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2013年03月23日
農を身近に★あぐり通信vol.2:新規就農の成功事例に新しい農村をみる~「あいよ農場」の可能性~
みなさんこんにちは 😀
今回のあぐり通信は、新規就農の成功事例紹介です
紹介するのは、千葉県にある「あいよ農場」。ここには、年間700人もの人が農業体験や農家との交流を目的に訪れます この農場のどこにそんな魅力があり、何故そんなに沢山の人たちが「あいよ農場」に訪れたくなるのでしょうか。
また、このあいよ農場がもつ新しい農村のあり方と可能性も追究したいと思います
農家同士の繋がりで運営される「あいよ農場」
こんなにも農業体験者の数が多いと「体験農業用の施設なの?!」と思うかもしれませんが、総勢10人でちゃんと生産も販売も加工も行っている共同経営の農場です。
「共同経営ってなに?会社じゃないの?」と言う声が聞こえてきそうですが、
この「あいよ農場」、実は一戸の農家でも会社組織でもNPO団体でもないんです
あいよ農場は、有機農産物を作る新規就農者7世帯10人がゆるやかな繋がりを持ち運営していく農場です
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この、あいよ農場の中心人物となっているのが、東京農大出身の志野祐介さん 😀
志野さんは学生時代、海外途上国ケニアで生活をしていく中でケニアの人々が持つ“物の豊かさではない精神的な豊かさ”に触れ、「本当に豊かな暮らしとはなんだろうか?」と考えた時に、日本の農家の暮らしにすごく豊かさがあると考え、自分もそんな豊かな暮らしがしたいと農業を始めたのだそうです
はじめはなかなかいい土地が借りられず、農機具がずぶずぶと埋まってしまうような場所でからのスタートでしたが、4年後には地域の農家の方々と信頼関係ができ、空いた農地を請負い、現在は田んぼ38枚 畑16枚を作っているそうです
最初は3人だけで始めたあいよ農場も今では10人となり、その取り組みや活動がメディアやで紹介され、今では年間700人のもの人たちが農業体験をしに日帰りで訪れるようになりました。
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また、あいよ農場へ農業体験をしに行った人たちの声を聞くと、志野さんやあいよ農場のメンバーがとても魅力的な方なのだという事が伝わってきます 以下リンク/リンクから引用します。
「あいよ農場には意識の高い人が多くて、ハートが開いている優しい人がたくさんいるのです。
志野くんがまたそれを象徴しているような感じで、彼は本当に優しい人。優しさでできているような人。明るさと元気を、いつも人になげかけているのです。そしてとにかくアイディアマン、次から次へとワクワクするようなことを思いつく天才なのです。人やモノを活かすのがうまい。それも、実現可能にするからすごい。彼の魅力は会っただけでみんなが確信しますね!」
「とにかく楽しそうに農作業をしているのがとてもほほえましく、農業って楽しそう!とかやってみたいなと思わせるパワーを持っている方です。
訪れた日は田植えイベントの日でたくさんの方があいよ農場を訪れ、みんなで楽しく土に触れ、一生懸命サポートしている姿に今後の農業の一筋の光を感じたのでした。
志野さんの底抜けの明るさが人をひきつけるのでしょう。」
引用終わり。
大量生産に幻滅して農業を始めた人は、徹底した“無農薬栽培”主義者になる場合があります けれど、「あれもダメ」「これもダメ」では、生き方も窮屈になってしまいます。ここには、そうした感じは一切ないないそうです それは、「無農薬」を目的とせず、農業の楽しい所、面白いところを見出して、理想の生活や農家の姿を思い浮かべ暮らしているからでしょう。だから、ここで生活しているメンバーたちは皆いきいきしているのです その姿に惹かれ、人々は集まってくるのではないでしょうか
新規就農者同士が繋がることで生まれる強み
また、志野さんはこうも言っています。
「僕らは農薬は使いませんが、それだけが売りではない。強みはそれぞれが独立しながらも“団粒構造的(土壌生物の活動も盛んで作物の生育に適した状態)”になれて、農家同士でつながっていることです。」
志野さんが言う農家同士が繋がることで生まれる強みとは一体どうゆうことを言うのでしょうか 🙄 以下にポイントをまとめてみました
農機も労働力も共用することで効率アップ
作物の栽培は、各農家が土地を借り、農薬や化学肥料に頼らない農業をしています。しかし、トラクターやコンバインなどの農機は共用して使うため、機材を買うお金が削減でき、個人で農業をやっていくよりも断然に経費が少なくて済むそうです また、作業が大変な時は互いに農作業を手伝い、農作業の効率も良いようです
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多様な野菜が栽培でき、お客さんのニーズに応えることができる
あいよ農場では、野菜の宅配販売・イベントや店の軒先を借りたマルシェでの販売で収入を得ています。メンバーが複数いるため、多様な野菜を作ることができ、お客さんのニーズに応えられるのです しかも、マルシェも交代で参加できるから畑の管理が疎かになってしまうこともありません
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SNSで技術を共有
あいよ農場で頻繁に行われているのが、関東の若手農家20名程とSNSでつながる勉強会 それぞれが持つ技術や情報をウェブカメラを使って交換をすることで、栽培方法から機械のメンテナンス・野菜の美味しい食べ方・接客・経営にいたるまで様々な技術を共有化しています。そうやって経験を積み重ねているのだそうです。また、熟練の農家さんを勉強会に呼んで講習会もしています
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新規就農者の販路を確保
新規就農者は最初、生産物を売る場所がありません それが、農業従事者の定着を困難にしている要因なのですが、志野さんはメンバーから作物を買い上げ、それを宅配やマルシェで販売するかたちを採っています。だから、新規就農者であっても、当面の販路が保証されています
このあいよ農場の取り組みは、新規就農者が抱える課題をなくす突破口になるのではないでしょうか 農林水産省の統計データによると、“新規就農者の苦労したこと”は「営農技術の習得」が60.6%「農地の確保」が56.3%、「資金の確保」が55.2%といずれも5割を超えています。また、同じく農林水産省の統計データ“農業経営の当面の課題”を見てみると「所得が少ない」が58.8%と最も多く、次いで「技術が未熟」が12.9%、「労働力不足」が9.1%の順となっています。また、「設備投資資金の不足」も自家農業を継いだ人に比べると高い割合になっているようです
農林水産省統計データ
図 農業経営の開始に当たり苦労した事項の有無
図 農業経営の当面の主な課題の有無
こうしたデータを見てみると、「あいよ農場」の取り組みはこの新規就農者が就農後に抱える問題を解決できるヒントがありそうです
また、この取り組みは、これから農業に関わっていきたいと思っている人たちの理想の運営体型ではないでしょうか。市場の中で競争しながら働くのではなく、沢山の人と色んなものを共有して互いを高め合いながら良いモノをつくっていく。
この「競争よりも共生」を大事にする「あいよ農場」のあり方に惹かれ、農場まで足を運ぶ人は多いでしょう
「あいよ農場」は現代農村の新しいかたち
実は、こうした「あいよ農場」の取り組みは、昔の農村で行われていた“結”のかたちと似ています
結とは、主に小さな集落や自治単位における共同作業の制度で、一人で行うには多大な費用と期間、労力が必要な作業を、集落の住民総出で助け合い、協力し合う相互扶助の精神で成り立っている活動のことです。しかし、戦後以降、田舎から都市へ人々が住み移り、そのような共同作業をしている所をみることはほとんど無くなってしまいました。
以下、「社会期待を捉え、応える活動が、新しい「共同体」構築の基盤となる。」より引用します。
戦後の個人主義と市場社会の爛熟、それに伴い地方の地域共同体から引き離された人々が都市に流入し、都市は急速に大きくなる一方、バラバラの個人に解体された社会構造が成立しました。
しかし戦後60年以上経ち、現在はその2世、3世の世代に入っている事を考えれば、そこで新たな共認基盤が形成されつつあると言う事は間違いないと思います。
但し、「共同体の再生」に至るには、もうワンステップ必要な様に感じています。
と言うのも、共同体とは生産をも包括した集団の事であり、共通の課題・役割があってはじめて成立します。単なる幼馴染み、遊び友達がいくら集まってもそれは共同体の再生とはなり得ません。
例えば農村などであれば「農業」という生産活動と、「地域」単位での繋がりと相互扶助が直結していたため共同体が成立したわけで、これが都市との大きな違いと言えます。
(その意味では、生産体である「企業」の方が、より共同体への転換可能性は大きいとも言えます。)
しかし、同一の生産体に所属していなくても、共通の課題を担うことが出来れば、これもある意味共同体の再生と言えるのではないかと考えています。
引用終わり。
「あいよ農場」の取り組みは、バラバラになってしまった共同体を再生させる可能性を持っているのではないでしょうか
また、引用に「同一の生産体に所属していなくても、共通の課題を担うことが出来れば、これもある意味共同体の再生と言えるのではないかと考えています。」とあるように、「あいよ農場」では、あいよ農場のメンバーだけで農作業を行う共同体ではなく、都会の人たちや野菜を買ってくれるお客さんなど、自分たちと少しでもつながりのある人たちはどんどん巻き込んでいく生産者と消費者、または田舎と都会を結ぶことのできる新しい共同体のあり方なのです
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投稿者 staff : 2013年03月23日 TweetList
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