界の食と農】第5回 オランダ~官・民・大衆が垣根を超え、新しい農の形を追求する潮流が世界に広がりつつある~
前回の記事ではオランダ農業の強さを紹介しました。
なぜ、オランダはスマート農業に舵を切ったのでしょうか。今回はオランダが置かれている外圧や、スマート農業が可能な実現基盤を見ていきます。
◆オランダの置かれる外圧
農作物輸出量世界2位のオランダは、実はもともと農業に適した国ではありません。
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本来、オランダは、農業に適した条件をまるで持ち合わせていない国である。
国土面積は九州程度しかなく、日本以上に農地面積が狭い。岩塩混じりの土壌ばかりである。1年中曇天が続いて日照時間が極端に短く、北海からの強風が常に吹き寄せるため気温も低い。さらに、人件費も高いのだ。(引用)
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また、周辺にはフランスやドイツ、スペインなど穀物生産の盛んな競合国も多く、1980年代、当時の欧州諸共同体(EC)が進める貿易の自由化を契機にして周辺国により安価な農作物が大量に輸入されます。これにより国産作物は市場に敗れ、それまでの小農家はことごとく解体されていきました。
◆瀕死の農業、どうする?
そんな外圧に置かれたオランダは、大胆に農業の在り方を変えていきました。
オランダがとった農業政策が大きく以下の4点です。
①利益が出る作物への集中
②技術開発重視の農業政策
③市場原理に則った支援体制
④ICTを駆使して生育環境を整える技術力
※こちらの記事に詳しく紹介してあります。
まとめると、①の特定作物の集中生産によって農家の生産技術やリスク管理に対する欠乏・能力が向上し、②や④といった技術開発需要が高まりました。
それに加え、③の支援体制も企業が中心となり整備されていきます。(日本では農協等が一手に担う指導・金融・流通等の各機能を、農業技術コンサルタントや独立系パッキング企業等が個別に収益事業として展開)
オランダはこのような仕組みを、約40年国を挙げてつくりあげていきました。現在では先進国におけるロールモデルとして世界から注目されています。
△トマトはオランダの集中生産作物の1つ(画像はこちらからお借りしました。)
◆日本はどうする?
外圧直視→官民が一体となって技術開発と体制構築に乗り込み、“市場で勝つ”新しい農業の形を1からつくりあげたのがオランダ農業の強さの理由です。
「市場で勝てる作物の集中生産」や「都市でも農業ができる技術開発」など、周辺の農業強国、国土の狭さといった弱点をバネにして柔軟に仕組みづくりをしていきました。
日本でもオランダ農業に対する注目度は高く、農林水産省もスマート農業に関する研究を推し進めており、それに伴いトヨタやパナソニックといった大手企業も農業事業に参画する動きが出てきています。
オランダと日本では環境も体制も、外圧が全く異なるため、そっくりそのまま真似するのは難しいと言われますが、今ある外圧を直視し、官・民・大衆がそれぞれの垣根を超え柔軟に新しい農業の在り方を追求する動きは世界共通の大潮流になりはじめているのではないでしょうか。(前回記事)
△農家と企業が現地で打合せ(画像はこちらからお借りしました。)
今後も、そんな世界の最先端潮流に注目していこうと思います^^
次回は、アメリカやヨーロッパで今盛んなアクアポニックについて紹介します。日本の水田にも起源があるとされる最先端の循環型農業システムは農業や都市をどのように変えていくのでしょうか?
お楽しみに♪
投稿者 ideta : 2022年01月14日 Tweet