2008年7月3日
2008年07月03日
あらためて石油漬けの農業
みなさん こんにちは。
本当に、口を開けば、値上げ、値上げ、で我々生産者も音を上げそうですが、
燃料や肥料の備蓄を本気で考えないといけないのかも知れません。
こういう状況になって来ると、あらためて、日本農業の石油漬け状態がクローズアップされて来ます。
今後、脱石油の持続可能な農業を考える上でも、今一度、数字で押さえておきたいと思います。
以下は、少々古いデータになりますが、現在も大きな傾向としては、変わっていないと思いますので、引用します。
Letter from Yochomachi > 農業問題 >
余丁町散人(橋本尚幸)の隠居小屋 – Blog
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C1084425330/E900275701/
日本農業の石油ヅケぶりと日本最大の石油販売業者となった農協(立花隆)
立花隆『農協』第10章。日本の農業が石油漬けだと言うことはよく聞きますが、ハウス栽培だけだと思ってたら、違うんですね。コメもすごい。地球温暖化防止のためにもエコロジストとしては考えないといけない点である。
抜き書き:
一年中どの時期にも野菜が食べられるように露地栽培に加え施設園芸が盛んになった。施設園芸の作物別シェアはピーマン55%、キュウリ41%、トマト32%、ナス18%、スイカ12%、イチゴ70%。施設園芸では石油を多用。俗にトマト一個に石油を牛乳瓶一ビン、メロン一個に石油缶一缶の石油を消費するといわれる。
日本の石油全消費量のうち1.6%(産業部門の石油需要の7%)が農業生産に使われる。500万キロリットル。その三分の一が加熱用。更にその82%が施設園芸、9%が養蚕。
作物別に農産物1キロ当たりに必要とするエネルギーを比較すると、コメ2266Kcal、トマト(促成)3470Kcal、トマト(半促成)2503Kcal、トマト(露地)979Kcal、キュウリ(半促成)717Kcal、キュウリ(露地)728Kcal、ナス(半促成)486Kcal、ナス(露地)395Kcalなど。コメが二番目に大きい。農機具、農薬、肥料を通じてエネルギーが投入されるからだ。
日本の稲作のエネルギーのかけ方は、アメリカのトウモロコシの十倍、イギリスの小麦の6.5倍である。
農協は石油の流通過程をわが手におさめようと意欲的に事業を拡大。いまは全農村需要の半分程度を握る。農協にとって、飼料、肥料、農薬と並んで儲け頭。原油の直接輸入さえも視野に入れている。
全産業の石油需要の7%というのはすごい。これは農業生産に関してのみの数字だから、産業連関表で農業関連資機材(肥料、農薬、農機具)の中間投入分を計算するともっとすごい数字になるだろう(この数字はキロリットルでは載っていないが、カロリーでは農業生産に直接必要なカロリーの2倍となっているので、それを単純に適用すると、農業関連で必要とされる石油量は全産業需要の21%となる)。
地球温暖化の話は、置いておくとしても、
確かに
農業は、全産業石油需要の7%、中間投入分を入れると21%という数字は、すごい!
また、当然とも言えるが、
農産物1キロ当たりに必要とするエネルギーは、特に稲作については、大規模化が進んでいる米国などと比べれば、零細農中心の日本は、相対的に高くなってしまいます。
そして、さらに、日本農業の石油漬けを促進しておいて、その石油販売で儲けようとする農協組織という構造も、問題解決への足枷となっている。
しかし、この現実を正視することから出発するしか無い
と思います。
投稿者 naganobu : 2008年07月03日 Tweet