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2010年11月23日
「農」再生の実現基盤ってなに?~3章.「農」を取り巻く意識潮流
前回は、農地に関する法制度が多様な農のかたちを推進する方向に進んできていることを明らかにしました。その理由として「農業を何とかしないとマズイ」という危機発の要因があることも事実ですが、それ以上に人々の農業に対するイメージ、すなわち社会の意識潮流が変化してきたということが挙げられます。その中身を具体的に掴むことで、より良い仕組みの構築に向かえるのではないかと思います。
そこで、今回は「人々の農業に対するイメージはどう変わったのか?」「その根底にある意識潮流の変化とは?」を追求し、農再生の基盤を掘り起こしていきます。
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【農業に対するイメージはどう変わったのか?】
ご存知の方は多いかもしれませんが、少し前まで農業は「3K(キツイ・キタナイ・キケン)」の代表産業と呼ばれていました。特に、高度経済成長期からバブル期にかけて形成された「田舎からの脱出→煌びやかな都会へ」の流れは、今日の農家高齢化・耕作放棄地増加の要因とも言えます。この時代はこれが当たり前だったのです。
しかし、日本で豊かさが実現され、更にバブルが崩壊して経済発展に限界を感じるようになった辺りで、「農への回帰」が顕在化してきました。就農希望者(特に若者)の増加や、企業の農業参入、そして農業体験や市民農園の隆盛がその代表例でしょう。実際に今の人々が農業に対してどんなイメージを抱いているかと言うと・・・
これはほんの一例ですが(さすがに母集団が小さい・・・)、周りの人達に聞く意見とも大体一致しています。全体としてネガティブなイメージがほぼ払拭され、「これからが面白い」「自然の中でスローライフ」のようにポジティブなイメージが強くなってきていますね。「農業なんてやめとけ」が主な意見だった以前と比べると雲泥の差です。ただ、「儲からない」というのは一定事実であり、そのイメージが新規参入者の足を鈍らせている点には気をつけなければなりません。
【農地に対する意識も変わってきた?】
人々の意識が変わってきたとはいえ、こういった意見は都会で生まれ育った人に多いという傾向があります。つまり、田舎に対する美化された幻想が大なり小なり混じっていることは気に留めておく必要があるでしょう。
では、受け入れ側となる農家の方々はどう感じているのでしょうか?「先祖代々受け継いだ土地は簡単に渡せない」という想いに加え、「農地転用期待」があったため、滅多なことでは他人に農地を売ったり貸したりすることが無かったのが戦後~バブル期にかけての動向です。これが農地の流動化→大規模化が実現されない直接的な理由とも言えます。しかし、担い手不足が深刻化し、更に景気停滞から土地の転用も望みが薄い現状で、その意識のままだとは思えません。
実際に農家の方々の声を聞いてみると、「きちんと担ってくれる人には貸したい」という意見がたくさん聞こえてきます。重要なのは、単に「しんどいから誰でもいい」という意見は見受けられないことです。転用期待があった頃は「自分の土地をどうしようが勝手だろう」という意見もありましたが、今やそういう自分発ではなく、「農地を農地として存続させたい」(=食を提供し続けたい、荒らして周りに迷惑をかけたくない)が勝るみんな発に意識転換が進んでいるのです。そして、担い手の方も「土地を使わせてもらえれば十分」という意見が多く、もはや私有の対象として農地を見ている人が少数派になってきているようです。
【農業に対するイメージ変化の根底にある意識潮流とは?】
このように、農業に対するイメージは農家非農家ともに大きく変わってきています。一体なぜこのような変化が起こっているのでしょうか?その奥にある構造に迫ることで、これからどういう姿を目指せばよいのかが見えてきそうです。
実は、変化のきっかけは1970年の「豊かさの実現」にあったのです。それまでは「食っていく(≒お金を稼ぐ)」ために仕事をし、私権を獲得するためにみんな働いていました。しかし、実際に豊かになってしまったことで、「もっと私権を得たい」という意識が薄れ、活力不全に陥ってしまったのです。もはや自分発の欠乏は活力源にならなくなったのですが、そこでみんな(社会)に意識が向かい始め、「何かしら社会の役に立ちたい」という新たな強い欠乏が湧いてくるようになりました。みんなの「食」を担い、更に対面のやり取りで充足を得られる農業に惹かれる理由が分かりますね。
また、私権欠乏が弱まったことで、それを得るために構築された私権社会に違和感を感じる人が増えてきたのも事実です。もっと自然に近い生き方をしたいという人や、人同士の繋がりが薄れる不安から共同体的集団に憧れる人など、改めて人間本来のあり方を模索する動きが強まったのもこの頃です。その2つの意識の結節点として農業に向かうようになった、という流れもあります。
そして、「私権衰弱→モノが売れない→不景気⇒赤字国債で補う→行き場をなくしたマネーが投機市場へ(バブル)→幾度かのバブル崩壊」という経済情勢の変動を経て、幻想価値による私権獲得の可能性への諦めが一気に広まり、本当に大事な本源価値を持つ「食」、すなわち農業を何とかしたいという意識が強まってきているのです。
このように、危機発・可能性発の両軸から人々は農業に向かっているのです。特に重要なのは、「自分発⇒みんな発」への転換だと言えます。これは時代を貫く意識であり、法制度も、産業としての農業のあり方も、その事実を踏まえて展開することがこれからの時代の「農のかたち」として求められます。
次回は、その「みんな発」という意識潮流を捉えた農業のあり方について追求します。
お楽しみに!
投稿者 staff : 2010年11月23日 TweetList
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コメント
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