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2022年11月22日

【不耕栽培の可能性】プロローグ~自然本来の力を活かした農業の可能性を探る~

写真は、こちらからお借りしました。

 

■世の中で注目される、自然本来の力を活かした栽培法

今、世の中で、安全安心な野菜として、「有機栽培」「無農薬栽培」や「自然栽培」などが注目され始めています。これまでの化学肥料・農薬は使わない、自然に寄り添った新しい栽培方法で育まれた野菜たち。

自然の太陽からエネルギーを吸収し、そして、大地から栄養を吸収する。そうやって自然を一体化してのびのび育った野菜たちの力を、私たちはいただく。自然本来の力を活かし、野菜たちから受け取った元気の恵みが、身体も心も元気に育んでくれる。そうありたいと思っている人も多いでしょう。

 

■不耕栽培の可能性

さらに、そこから一歩進んで、田畑を耕さない。野性的な自然の中でたくましく育った野菜たち。「不耕栽培」で育った野菜たちは、もっと健康的でおいしいのかもしれない。もっと言えば、昔の先住民・縄文人がそうであったように、採取生産のように、野性的に野菜を育てていけるのであれば、もっと身近で、おいしい野菜を手に入れることができるかもしれない。

そのような発想で、今回のシリーズでは、私たちの現代的な生活の中で、「不耕栽培」の実現可能性があるのか?欲を言えば、誰もが気軽に始めやすい栽培方法として取り入れられないのかを追求していきたいと思います。

※画像は、こちらからお借りしました。

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■不耕栽培は、地力が高まり、野菜の成長力が高まる

土を耕さない不耕栽培は、一般的には、以下のような可能性が注目されています。

①土壌環境が良くなる:土中の微生物の生態系がそのまま維持されることと、野菜の残渣による有機物(栄養素)が蓄積され、地力が再生されると言われています

②品質や収量が良くなる:①との関係しますが、土の力が高まることで、野菜ものびのびと育ち、品質や収量がアップすることになります。

③気候変動に強い野菜が育つ:そして、野菜が強く育つことから、日照り・大雨・暴風などの急激な気候変化にも耐える力も高まります。

逆に、当然のことながら、土の環境や人の手入れ、栽培する野菜の種類など、栽培する上での多くの課題があります。そのような可能性と課題を睨みながら、私たちの現代の生活の中で、どのように取り入れることができるのかを追求していきたいと考えています。

※画像は、こちらからお借りしました。

 

■歴史的には、生産量拡大のために耕してきた

一方で、耕すようになったのは、なぜでしょうか?

歴史的に紐解けば、日本で農耕が始まったのは紀元前1000年~200年の間と言われています。寒冷化から温暖化に転じ、人口拡大の可能性が開かれた時代に、農耕が開始されたのではないかと当ブログでは考えています。紀元前200~後200年までの400年の間に稲作が全国に広がったとみられています。農耕技術が、集団拡大・居住地拡大を後押しさせたのだと思われます。

これらを踏まえると、”耕す”を始めた一番の要因は「生産量の拡大」と考えます。計画的に生産量を確保できる、また、人数に合わせて農作物を増量できる「農耕=田畑を耕す技術」は、生存圧力が強烈な時代には無くてはならないものだったのでしょう。

「【農の歴史】第6回 日本農業の歴史~、農業は渡来人支配の歴史でもあり、共同体温存の歴史でもある。」

また、農業生産での耕す意義は、土中の微生物に空気を送り、土中活動を活性化し、分解した栄養を野菜が吸収しやすいようにする役割があるとされています。

※伊勢志摩経済新聞よりお借りしました。

 

■新しい農業のかたちを追求

上記のように、「耕す」と「不耕」は、その時代の外圧や自然環境から生み出されたものです。これからの時代、そして集団・生産のあり方から、どのような栽培方法の可能性があるのか?を考えていきたいと思います。

「不耕栽培」シリーズでは、だいたい以下のような流れで追求していこうと思います。

・プロローグ
不耕栽培≒植物本来の力で野菜を育てることの可能性は?
・シリーズ1  : 状況を掴む
不耕栽培・自然栽培の状況は?(全体の割合)、取り組んでいる人は?
取り組む上での課題・可能性は?
・シリーズ2~4: 先人に学ぶ
不耕栽培・自然栽培に取り組む人たちに学ぶ
・シリーズ5  : 土の中の世界1
元気な土ってなに?土と微生物の生態に迫る
・シリーズ6  : 土の世界2
生態バランスと作物を健全に育てる関係は?
・シリーズ7  : まとめ
全員農業・全員不耕の新しい農業のかたち

今回の追求を通じて、シリーズ7に書いているように、私たち現代人が、もっと身近に農と接することができる、そして、自分たちが食べていくことができる野菜を育てていくことができるような新しいかたちが少しでも描けないか。そのような展望を持って追求していきたいと思います。

投稿者 hasi-hir : 2022年11月22日 List   

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