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2010年12月14日

「農」再生の実現基盤ってなに?~5章-1 農をめぐる新しい試みの成功事例~農の共認域を広げる市民農園~

「農」再生の実現基盤シリーズも、事例紹介まで辿りつきました 😀
前回の章では、“農”の持つ可能性の中心は『共認充足』という観点から、「6次産業的」の根底にある要素として、農業をより魅力的にしている人と人とのつながりの各ステップを追求 してきました。(リンク
実際に、農業をめぐる新たな動きの中で、活性化して成功している団体や企業を見ていくと、たしかに『共認充足』を中心とした仕組みを効果的に取り入れています。
5章では、その成功事例をいくつか紹介していきたいと思います。
事例紹介の初回は、「市民農園」☆+゜

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市民農園ブームは昔もあった!昔は課税を逃れる為の消極的農地活用?
最近ブームの市民農園ですが、実は貧困の消滅した1970年頃から、全国の都市近郊に、市民農園が開設され、ブームが起きていたそうです。

(前半省略)
一度は中断していた日本の市民農園が動き始めたのは、昭和40年代中頃で、1969年に神戸市と東京の板橋区で市民農園が開設された。そして、都市部を中心に市民農園が開設されだし、1974年には全国で163農園を数えるようになった。
 1975年になると、動きを見ていた農林水産省が、構造改善局長名で都道府県の知事宛に通達を出し、市民農園を”いわゆるレクリェーション農業”として認め、これにより市民農園の開設の動きが加速し、1987年には全国で2718農園に増加した。
 1988年には、超党派の国会議員からなる市民農園促進議員連盟が発足し、法律制定への足場が固まるとともに、市民農園が政策に取り上げられるようになり、1989年に「特定農地貸付に関する農地法等の特例に関する法律」が制定され、条件付きながら農地法上から貸付け行為による市民農園の開設が可能になった。翌1990年には、「市民農園整備促進法」が制定され、附帯施設の整備も可能となり、市民農園を大手を振って普及できる段階に達した。
研究会幹事 廻谷義治著「生活の中の市民農園をめざして」より抜粋)

この時期は、今の市民農園ブームとはまた異なる様子だったと考えられます。
1970年代頃は、三種の神器が普及し豊かさが実現した時代と言われています。身の回りのものは揃って、家事などの時間が省かれ、もてあました人たちが、都会の市街化の流れで虫食い的に残った農地を農地として活用しようと、市民農園がブームとなったのです。
当時の市民農園参加者は、元々都会近郊で農業をしていた人たちだと考えられます。農地転用で農地を手放したのですが、家事の手間が軽減され余った時間を、せっかくなのでこれまでのノウハウを利用し、「自分の食べ物くらい作ろうか。」と、虫食い農地を活用したのでしょう。
一方の農地所有者は、すすむ農地転用を待ちつつも、土地は農地として利用しないと課税される為、農地として利用しながらお金も入ってくる市民農園を選択する人が増えていった流れがこのブームだったのでしょう。この時の市民農園は、まだ農業に実感のある人たちが、余暇を有効活用して、実質的な価値(食べ物)を得ていた現象だったのだと考えられます。
一方で、地価バブルによって、農地を売るタイミングを計る農家も波に乗り、徐々に都市近郊の農地転用は進んでいきました。
その後のバブル崩壊により、市街化促進を阻害する農地の開発を進めるために、1991年に生産緑地法が改正され、三大都市圏の多くの市街地域で生産緑地に指定されなかった農地に対して宅地並みの課税がなされるようになり、全国の市民農園は次々と廃園・移転に追い込まれることになったのです。この時、多くの農地が駐車場になったようです。
現在の市民農園ブームは、何を求めている?
一度まっさらな状態に戻った市民農園ですが、その後また上り調子で開設は増えてゆきます。

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そうした人々の意識状況を受けてか、「特定農地貸付法」の改正(2005年)では、全国すべての地域で、誰でも市民農園が自由に開設できるという法改正も行われました。
農地所有者側の意識は、農地転用できないなら農地でないと課税が高くなるからor市街化調整区域だから、農地として利用したいというところで、あまり昔と変化はありません。
一方で、変わってきたのは市民農園参加者の意識です。農業なんてまったく知らない世代、完全な都会人が、市民農園に集まってきています。このような中で、市民農園ブームはどのように起こっているのでしょうか?
以下は、一部の地域のアンケートですが、ご覧ください。
~参加者の意識~
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(上記アンケートは、こちらから)
市民農園の参加者は、自らが食べるものを、自ら土を触り、成長する過程を見ながら育てることに魅力を感じています。前章でも述べたstep①の段階ですね。
>作物から受ける期待にしっかり応えることで、作物も立派に生長してくれるという喜びを収穫時に味わうことが出来るのが農業の素朴な魅力なのです。(リンク
体を動かして何か結果を出す手ごたえ(=人間の基本)は、現在の生活ではなかなかありません。だからこそ、みんな農業に興味が湧くんですね♪
ただ、上記でも述べましたが、農業をまったく知らない人たちが、参加してきている。だからこそ市民農園の運営者側には一工夫が必要です。
では、市民農園で成功している人たちは、どのような方法で運営しているのか?
参加する者の意識が変わったことは、上記に述べてきた通りです。そこで運営者が、その参加者の意識を捉え、応えていった人たちが成功してきているのです。ではその成功ポイントを見ていきましょう。

①指導できる人がいて、確実に作物を作れる環境がある
農業を知らない人が大半なのだから、手軽に楽しく作物が作れるフォローが必要です。指導してくれる人との信頼関係が成り立っていくことが、まずは、ポイントなのですね☆
②利用するもの同士の共認関係を築く
「貸す側vs利用者」という2者対立関係にするとなかなかうまくいかない。利用者同士がルールを共認し、気持ちよく利用できる場にできるか。問題がおきた時に、お互いを思いやり、解決に向かえるかがポイントになってきます。
③農園を盛り上げるイベントを定期的に開催する
みんながつくった農産物の品評会をはじめとして、参加者がどんどんつながっていくイベントなら何でもあり☆参加者が企画者となり、コミュニケーションを広げていく場となっているようです。
④農園の社会的な評価を高める活動をする
他の市民農園の見学会や勉強会からはじまって、HPやブログで自分たちの農園をPRしたり…、さらに市民農園そのものを社会に発信していく活動などに参加して、多くの人とつながる、社会の当事者になることで、活力も上昇していっているそうです。

これらの成功事例を実現していっているのが、以下の農園です

白石農園(リンク
東京はとっても市民農園が大人気 農地を市民農園として開放する農家に施設整備費や管理・運営費を助成している区もあるそうです。白石農園が開設する「大泉 風のがっこう」はそのひとつ。学校ではオーナーの白石氏が、農業知識のない生徒に農業技術を指導しているそうです。
あぐりっこ西宮(リンク
西宮の市民農園はすごい!西宮地域の農業を盛り上げていこうと、直売所やレストランなどと提携しつつ、HPでの発信をされています。そのひとつとして、市民農園は人気の様子です
萩台市民農園(リンク
今回最初に紹介させていただいた書籍の著者も参加している市民農園です。上記に出てきたポイントのほとんどがこの農園で実現されています たとえば、サークル活動などを作っていらっしゃるなど(千草台園芸サークル(リンク))、ぜひ覗いてみてください

定着するかどうかは、まずは作物が上手く出来て、指導者・主催者との信頼関係が築けるかにかかっています☆+゜さらに、周りの参加者と助け合う関係も築ければ、その集団のつながりが強くなり、市民農園自体に明るさが生まれるんですね☆
まとめ
市民農園を利用する単なる“お客様”ではそれほど深い共認充足は得られません。
「サービスの受け手=利用者=消費者」という枠組みを超えて、『当事者=生産者=運営者』という視点に立てる。そして、自分たちの集団を自分たちで創ること、社会に影響を与えていくことを思いっきり楽しむ。そのような『共認充足』を深める枠組みをみんなで創っていくことが、“農”に限らず、全ての集団の活力を再生していきます。

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市民農園の人気は都心近郊が大部分を占めていますが、これからの農業の可能性となるキーポイントがいくつか見えてきました。
地域の農を支えていく人を増やす共認運動としての市民農園の役割。
農を体感することで起こる意識変化。(これは農の枠を越えて様々です。)
農から共認を広げる一つの手段、共認域を広げる手段として、市民農園には可能性があります
さらに市民農園関連では、最近、農業をしたい者と農地所有者をつなぐ、つなぎ役を積極的に担って、ネットワークを形成する仕事を始めた人たちがいるそうです。そのような仕事が新たに求められているのだと気付きです☆+゜次回は、その新しいつなぎ役に焦点を当ててみたいと思います。お楽しみに☆

投稿者 staff : 2010年12月14日 List   

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