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2011年01月16日

シリーズ口蹄疫問題の本質に迫る! 第7回 自然の摂理に則った畜産の試み

口蹄疫シリーズもいよいよ最終回となりました。
昨年の宮崎の口蹄疫発生を切っ掛けに、口蹄疫や畜産の歴史、現状を辿り、生産者と消費者の分断の問題と新しい試みを扱いました。
今回は、今後の畜産の形の1つとして注目される可能性事例を紹介して結びとします。
ここ数年、注目を浴びてきている、「水田放牧」「小規模移動放牧」です。
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では、中身に入ってゆく前に、いつものぽちっとよろしくお願いします。
  

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元々、水田放牧も、小規模移動放牧、林間放牧も、本来の畜産を目指すと言うよりも、耕作放棄地対策、里山保全という視点から始まったものですが、結果として、牛がより健全に育ち、また、飼料の自給率も上がり、畜産経営的にもメリットがあるということがわかってきたものです。
一方で、このような方法は、現段階では、畜産の一部分を補う範囲であること、また、当然、過密な放牧は出来ませんので、国土から規定される適正飼養頭数もあるでしょう。ということは、逆に、その範囲内での肉の消費量に留めてゆくということも、あるべき食として、必要になると思われます。
「山口型放牧」として知られる事例です。
林間放牧の事例は、このブログでも以前扱われています。
http://blog.new-agriculture.com/blog/2009/02/000782.html
「放牧維新ええじゃないか」
http://houbokuishin.blog111.fc2.com/blog-entry-40.html#
より引用です。
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山口型放牧とは?
 「放牧維新」が扱っている放牧は、山口県内で実施されている「山口型放牧」であるが、この山口型放牧とは1989年、全国に先駆けて始まった水田放牧事業と、それが進化した移動放牧事業の2本柱で構成される新しいスタイルの放牧だ。定義は少々堅苦しいのだが
 中山間地などの生産条件が不利な地域において、草地造成を伴わない棚田や急傾斜地などの条件を生かした低コストで省力的な飼養管理ができる放牧
 最近、「小規模移動放牧」、「水田・里山放牧」など全国で普及し始めた移動式の小規模放牧は「日本型放牧」と総称されるが、その原型と言っていいのが山口型放牧なのである。エッヘン!(山口県の畜産関係者の代わり)
 2種類の放牧をもっと分かりやすく説明すると、水田に牛を入れるのが水田放牧、電気牧柵を使ってあちらこちら移動するのが移動放牧。まあ、読んで文字の如しであるのだが、追々詳しく説明することにしよう。
 で、この山口型放牧がなんですごいかと言うと、理屈としてはだれでも分かるアイデアを、実際にシステマティックな事業として技術を開発し、それを普及させたことだ。これも後で詳しく書いていく予定だけれど、日本にも放牧は昔からあったのだが、技術や病気対策が必要で、だれでもすぐにできるものではなかった。
 先に生まれたのが水田放牧。普通に考えると、なぜ水田に牛を入れるの? 水田はコメを作る場所じゃなかった? と疑問が生じてくる。ここで山口県の事情が絡んでくる。中国山地を抱えて中山間地域の多い山口県では、早い段階でコメが作れなくなったのだ。高齢化率が全国5番目に高く、人口も1986年から減少し、2005年にはついに150万人を割り込んだ。農家の労働力に余裕がなくなり、耕作放棄地が増えたというわけだ。
 山口県は耕作放棄地が生じる“トップグループ”にいる県だが、他の府県も程度の差はあれ、同じような事情を抱えている。全国を取材で回っていると、耕作放棄地があるわ、あるわ。都会で暮らす人もぜひ日本の美しい田園風景がまさに絶滅危惧種となっている現実を見てほしいものだ。
 水田放牧の次は、移動放牧だが、これがまたすごい。県畜産試験場が試行錯誤を重ねて技術を確立、次に実際に農家にやってもらうソフト分野の「仕掛け」を細部にわたって組み立てた。
 
 山口型放牧のキャッチフレーズは「いつでも、どこでも、だれでも、簡単にできる」。これを3回唱えてもらうと、あら不思議、自分でも牛の世話をしてみたくなったでしょう。
————————————————————————————–
耕作放棄地などで実際に放牧している牛を目にすると、普通の人なら「俺も試しにやってみたい」と少しは思うはず、と勝手に思ってみる。自分だって時間と経済的な余裕があれば、ゆっくり牛をながめて暮らしたい。そのような放牧に興味を持った人をさらに誘惑するのが、牛をタダあるいは廉価で貸し出すレンタカウ制度だ。まるでレンタカーのような手軽さで牛がやってくる。……
 瀬戸内側の周南市市街から車で山道を30分。昨年8月下旬、山口県畜産試験場の牛運搬用トラックは人家もほとんどない中野地区に到着し、ここに住むTさん方に牛2頭を届けた。家の周辺には借りた分を含めて合わせて1ヘクタールほどの耕作放棄地があり、Tさんは農地保全のために放牧で荒れた土地をきれいにしようと思ったのだ。
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 Tさんは7年前に大手建設会社を退社した57歳。人生の後半をどのような農業をしようかと模索している。周南農林事務所畜産振興課のSさんからレンタカウ制度の仕組みや実施例などについて説明してもらうと、「牛を借りる費用がかからないなら、試しにやってみるか」。(中略)
 牛がトラックから降ろされ、放棄地の中へ。すると黒い巨体は大好物のクズの葉を求めて、ばりばり音を立てながら人間の背丈ほどもある茂みの中に入っていった。
 こうして新しい「放牧家」が誕生した。山口県農業大学校の就農支援塾を受講しているTさんは元気な牛の姿を目で追いながら「まだ分からないことが多いのですが、これから本格的に放牧に取り組んでみたい」。

水田放牧、移動放牧は、山口県では、既に、200箇所以上、300ha近い実績がありますが、
・牛が健康に育つ(病気が少ない、妊娠率が上がるetc.)
・飼料コスト(草や粗飼料中心)低下、自給率上昇
・牛が身近になる(畜産のブラックボックスの一部開放)
・食や環境教育の場の提供
・耕作放棄地を蘇らせる。
・里山保全
・獣害防止
・畜産のプロでなくても取り組める。

等々
多くのメリットがあります。
放牧牛は、赤身中心のアッサリ味であるとか、飼養頭数に限界があるなど、一般市場での霜降信仰や肉の多食という現状では、既存の畜産を全て置き換えられるものではありませんが、畜産、肉食の問題を少しでも身近にしたという意味で、これからの食を考える上での、可能性の1つを示すもので、みんなが当事者として考えて行く場作りの端緒になれば良いと思います。
以上で、このシリーズは終わりです。
最後まで読んでくださってありがとうございましたm(_ _)m

投稿者 naganobu : 2011年01月16日 List   

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コメント

漬物術にしても、酒にしても、日本の発酵技術、文化は、世界に寒たるものがありますね。
魚の干物も日本以外では、ほとんど見られないそうです。
自然の摂理に徹底的に同化して、その恵みを頂いて来た日本人ならではですねぇ。

投稿者 日本男児 : 2013年3月28日 20:13

健康食品とか、サプリとか、巷では騒がれていますが、そもそもの日本食を食べていれば、何も問題なさそうですね。
長い歴史の中で培われてきた日本食の英知は、とても理にかなったものなんだと思いました。
これはぜひ広めたいですね。

投稿者 komekko : 2013年3月28日 20:15

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