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2006年09月08日
ASEAN+3で日本が果たすべき役割とは?
>ASEAN統合、新段階・非関税障壁も撤廃へ(日本経済新聞 2006年9月2日)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060903AT2M0201B02092006.html
>東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合が域内の自由貿易協定(FTA)による関税引き下げから、より広範な第2段階に入った。各国は製品の共通認証制度拡充や、査証(ビザ)の一部免除で合意。コメや天然ゴムなど農産物の生産・販売で「産業連盟」を組む動きや、証券取引所間の提携強化など金融面の協力も活発になっている。人口5億5000万人の広域単一市場の実現へ向けて前進し、現地の日本企業も事業を展開しやすくなりそうだ。
>シンガポール、タイなどASEAN10カ国は8月下旬、域内の貿易や投資を自由化する「ASEAN経済共同体」を5年前倒しして2015年に創設することを決定。日中韓を含む東アジア共同体構想の先導役となる見通しだ。
ASEANの統合がまた一歩すすんだことは喜ばしい。EUのように独自の経済圏を創っていくことが、アメリカのドルによる一極支配から脱する可能性になっていくと思う。
しかし、ASEANの統合には様々な障壁が横たわっている。
日本アセアンセンターのページ(http://www.asean.or.jp/index.html)に、ASEANの現状を示す様々なデータが紹介されている。
例えばこのデータ『一人あたりGDP』
http://www.asean.or.jp/general/statistics/statistics04/01basic/05-02.html
この2002年値を見ると、マレーシア(3,959.53$)・タイ(2,033.66$)・シンガポール(20,806.02$)などは比較的高いが、カンボジア(289.99$)・ベトナム(437.03$)などは著しく低い。中国(955.39$)も最近では伸ばしてきているのだろうが、2002年はまだかなり低い値。
これだけの格差が、経済統合にどう作用するのだろうか。
『製造業の賃金(月当たり)』http://www.asean.or.jp/general/statistics/statistics04/04investment/07.html
この表でマレーシア(402.89$)やシンガポール(1,739.69$)と比べると、インドネシア(54.52$)やベトナム(64.81$)などはかなりの低賃金であることがわかる。
日本は、この人件費の格差を利用して、アジアに生産拠点を移転してうまい汁を吸ってきたわけだが、同じようなことをASEANでイニシアチブをとる国がやっていくとしたら、国家間の格差はますます開くかもしれない。
そうなると、貧乏な方のASEAN諸国の農業は打撃を受け、農村共同体はより破壊され、工業地帯では環境汚染がすすみ、国境を越えて都市部へ人がなだれ込んで失業者が溢れ…といった可能性もある。
まさに、戦後の日本や、現在ひどい公害にあえぐ中国がたどったおなじ道である。
「経済発展=善」という単純な価値観で突き進むと、アジアの自然や人々の人間性が無限に破壊されていくだろう。
>民族的共同体意識を元にした経済に留まらない共同行動の可能性が開かれる目が出てきたのではないか(田野氏http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=102685)
これまでのように、旧い価値観でアジアを食い物にしているだけではだめだ。既に公害で苦い経験をし、貧困を克服した社会を築いている日本がこれからアジアで果たすべき役割とは、新たなパラダイムを構築しASEAN諸国にビジョンを示してリードていくことではないだろうか。
Tanvool(今回から新たにこのブログの仲間に入れていただきました。よろしく!)
投稿者 staff : 2006年09月08日 TweetList
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