『有機農業をまるっと見る!!』シリーズ3:「有機農業」「オーガニック」ってそもそもなに? |
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2022年07月09日
【ロシア発で世界の食糧が変わる】3~食糧急騰や国家破産。革命前夜の世界。~
前回の投稿では、ロシア・ウクライナ侵攻を機に、ロシアは食糧の輸出制限をかけている実態と、同様に、ウクライナも輸出できない状況について見てきました。
今回の投稿では、世界の食糧を握る2国の輸出が途絶えた今、世界がどうなっているのか?について状況を見ていきたいと思います。
輸出されずに、滞留する膨大な数のコンテナ。画像はこちらからお借りしました。
■世界の食糧価格は過去最高に/肥料は前年の2倍
ロシアとウクライナの世界を代表する農業国です。特に小麦の輸出量は、全世界の3割にも匹敵しており、世界中の食糧・農に大きな影響を与えています。
その結果、国連食糧農業機関(FAO)によれば、4月現在で2014~2016年値に比べ、159.3となり、過去最高値となりました。また、前月と比較して約18ポイント上昇と、凄まじい勢いで価格急騰が起こっています。
またロシアは、肥料の代表輸出国です。肥料も同様に急騰しており、前年と比較して2倍に急騰しています。農業生産自体も、過酷な状況に追い込まれています。
日本の小麦価格(輸入品)の推移。画像はこちらからお借りしました。
■イラクでは、小麦の価格が3倍に急騰
とりわけ、反ロシア国での食糧が苦しい状況に追い込まれています。
イラク南部では、通常の小麦粉50kg=約940円のところ、3月時点で3倍以上の約3100円と、価格が3倍以上に急騰しました。その他の食材・調味料も2倍以上に高騰しているものもあり、生活は困窮を極めています。
食糧価格の高騰により、デモを行う市民。画像はこちらからお借りしました。
■来年度の作付けができず、1億人の飢餓者が増える予測
食糧高騰は、消費者サイドだけでなく、農家にも大きな影響を及ぼしています。輸出が滞っているため、収入もなく、次年度の作付けができない。あるいは、前段の通り、肥料の急騰により、入手することができず、作付けができない事態に陥っています。
ドイツの経済学者マルティン・カイム氏は、現在の状況で推移した場合、約1億人の飢餓をもたらすと予測しています。
画像は、こちらからお借りしました。
■スリランカは、国家破綻に追い込まれた
当初から経済が苦しい状況にあり、さらに、コロナとロシア・ウクライナ侵攻による三重苦で追い打ちをかけられたスリランカが、7月5日に、国の「破産」を宣言しました。国内の食糧不足とインフレにより、深刻な危機的状況に追い込まれており、もはや一国家では対応できな状況にまで追いやられています。
現在のような、世界的な経済混乱・食糧高騰が続くと、国家運営自体が窮地に立たされれるということです。なお、エジプトは「国家存亡レベルの危機」として位置づけ、緊急の対応策に奮闘しています。
画像は、こちらからお借りしました。
■世界は革命前夜の様相へ
このように、ロシア・ウクライナ侵攻を機とした食糧問題は、単に「食糧が大変な状況だ」という次元を大きく超えて、国民の暮らし、都市の維持、国家の存亡にまで関わる大きな影響を及ぼしてきているという認識が重要です。
食糧 ⇔ 金融市場 ⇔ 国家財政 ⇔ 市場経済がパラレルで、大きな変革が起こり始めています。
結果的に現在のような状況になったのでしょうか?
むしろロシアは、現在のような状況になることを予測し、食糧を機に全世界的な革命を起こそうとしているようにも感じます。
ロシアの目論見を明らかにしていくために、次回以降は、「ロシア」に焦点を当てて見ていきたいと思います。
■参考参考ページ
・「日本も他人事でない世界の食料危機 対ロ制裁の代償、各国に跳ね返る 輸入依存国ほど事態深刻」
・「価格高騰で世界食料危機の様相 ウクライナ危機が拍車かける OECD消費者物価指数8・8%上昇」
・「2023年、世界は人類史上最大となる食糧危機に直面する」
・「スリランカが「破産」宣言=燃料不足、危機長期化」
投稿者 hasi-hir : 2022年07月09日 TweetList
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