農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?~7.充足発の実践思考!!農商工連携の6次産業化成功事例~ |
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2012年08月13日
【コラム】類農園のおいしいコメ作りを紹介します♪
類農園三重農場 は、化学肥料や農薬といった、いわゆる人工物質を使わない農業。すなわち、自然の摂理に沿った農業を目指しています。
今回は三重農園のコメ作りにどういう工夫をしているかを紹介したいと思います
農業は常に自然を相手にする職業。その自然とどう向き合って、おいしいお米 が口に入るまでの手間を少しでも知ってもらえたらと思います
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① 微生物に耕してもらう
三重農園のコメ作りはまず、土作りから始まります!冬場の圃場整備でいかに土をイイ状態に作れるか?が最大の課題と言っても過言ではありません。
現在、三重農園が 冬場 に行っている土作りは大きく分けて、1.圃場に糠(ぬか),鶏糞を撒く 2.プラデラで深く土を耕す の2つ が挙げられます。
1. 糠,鶏糞 は、圃場内にいる微生物のエサの役割を果たしてくれます。エサが増えると微生物も増えます。微生物は稲を刈り取った後に残ったワラや食物残渣を分解する能力を持っていて、分解されたワラは土と混ざり合って栄養たっぷり の土へと生まれ変わります!それだけじゃなく、微生物が増えるとそれをエサとするミミズも増えます。エサをたらふく食べた微生物は栄養満点♪それを食べたミミズの糞も当然栄養満点です
2. プラデラは土を深く荒く耕す機械です。なぜ深く荒く耕す必要があるのか 深く耕すと言う点では、長年同じ圃場で作付けしていると、稲に行き届かなかった肥料(栄養)が蓄積されます その肥料(栄養)をもう一度栽培に役立たせようというのが狙いです。さらに、田植えされた 苗 はより深くまで根を張る事ができ、より多くの栄養を土から吸収出来るようになるんです 荒く耕すのは土の中に空気を含ませるためです。土の中にいる微生物も人間と同じで、空気が少ないと生きられないんです。この作業があって初めて微生物は活性するといってもイイと思います
この機械(プラデラ)で深く荒く耕します
結果的に微生物の活性化は、来期の稲の生育を促進させるという所にも繋がっていきます。その仕組みを人工的に作り出しているという訳です。
② 稲に米を作らせる
稲を生育する上で欠かせない肥料。その肥料にもこだわりがあります!
一般的な慣行栽培で使われている 化学肥料 は窒素,リン,カリなどの化学成分を直接稲に吸わせて栽培しています。この成分は散布時期や量を間違えると食味にも影響があると言われています
三重農園 が行っている有機肥料を用いた栽培方法は、稲に吸わせるのではなく土に吸わせます。(①の話とも繋がります)
土に栄養があれば、稲が栄養を吸収したい時に吸収させられるという仕組みです。
有機肥料にはマグネシウムやカルシウムなど、沢山のミネラル分が含まれています。(化学肥料には含まれていません)それを土に吸わせると、土の中はミネラルたっぷり♪稲も人間と同じで、ミネラルを補給すると 健全 な体になっておいしいお米を作ってくれます
③ 食べすぎは病気のもと
水稲栽培の最大の敵とも言えるいもち病 👿 。いもち病とは、稲の葉っぱ や穂 にできる 病気 の事です。この病気は風通しが悪い箇所や長雨などよる湿度の高い状態でよく発病すると言われています。圃場の中の稲一本でも感染すると、みるみるうちに伝染します 。現段階で三重農園の圃場にもいもち病に感染した穂がチラホラ・・
大きな原因は①でも話しましたが、プラデラで耕し底に溜まっていた栄養分が予想以上に稲に効いてしまった事があると思います。
全体の肥料の使用量は約2割カットしたのですが、それでも効き過ぎました。
結果的に栄養たっぷりの稲になってしまったと言う訳です。これだけ聞けば「イイ事やん!」って思うかもしれないのですが、この栄養たっぷりの稲は、人間でいうと、まさに肥満 っていう事は・・病気に掛かりやすいですよね 😥 (まさに、成人病です。。 )
しかし、ただただ見守っているわけにはいきません 👿 防止策は多数あります。未然の防止策として行っているのは、田植えをする時に植える間隔を広くするという事。これは、稲と稲との間の風通し を良くし、いもち病の発生を抑えようというのが狙いです 結果的に十分に根が張って丈夫な稲を育てる事が出来ます。それでもいもち病の発生を抑えきれない時に防除(病気を抑える薬を水に混ぜて散布する)作業を行っています。
いもち病の発生原因ははっきり解明されていませんが、稲自身の何らかのバランスが崩れているからだと思われます。発生を抑えるためにある程度の防除作業が必要になってきますが、防除作業は自然の摂理に沿った生育方法とは相反するもの。そのためにも、いもち病が発生しない生育方法を探求するのは生産において今後の大きな課題です。
ここまでで言える事って、稲も人間の体作りや生活環境と同じ って事のような気がします 僕は稲を育てる側として「同じって言う事は自分達が生活しやすい環境を稲にも作ってあげなきゃダメなんだぁ」って思えるようになってきました
④ 畦が中山間地の田んぼを作る
この作業も決して怠る事は出来ません。畦(圃場と圃場の間の仕切り。通路としても使う)に草が生えていると、畦は虫の住処になってしまいます。葉っぱには 害虫 、土の中には ミミズ 、それを狙ってくる モグラ ・・
農業をしていない方から意見聞く 機会があったのですがその方は、「畦そのものをコンクリートに変えてしまえば草刈りとかの作業が減るんじゃないの?」と言われました。確かに畦に生える草に害虫が寄って来るなら畦が草の生えない状態にすればいい。つまり、土じゃなくてもイイんじゃないか という疑問が浮かびます。
しかし、畦には虫だけじゃなく多様な生物が生息しています。その中でも多く生息するのがカエル。カエルは稲に害を与える虫をエサにしています。つまり、畦をコンクリートにするって事は害虫以外の生物も住めなくなってしまい、稲に害を与える虫が増えてしまうんです。そうならないためにも畦は土である必要があって、結果的に害虫を駆除する農薬も減らす事が出来るのです。
ちなみに・・・畦に生息する害虫の主はカメムシです。カメムシは稲に穂が出来始めると、穂のおいしい部分を吸い取ってしまいます 。精米した白いお米に黒い部分があるのはほとんどの方が見た事があると思います。あれが、カメムシが吸った跡です。奴らの仕業なんです。。
おいしい部分を吸っています 黒い部分がカメムシの吸った跡です
草の根っこを食べるミミズ、ミミズを食べるモグラが繁殖すると畦は穴だらけになります。 すると、圃場内の水が畦から漏れてしまいます。 【水稲】というぐらいですから、当然水がなくては、稲は成長出来ません
そうならないためにも、まずは草が伸びきらないうちに草刈りをしっかり行う事
農家さんが「田作りは畦作りから」と言われるほど、畦作りって大切なんです
最後に・・・
あくまで僕たちは稲のお手伝いをしているだけ 😀 です。
これまでもこれからも目指す所は同じで、農薬や肥料といった人工物質を使わない、「土から出来たものは土に還す農業」=自然循環型農業に近づけていけたらと思っています
その技術を確立させる事が、地域の活性基盤にもなり得るし、これからの世界を支えていけると信じています
投稿者 staff : 2012年08月13日 TweetList
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