2008年5月26日
2008年05月26日
肉食の食習慣を維持する為の飼料イネ、飼料米の生産
お米の話なんですが、人間が食べる食用米ではなく、飼料用(牛、豚、鶏などの餌)の飼料米、飼料イネに関することです。
まづ、食用米を見てみると、消費量は昭和37年に一人当たり120㌔程を最高に以後年々減少し、現在では一人当たりの年間消費料は60㌔を切ってしまい,、日本の食糧自給率も年々減少し現在では40㌫を切ってしまいました。そして生産者単価は1表60㌔1万4千円以下と最安値を更新しています。
米の消費量の変化 「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」から
食料自給率の変化
取引価格の変化 農林水産省
19年度も国産の食用米やMA米が余り、食料援助や飼料米に転用したりして何とか処分している状態のようです。
このように米余りが続く中、穀物の世界的な高騰で、家畜農家は飼料用穀物の値上がり分を販売単価に転化しにくくこの先展望が見えない状態です。
そこで、最近注目され始めたのが、減反田や放棄田を活用し飼料穀物(飼料イネ、飼料米)を作り、家畜飼料自給率を上げようという試みです。
飼料イネ、飼料米 畜産草地研究所から
○今、我が国の畜産は、海外から多くの飼料(穀物や牧草)の輸入に依存しています。
輸入 飼料用穀物 2,400万トン/年(ニワトリ、豚、牛など)
輸入 乾草 152万トン/年(牛用 牧草地 約15万haに相当)
○一方、稲作は、米消費の減少と貿易事情による米輸入などから、減反を余儀なくされ、水田が余っています。
米生産調整(減反)面積 96万ha
麦・大豆・飼料作物・野菜など転作面積 50~60万ha
作付けされていない水田面積 40万ha前後
○転作として牧草や飼料作物(トウモロコシ、ソルガム)を転換畑で生産しています。が、排水が悪く軟弱な水田が多く、湿害等で、飼料作物を毎年安定して栽培することが難しい条件です。
日本は夏暑く多雨のモンスーン気候です。
○水稲はモンスーン気候に適した作物で、昔から水田で栽培されております。
○食用の米を生産する水稲を、飼料用の多収品種に改良すれば、水田で飼料が生産できます。
水稲(コシヒカリなど)10a当たりの収量 → 玄米約500kg
稲藁が約500kgあり、稲作物全体の収量 → 乾物(DM)約1,000kg/10a
食味など品質は良くないが多収の品種では玄米700~800kgの収量があり、
茎葉も含め全体(ホールクロップ)で1,400~1,600kgとれるデータがあります。
飼料用トウモロコシ(ホールクロップ)の10a当たり乾物収量 → 1,400~1,800kg
飼料イネの品種開発をすれば10当たり乾物収量 → 2,000kgも夢でないといわれております。
飼料イネでトウモロコシ並の収量も期待されております。
乳牛や肉用牛は、牧草のような繊維分と麦・大豆など穀物の両方を混ぜてエサにします。
飼料用穀物 濃厚飼料
牧草や飼料作物 粗飼料
○米の実った稲を、茎葉と一緒に収穫して利用する(ホールクロップ)は、乳牛や肉用牛の良いエサになります。
ホールクロップでエサ利用する飼料用の稲を「飼料イネ」と呼ぶことにしました。
(飼料イネの品種によっては茎葉が主体で出穂前に収穫する場合もホールクロップと考える。要するに穀実利用の飼料米と区別する)
飼料イネの生産利用が普及すれば、余った水田を活用でき、飼料の輸入を減らすことができます。
余っている水田で飼料イネを生産すれば乾草の輸入を0トンに減らし飼料用穀物の輸入を10%~20%減らす計算も可能です。
○そのため、飼料イネの品種開発から、栽培・収穫・調整、家畜への給与に至る技術開発が必要です。
飼料イネ技術開発研究を、水田・稲作分野と草地・畜産分野が連携して進めようとしています。
しかしこの飼料米の生産コストは輸入トウモロコシの5倍程で収量が増えたところで現在の輸入飼料に太刀打ちできる物ではなさそうです。国は補助金を付けて飼料米の生産を上げ、飼料自給率を向上させようとしていますが、穀類で10~20%では抜本的な解決策とは言えません。
この施策は、食料自給率の低さを改善し、農村の活性化につながるようなうたい文句で紹介されている事例が殆どですが、成人病などを引き起こす一因とされている、現在の欧米化した日本の食生活の維持を前提に、又は更に米国化していく食事情に標準をあわせた施策です。
今回の穀物価格の高騰を機会に、日本の米国化した食習慣を見直すよい機会になればと思っています。
読んでくれて有難う。ポッチ宜しくお願いします。
投稿者 hakosuka : 2008年05月26日 Tweet