【シリーズ】これからの農業経営を考える~F1種から固定種へ |
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2013年03月08日
食と日本人の知恵シリーズ ①『菌の力で永く美味しく味わおう!!』
東北大震災による原発問題が発生して以降、『食』に関する安心・安全への期待がますます高まっています。
しかし、普段私達がコンビニやスーパー等で買っている食品や加工品の多くには、保存期間を長くする為に人体に影響を及ぼす可能性があると言われている他品目の化学調味料や食品添加物が使われています。
詳しくは、下記の投稿を参照してください。
驚愕の『食品の裏側』 1 安くておいしいの正体は「白い粉」
驚愕の『食品の裏側』 2 「おふくろの味」は「白い粉の味」
驚愕の『食品の裏側』 3 食品衛生法「表示」のカラクリ
コンビニで売られているカット野菜 野菜不足解消した気になってませんか!?
このような問題を突破し、私達の『食』の安心・安全に応えるにはどうする?
そこで、高い自然外圧の中でも生き抜いてきた私達日本人の古来より培ってきた知恵が使えるのではないか?と考えました。
1回目の今回は、『菌の力で永く美味しく味わおう!!』を扱ってみたいと思います。
日本では、古来より食材を長期保存し、且つ美味しく食べる為に様々な『知恵』が築かれています。
では、先人達がどのように保存法を考えてきたのか?について詳しく見て行きたいと思います。
●腐敗を抑える発酵技術によって編み出されたもの
長期間保存に堪え得る食材は?と聞かれ、すぐに思い付くのが、『発酵食品』だと思います。
この『発酵』技術は、すでに奈良時代の『古事記』に『米を噛んで酒を造った「口噛み酒」』と記述があり、古来から唾液と米を噛みあわせて寝かせておくと発酵し、酒ができるという知恵を編み出していた事が伺えます。
このように『発酵』は、1,000年以上も前から編み出された知恵ですが、そもそも「発酵」という現象は、カビや酵母、細菌酵素等、目に見えぬ微生物群によって起こるということが科学的に解明されるようになったのはごく最近のことなんですね。
自然界には、私達の目に見えない多種多様な微生物群が生息しており、中には空気や水といった栄養源のほとんどないところにも生きています。
日本人は、このような微生物は積極的に利用して、すばらしい嗜好品をつくってきました。一方で、それらの嗜好品や食べものを腐らせてしまう微生物に対しても、さまざまな手段によりこれを抑える知恵もあみだしてきたのです。
例えば、微生物を使ってつくりだした味噌や醤油に、野菜や昆布などを漬ける日本伝統の漬物は、食品を保存するだけでなく、保存期間中に風味を濃くすることができるから、一石二鳥と言えます。塩漬け後、乳酸菌によって発酵させた古漬けの類は、つくられた乳酸が腐敗菌の侵入をいつまでも防ぐとともに特有の酸味を付けてくれます。
また、くさやの例では、魚を単に干物として保存するだけでなく、くさや汁(塩水に何回も魚を漬けた塩汁を発酵させ、長期間熟成させたもの)に浸してから干すことにより、素乾の干物に比べて、保存性がいっそう高まり、味の変質を防ぐ一方、特有の風味を付けることができました。
ここまで挙げた事例は、何らかの形で微生物を介在させた巧妙な手法であって「微生物をもって微生物を制す」とも言える知恵でした。
一方、生活の知恵から生まれたユニークな防腐法もあります。
その一つに木灰の使用があります。皆さんも理科の授業で学んだ事があるかもしれませんが、ジャガイモを畑の中に埋めて芽を出させる時、切り口に木灰をたっぷり塗してから埋めるのは、灰のアルカリ性が種イモの切り口の消毒に役立ち、土壌微生物からの汚染を防ぐからです。
さらに、鳴門名産の灰干しわかめが、長期間新鮮さを保って保存に堪えるのも、こうした灰の作用によるものです。
また、酒に木灰を入れてつくった灰持酒は、酒に特有の赤い色を付ける目的のほかに、灰の持つ防腐効果を利用して、製品となってからの腐敗を防ぐためでもあります。
そして、梅干を飯のおかずにするだけでなく、その殺菌効果を利用して弁当やおむすびの保存性を高めたのも、また、蕗の葉や柿の葉、笹の葉のような植物の葉に、殺菌作用(ポリフェノール成分がその主な有効成分である)のあることを体験的に知ると、すぐにこれで食べものを包み、葉の快い香りを移す事も考えました。
このように、先人達が考え出した様々な保存法や殺菌法は、単に有害微生物の侵入を阻止するという目的だけではなく、その目的を主としながら、より良い風味にすることも狙った、極めて巧妙な手法であったのです。
いかがでしたか?
私達が普段何気なく食べている食材も、まさに先人達が自然の摂理を注視し続け導き出した『腐敗を抑えるための知恵』から生まれたものだったんですね。
言い換えれば、目に見えない『菌』とも、共に生きていく事を選び、更に永くおいしく食べられるような知恵を生み出せたのも、何でも受け入れ、日本の風土にあった形に変化をさせてきた私達日本人の中にある『縄文気質』がなせる業ではないかと思います。
では、次回は、私達の食事に欠かせず、縄文時代から食べてきたと言われる『漬物』についてご紹介します。
楽しみにしておいて下さいね。
有難うございました。
投稿者 shiogai : 2013年03月08日 TweetList
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