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2010年12月11日
シリーズ口蹄疫問題の本質に迫る! 第5回 濃厚飼料と過密飼育
口蹄疫シリーズも5回目で、終盤です。
前回は、商品としての牛肉の質を上げるために行われてきた品種改良、そしてそれを加速する人工授精技術によって、遺伝子が単一化してきている問題
を扱いました。
そして、今回は、実際の飼育方法(特に飼料)
の問題を見て行きます。
では、続きを読む前に、いつものぽちっとよろしくお願いします。
牛の飼料は、子牛、素牛を育てる段階と、肉牛として仕上げてゆく肥育の段階とに大きく分かれますが、特に、牛本来の食べ物とは異なる穀物を中心とした濃厚飼料を与える肥育中期以降に問題がありそうです。
以下より引用
http://www.medianetjapan.com/2/20/government/jangshogun/Beef1.htm
肉用牛の肥育は、農家ごと様々であるが、大体が下記のような感じで行われている。
——–中略——————————————————
肥育に入った段階から出荷までの期間を肥育期と言うが、農家ごとによって3~4区分して、飼料給与や管理のやり方などにポイントをおいている。一般的には前期・中期・後期と3期に分けるパータンが主流であるが、肥育方法も去勢牛の若齢肥育から雌牛の理想肥育まで幅広く、その肥育期間もまちまちなので4~6ヶ月の幅が生じる。 しかし、共通する麺として、前期に粗飼料を与えて身体作りに重点を起き、中期に濃厚飼料を増やして増体を目標とし、後期には圧ぺん大麦等を給与する事によって肉質の向上を図る。
肥育準備期(育成期)や肥育前期に粗飼料をしっかり与えるのは、体高・体調の伸びをよくし、良質の粗資料であれば1kg増体に要する飼料の量が少なくてすむ。 また、消化器病の発生も少ないと言う利点を生かすためにも、粗飼料の給与は欠かせない。
しかし、赤肉の増加・更に脂肪を増やしてサシ(脂肪交雑)を増やしてサシを入れると言う肉質の向上を図るには濃厚飼料が不可欠で、中期から後期にかけてこれを増やして多給の方向に持っていくのである。かと言って、多給が長期にわたると下痢・食滞・誇張症や第1胃のパラケラトージス、肝膿瘍などを原因とする食欲不振を起こすので、最小限の阻止量給与は欠かすことはできない。そして、食いやみのときは嗜好性の高い圧ぺん大麦を多く与え、早く仕上げるようにする事である。
前回、肉質について、サシ(脂肪交雑、いわゆる霜降肉)の具合で、大きく品質評価、価格が変わってくることが明らかにされたが、そのために、濃厚飼料が不可欠なのです。そして、その濃厚飼料とは、トウモロコシを中心とした穀物であり、牛が、本来食べるものではありません。その結果、病気に罹りやすくなります。 そして、実際、日本で屠畜される牛の内、約2/3は、何らかの病気にかかっており、部分廃棄が行われています。 参考
http://www.pref.yamagata.jp/ou/kenkofukushi/091018/gigyou.pdf
(10ページ表4参照)
そして、その濃厚飼料に多く使われるトウモロコシが、牛にとって、如何に良くないのかということと、トウモロコシが飼料として使われるようになった経緯が、以下に書かれています。
アメリカの例ですが、日本で育てる牛もその飼料は、ほとんどがアメリカからの輸入ですので、状況としては、大差ありません。。
以下
http://eco.goo.ne.jp/life/lohas/world/bo1301.html
からの引用です。
vol.13 牛は牧草でなくトウモロコシを食べる動物?
牛はトウモロコシではなく牧草を食べる動物だ。牛の胃はルーメンと呼ばれ セルロース(繊維素)をプロテイン(たんぱく質)に変換するバクテリアを有し発酵タンクのような役割を果たす。しかしアメリカでは廉価であること、短期間で太らすことができるという理由から牛にトウモロコシを飼料として与え飼育することが有益とされている。本来は田舎で牧草を食んで育つように創造された動物であるにも関わらず、人間は彼らにトウモロコシのような穀物を与え、そして思わぬ現象を引き起こしてしまった。
トウモロコシを食べて育つ牛その現象の一つ目は、トウモロコシに含まれる高でんぷん質が牛のルーメン中に泡沫状の粘膜層を形成させ、ガスが体外に放出されるのを阻害するという現象だ。このガスはルーメンを風船のように膨らませ肺を押し上げ牛を窒息させる。時折、牛の食道にホースを無理やり押し込み溜まったガスを抜かなくてはならないほどだ。
二つ目の思わぬ現象は、トウモロコシ飼料がルーメン内のpHレベル(水素イオン指数)を上昇させ牛の病気の原因になってしまったことだ。これが牛の腸の中のpHレベルまで増加させ、大腸菌や人間をも死に至らしめるその他の病原体を増殖させることになった。
トウモロコシ飼育の牛はしばしばCAFOs(Concentrated Animal Feeding Operations)と呼ばれる大規模で工業的な肥育場で育てられる。この肥育場では身動きがとれないわずかな空間に閉じ込められた牛にたっぷりと飼料が与えられ同じ場所で糞尿を垂れ流し続けるため、深刻な衛生上の問題と環境汚染を引き起こしている。そしてこの牛を生き長らえさせるために、抗生物質、ステロイド、成長ホルモンがトウモロコシ飼料に混ぜられ投与される。
これらの思わぬ現象を引き起こしてもなお、そしてそれらの問題を克服するべく対策がとられ始めてもなお、アメリカではトウモロコシ飼料で飼育されたものがもっとも商業的にポピュラーで入手しやすい牛肉なのである。
なぜだろう?答えは「より美味しいから」
だろう。でもそれは真実なのだろうか。
それを確かめるためにボールダーのファーマーズ・マーケットに行って来た。地元ボールダーっ子が「ナチュラル、ローカル、ケミカルフリー 」の牧草で飼育させた牛肉を求めてここを訪れる。私の個人的な牛肉の味比べチャレンジ談をご紹介する前に、 今日のアメリカでトウモロコシがほとんどの食品に使用されるに至った経緯について興味深いサイドストーリーに触れておきたい。
世紀の発明がもたらしたもの
20世紀初め、ドイツ人化学者フリッツ・ハーバーが窒素分子からのアンモニア合成法を発明した。この発明は空気中から窒素を固定して取り出し、重要なエネルギー源として人工的に窒素を多方面で利用することを可能にした。
植物の光合成には窒素が必要不可欠であるが、多くの植物は空気中の窒素をそのままでは摂取できない。元来ファーマーが作物に窒素を摂取させる唯一の方法は、アルファルファやクローバーなどのマメ科植物を作物と作物の間に植えてやることだった 。これらマメ科の特別な植物は根に魔法のようなバクテリアを持ち、空気中から窒素を吸収してそれを土に注入するというトリックをやってのけるからだ。この自然の生物学的プロセスは食物の生産量を厳格に支配し、それゆえに人類の繁栄をも左右してきた。
しかしフリッツ・ハーバーの発明以後、全てが劇的に変化した。皮肉にもこの世紀の発明は第二次世界大戦でドイツの爆弾製造のために使用され、戦後アメリカではトウモロコシ栽培に最大の恩恵をもたらした。窒素入りの化学肥料が誕生したためだ。窒素を扱っていた爆弾工場は素早く化学肥料工場に転身し、当時既にハイブリット種の開発によって(極端に接近して苗を植えても同規格に育つよう)進化していたトウモロコシはこの化学肥料を使用して栽培するとその他のどんな作物よりも1エーカー当たりの生産量に優れているということがわかった。
つまり、終戦によって余ったもののはけ口として、家畜の飼料が1つのターゲットにされているということです。
牛は、本来15年~20年は生きる動物ですが、商品化するために濃厚飼料をはじめとした、様々の飼料を与え、5年余りで肉にします。つまりは、自然の摂理に反して、思い切り不健康に育てて、早く太らせ、病気になる前に殺してしまっているというのが実際のところです。それだけ、霜降牛とは、不健康な牛であり、そんな牛を、我々は、ありがたがって食べているということです。
歴史を遡って考えてみれば、牧畜や遊牧は、その土地に自生する草などの植物を餌として家畜に食べさせ、そこから得られる乳製品や肉を食するという様式でした。しかし、現在の畜産は、他の地域で栽培された、しかも化学の力によって土地の力以上の作物を収穫し、餌として与えるという意味でも、自然の摂理を外した生産様式と言えます。また、飼養密度の点でも、その地域(土地)で飼料を自給できるレベルを越えてしまっているのではないでしょうか。
以上、これまで見てきたような諸要素が、口蹄疫等の家畜の病気を蔓延させる土壌を醸成しています。
今回の口蹄疫問題の本質は、直接的な感染ルートや行政、生産者の対応という表面的な問題ではなく、現在の畜産の様式、そして、そのような畜産にしてしまった我々の食習慣等、歴史や生活に根ざした深い問題であるということです。
では、次回は、これからどうする?ということで、今後、日本で向かうべき畜産や食のあり方を、具体的な案や現在、既に行われている試みなどを紹介して、このシリーズの最終回にしたいと思います。
投稿者 naganobu : 2010年12月11日 TweetList
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コメント
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