類農園の夏 |
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2012年08月07日
農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?~7.充足発の実践思考!!農商工連携の6次産業化成功事例~
前回の記事では、農業生産者には今後、どのような認識や行動が求められているのかをご紹介しました。
今までの農業者は農産物を「ただ作る」だけに留まり、販売は農協や卸業者に任せっきりでした。しかし、時代は物的生産から意識生産へと転換してきており、物的な価値よりも、その生産に携わる人の意識や、具体的な活動に人々は魅力を感じてきているのです。
さて、今回はそんな社会の意識を潜在的に捉え、「農」と「食」を連携させた「農商工連携」の6次産業化を実践している生産者たちがいます。その事例をご紹介していきたいと思います☆
写真はコチラからお借りしました
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1.農商工連携ってなに?
事例に入る前に、そもそも、農商工連携とはなにか、みなさんは知っていますか 😀 ?
農商工連携とは、中小企業や農林水産業者が一次(生産)、二次(加工)、三次(販売)の壁を越えて連携し、互いが持つノウハウや技術等を活用することで、両者の強みを発揮した新商品の開発や、販路開拓等を促進していくことをいいます 主に地方の地域経済の中核をなす中小企業や農林水産業者を中心に、その活動が注目を浴びています 2008年には、その事業活動を促進していくための法律も施行されているのです。
農商工連携促進法に関する法令
では、実際に、実践して成功している事例を見ていきましょう
以下、「「農」と「食」の農商工連携」より引用します。写真はコチラからお借りしました
2.農商工連携の成功事例~成谷自然食品の会~
岩手県九戸郡山形村は典型的な中山間地である。村の霜畑地区の成谷集落には30戸の家があり、人口70~80人で構成され、60~70歳ぐらいの人が多い。
以前は雑穀の栽培、養豚等に従事し、男性は出稼ぎに行っていた。1982年からはホウレンソウの栽培を手掛け、出稼ぎはなくなっていく。若い人は町まで通勤したり、近くの加工工場へ勤めている。
ホウレンソウの栽培は3月から11月まで。空いている12月から3月までの間に「何かできないか」ということから、地元で食されているそば、団子を販売することを考えていく。
女性3人でスタート
当初は初代会長の七ツ役トミさんが自宅でそばを打ち、近所などに配っていたのだが、その後、近所の人も手伝うようになり、七ツ役さんと現会長の岩脇ヨシエさんを中心に5人の名義で「成谷自然食の会」を立ち上げている。地元産の玄そばを使ったそば、団子などを作り、当初は近所や親戚などに配っていた。その後、1995年には地元の郵便局が注目し、「ゆうパック」をやらないかとの誘いがあり、始めてみると、口コミで注文が来るようになる。12月から3月にかけて、1ケース2500円のものが1500ケースほど売れるようになっている。中には、「まめぶ」という山形村の郷土食も入っている。
「そば」と民泊の提供
1997年には岩手県の地域活性化事業である「食の匠」事業に採択され、洒落た「そばの匠館」を建設し、2005年末には炉端焼きもできる「体験工房」も完成している。現在では、「そば打ち体験」なども含めて、民泊と「そばの匠館」で通年で宿泊を受け入れている。「そばの匠館」の宿泊は夏季のみ、収容人数は10人ほどであった。当初男性陣は「そんなのやっても、金にもならない」と冷ややかであったのだが、「そばの匠館」が出来、人も訪れるようになり、現在では協力してくれている。
リーダーの岩脇さんは「人がこないとさびれてしまう。来てくれれば、年寄たちが喜びます」と語っていた。
農村地域女性グループの先進事例に
宿泊客には、看板のそば、まめぶに加え、山菜、キノコなどの旬のものを出すようにしている。玄そばは集落のものを使い、1俵(45kg)1万2000円と、相場よりもやや高めで引き取っていた。近年、集落の作付けも増加し、耕作放棄地も減少している。
女性たちの取組が、集落の活性化につながっているのであった。
「成谷自然食の会」は東京の消費者団体との定期交流に加え、各地でのそば打ち教室、郷土料理のイベントへも積極的に出かけている。さらに、地元の小学校で伝承活動も行っている。岩脇さんは「忙しい時は集落の人も手伝いに来ます。特に、12月にはおばあちゃんが大活躍します」と語っていた。
この、「成谷自然食の会」の活動に対しては、2007年度「食アメニティコンテスト」において、全国最高賞にあたる農林水産大臣賞の優秀賞が贈られている。「成谷自然食の会」のこれまでの活動が、農村地域の女性グループの先進的事例となり、中山間地の小さな集落の活性化、集落住民の自身につながったことが評価された。
引用終わり。
以上が、もともとは農家だった女性農家さんのたちの農商工連携の活動です 😀
彼女たちは「ただ作る」だけの人に留まらず、自分たちの時間をそば作りへと充て始め、「加工」「販売」を積極的に行ったのです
農商工連携の成功ポイントは?!
農商工連携は多くの地域で実践されてはいますが、この「成谷自然食の会」のように成功できているものはごくわずかです では、「成谷自然食の会」の成功ポイントは何だったのでしょうか
事例と、以下のサイトを参考にしながら追求してみました
いわての輝く女性
やまけんの食い倒れ日記
(1) 搾取構造からの脱却⇒活力と余力を生み出し事業拡大へ
成谷自然食の会がある山形村は昭和55年の大冷害を機に大きく転換したそうです。その後、導入されたホウレンソウは女性や高齢者にも活躍の場を与え、変わりに古くから営まれてきたそばの作付けは減少しました。「作っても庭先で安く買い叩かれてしまっていたから」と岩脇さんは話しています。そこで、失われつつあるふるさとの味と誇りを守ろうと、そば打ちの大ベテラン、七ツ役トミさんを中心に5人の農家女性が集まったのです
このように農家自らが農産物を卸等を通さずに直接売ることで、利益は農家へ直接入ります。=搾取構造からの脱却が可能となるのです そして、収入が上がれば、活力も上がり余力もできます。そのできた余力を使い、成谷自然食の会の女性たちは民泊や体験事業等様々な事業に着手していきました
(2)消費者の需要を汲み取る
「そばの匠館」では、食事・そば打ち体験ともに事前に予約が必要です。それは、一品一品丁寧に仕込みから調理まで行い、心からのおもてなしを来てくれたお客さんたちに提供したいから。村でもご馳走とされている本しめじをふんだんに使った「まめぶ」や、人数分だけ打って出してくれるそば、郷土料理の品々は訪れる人々を心から満足させてくれるものです
写真はコチラからお借りしました
また、そば打ち体験も少人数制で行い、村の成谷自然食の会のお母さんたちとお喋りをしながら進められます。
都会からここへ来るひとたちは、街にはない自然やこのような温かみを感じる料理や地元の人達との交流を求めてくる人がほとんどでしょう。そういった都会のひとたちの需要を汲み取り、実践してきたのではないでしょうか
(3)可能性収束から充足発の実現思考へ
成谷自然食の会のお母さん方は、もともとは農家です。自分たちの手で消費者へ売るということは全くの未経験だったはずです。しかも、代表者の七ツ役トミさんが活動をし始めた時は既に70代だったというのですから驚きです。高齢になり、生産だけに携わってきた人ならば、普通、失敗を恐れて事業化しようとは思わないでしょう。しかし、そば打ちのベテランである七ツ役さんは“自分たちの作ったそばは必ずみんなに喜んでもらえる、買ってもらえる”というそれだけの経験と自信、そして“村に人が来れば村に活気がでる”という確固たる想いがあったからこそ実行に移すことができたのではないでしょうか
5人の仲間を集め、最初は年越しそばから始めて、できそうな事には積極的に取り組んでいく。例え、村のみんなから「そばの匠館」の民泊が“儲からない”と非難されても活動に取り組んでいけたのは、その先にある、人が来てくれたことで活気づく村の人達や交流で都会の人たちが喜んでくれる充足イメージがあったからだと思います
写真はコチラからお借りしました
以上の3点が成谷自然食の会が成功できたポイントではないでしょうか?
さて、この3つのポイントには実は共通点あるのです るいネットの投稿記事「素人の社会活動26 創造の資質」の引用を参考に、探っていきましょう
☆いったい、認識の統合者=創造者の資質は、何なのか?それが出来る者と出来ない者の違いは、何なのか?
●まず、知識が豊かであるとか言葉が巧みであるという様な事とは無縁であるらしい事は、多くのダメ投稿群の例から見ても、明らかである。つまり、観念回路そのものには統合力(従って創造力)は、ないらしいと考えられる。だとすれば、観念以前の回路、つまり本能回路・共認回路・(自我回路)が、意識の統合の(従って創造の)カギを握っているという事になる。そこで、これら本能・共認・(自我)回路が生み出す意識を、仮に(言葉以前の意識という意味で)潜在思念と呼ぶ事にする。
●誰もが、これらの潜在回路を使って現実を対象化し、可能性を探索している。そして、実現可能な方向や方法を探り当てた時に、全意識がその可能性に収束して、潜在思念が統合される訳だが、この潜在思念の統合力こそが、統合(創造)のカギを握っており、かつ人によって潜在思念の統合力に大きな差があるらしい。
●この差は、本能・共認・自我の夫々の回路の発達度合い(おそらくは、本能充足・共認充足・自我充足という夫々の充足体験度合い)に規定されていると考えられる。つまり、充足体験の豊かな(従って潜在回路の発達した)者は、どこまでも潜在思念で現実を対象化する。従って、様々な切り口が出てくるし、いずれは突破口を探り当てる事が出来る。
あるいはそれ以前に、潜在思念がその都度それなりに統合されているので(つまり、実感に裏打ちされているので)、彼が語る言葉は概ね整合しており、分かり易い。
引用終わり。
つまり成谷自然食の会は、地域の食や伝統が失われそうになった時、「自分ができることはなにか」「どのような取組ならばうまくいくか」「どうすればみんなが充足できるか」など、自分たちの経験から充足発の潜在思考で現実を対象化⇒実践できていたのです。成谷自然食の会の柔軟で取組のひとつひとつが、それを現しています。
農業だけに限らず、綿密な事業計画などはないけれど、楽しいこと・充足できることを潜在思念で捉えて取組を展開し、成功しているひとはたくさんいるでしょう。“常に可能性追求をしていくこと”それが成功の鍵となるのです
また、いままで、農業は物的生産だけをするイメージがあった人も、このような事例を見てみれば農業には可能性がたくさんあることが分かってもらえるのではないでしょうか?
さて、企業でもこのような充足発の実践思考で活動している人たちがいます
次回は、企業の農業参入の可能性を探ります☆お楽しみに
投稿者 staff : 2012年08月07日 TweetList
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