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2015年08月16日

日本農業、破壊の歴史と再生への道筋7~農協からの離反⇒自立・自考の機運

前回記事:日本農業、破壊の歴史と再生への道筋6~”脱農業”で肥大化したJA農協

「農政トライアングル」の要として、”脱農業”で肥大化し続けてきたJA農協。
一方、ますます疲弊していく農業界への危機感から、志高い農家達を中心に(お上からの)自立・自考の流れが芽生え始める。

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■主業農家のJA離れ

「日本の農業を破壊したのは誰か」(著:山下一仁)より引用(P127)
兼業所得が主体の第二種兼業農家は割合としては6割だが、その数は1990年の198万戸から2012年には86万戸に減少している。しかも、JAが政治活動の中心に据えてきたコメ農家の変化が著しい。「稲単一農家」について、主として農業に従事した基幹的農業従事者の分布をみると、65歳以上の割合は65%にも上っており、高齢化が著しい。

その一方で、JAがこれまで冷遇してきた規模の大きい農家層が着実に伸びてきている。コメの販売農家数全体は2000年から5年間で16%減少した。このうち3ヘクタール未満層が軒並み減少しているのに対し、3ヘクタール以上層は増加しており、特にもっとも規模の大きい10ヘクタール以上層は3.4%と最も多い増加となっている。つまり、規模の小さい農家が撤退し、規模の大きい主業農家がますます規模を拡大しているのだ。

かつて総合農協制を利用し、不公正な取引方法を活用してまで(JAを通さない者には融資をしないなどの)圧力をかけてきた主業農家が、自立してきたのである。コスト削減を目指す主業農家は、肥料・農薬・農機具など資材の高値販売を不満として、JAから離反するようになった。

 

これら離反の動きは戸別農家にとどまらず、これまで農政、農協が進めてきた施策に対して問題意識を抱いてきた地域農協自体からも生まれ始めた。

 

■中央主導型から、地域自立型への転換~JA越前たけふ

「異色の地域農協トップが語る「自立」のススメ」より引用
規制改革の最大のテーマとなった農協(JA)。そのJAグループで全国的に注目を集める地域農協がある。福井県のJA越前たけふ。コメの直接販売や経済事業(購買・販売事業)の分社化など、他に先駆けて改革を実行している。冨田隆組合長に聞いた。

──農協改革をどう見ているか。

今回の改革は、地域農協がもっとしっかりせいということだと思う。中央会が主導して地域を統括する協同組合から、下からの自主・自立型へ転換する時期になったのではないか。

かつて1万2000あった地域農協も、現在は約700。規模をこれだけ拡大して自立できないわけがない。TPP(環太平洋経済連携協定)時代を迎え、このままでは農業は立ち行かないという認識は広がっている。農家のための地域農協という原点に立ち返り、もっと汗をかかないといけない。

──2011年に上部団体を通さないコメの販売を始め、一般的には赤字の経済事業を昨年分社化した。

全農のコメの集荷・販売は、品質に限らず一律価格が前提。それでは農家に「いいコメを作ろう」というインセンティブが働かない。われわれは自前で食味・整粒検査の体制を整え、出荷するコメ1袋ごとに「食味値80、整粒値70%」といった検査結果を表示した。販売先は独自に開拓し、3年契約の自動更新を条件にした。それでも需要に追いつかず、来年度産のコメまで完売状態にある。

肥料は地域に合うように、メーカーと共同開発した。配送もこちらで引き受けることで、中間コストを削減。系統から仕入れるよりも、2~3割安く農家に提供できる。そうした結果、経済事業は分社化初年度から黒字を確保した。

実は農業振興に関して、うちほど条件の悪いところはない。山間部があり、冬は雪が多い。生産品目はほとんどがコメで、9割以上が兼業農家。それでも自立できる。生産者の理屈ではなく、消費者といかに向き合うかが重要だ。

──コメの減反政策も見直されることになった。

今年から「日本晴」というコメの栽培を本格的に始める。日本晴は粒が堅く、すしなどの外食用に向いている。コシヒカリより2割程度単収が多く、飼料用米への転用も可能。作付けは200ヘクタールから始め、5年後には1000ヘクタールへ広げる。1000ヘクタールというのは、今うちがやっている麦などの転作面積とほぼ同じ。来年からはアジアへの輸出にも本格的に取り組む。

今後農政がどう変わるかはわからないが、補助金の削減などがあっても、農家が自主的に対処できるよう、今から準備を進める。言い訳せずに現状に対応していく。

 

このような自立・自考の機運は、全国各地で今後ますます強まってくるはずだ。

 

 

 

 

 

投稿者 noublog : 2015年08月16日 List   

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