農を身近に★あぐり通信vol.13:『家族野菜』で地域を活性化するレストラン |
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2013年12月03日
シリーズ「自給期待に応える食と医と健康」 ④身体のバランスと酸アルカリの関係
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前回の記事では“食欲”と身体の状態と“味覚”はすべて繋がっているということについて扱いました。一方で、おいしいと感じるものだけに偏った食生活を送ると、身体のバランスが偏り、健康が維持できなくなってしまいます。
では、そもそも身体のバランスをとるとはどういうことでしょうか。
今回は、生命誕生の話から、生命の身体のもとになっている私たちの身体のしくみを探り、自然の摂理に沿った身体バランスの取り方を解明していきます。
1.生命の始まり
参考(http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2012/08/001168.html)
生物が誕生した原始の海はもともと、水の溶解性が高く、岩石中にあったナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、リンといった鉱物が多く溶け込んだ海でした。そこに、雷放電、隕石衝突、海底火山の噴火などによって高エネルギーが加わることで、生物の材料である有機物が作られました。有機物から、細胞を覆う「膜」が生まれ、「膜の内部」に海を濃縮して閉じ込め、生物は誕生しました。ゆえに、生物は細胞内に、水とミネラルを含んでおり、これは生きていく上で必要不可欠なものとなっています。
(画像はhttp://fhu.meblog.biz/article/1617110.htmlからお借りしました)
海水のミネラル組成(左)と細胞外液のミネラル組成(右)を比べた表です。いずれも塩素とナトリウム、つまり塩分が大半を占めており、双方のミネラル組成が似ていることがわかります。
2.膜の構造
膜は二重構造をとっていて、この膜を通して細胞は内部と外部でやり取りをしています。
下の図は、細胞膜を通して、細胞内と細胞外でやり取りされるミネラルの組成を示したものです。
(http://fhu.meblog.biz/article/1617110.htmlからお借りしました)
細胞膜の内液のミネラル組成は、外液とはまったく異なります。ナトリウムは存在せず、替わりにカリウムが主な成分です。
細胞と体液の間の濃度差(浸透圧)を利用して、イオン化したナトリウムとカリウムが細胞内に出たり入ったりします。
細胞でやりとりされるミネラルは16種類あり、それぞれ細胞への働きかけが異なります。膜の働きを崩さないためには、それぞれをバランスよく摂取しなければなりません。
人の血液のpHは約7.35~7.45であり、若干のアルカリ性を示しています。
血液や体内のpHは、不足したミネラルを骨などから補充したり、余分なミネラルを尿から排出したりすることで常に調整し、バランスが保たれています。しかし、極端に酸性もしくはアルカリ性どちらかの食生活に偏ると、細胞や細胞膜に負担がかかり、生理的な調整機能が崩れることもあります。
例えば、酸性食品ばかりを過剰に摂取した場合、体内のpH値が酸に傾くので、それを中和するために、骨に含まれるアルカリ成分が使われます。するとその結果、骨が弱くなったり、尿が酸性に傾いて結石や通風発作に影響が出たりするのです。
ゆえに、酸性・アルカリをバランスよく取り、身体を中和に保つことが健康を維持する上で大切です。
3.食品の働きと酸アルカリ
では具体的に食品をとる際に、どのようなことを意識して食事をとるとよいのでしょうか。
食品のバランスを見分ける指標のひとつとして、酸アルカリがあります。
酸性食品とアルカリ性食品とは、食品自体が酸性かアルカリ性かということではなく、その食品が体内で酸性の作用を示すかアルカリ性の作用を示すかで分類されています。判定は、体内で消化される時の「燃焼」を想定し、食品を約450度で燃やし、その燃え残った灰を水に溶かした時、酸アルカリどちらのミネラル成分が多いかによって分かれます。塩素、リン、硫黄など酸性ミネラルが多ければ酸性、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどアルカリ性ミネラルが多ければアルカリ性、といった感じです。
(http://www6.plala.or.jp/yamaski/basic/alkaline.htmよりお借りしました)
アルカリ性食品は主に野菜、豆類、きのこなどです。
酸性食品は、主に肉、魚、卵などです。
食品そのものの性質と体内に吸収された際の働きが同一でない場合もあります。
例えば、梅干はクエン酸を多く含み酸性ですが、体内で消化される際にはナトリウムが基本になるのでアルカリ性食品とされます。
果物はアルカリ性食品ですが、穀物と一緒に食べると体内では酸性物質になります。また、果物は吸収がスムーズで、血液浄化の作用もありますが、他の食品と一緒に食べるとその食品の消化を妨げてしまいます。そのため、果物は単独で空腹時に食べることが望ましいです。
酸性食品、アルカリ性食品は、それぞれ特徴がありますが、どちらも身体に必要なものです。
まず、酸性食品はしっかりとらないと、腎臓や肝臓の働きが弱まる原因となります。しかし、酸性食品ばかりをとると、体内で活性酸素が過剰に作り出され、肝臓や腎臓の働きが鈍り、高尿酸血症や通風、尿道結石、慢性病になる可能性があります。
身体が酸性に傾かないようにするためには、アルカリ性食品を一緒にとることがポイントです。アルカリ性食品は、活性酸素を中和させ、内臓の働きをスムーズにします。
しかし、アルカリ性食品ばかりをとりすぎてもよくないです。例えばカリウムを取りすぎると、体内のカリウムが固まり、尿道結石になる可能性があります。
このように、酸性・アルカリ性はどちらも身体を支える重要な要素であり、どちらかが不足してはならないし、過剰に取るのもよくないです。ですから、両方をバランスよくとることが健康な食生活を送る上で大切なのです。
4.まとめ
>生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している。例えば本能も、その様な外圧適応態として形成され、積み重ねられてきたものである。また全ての存在は、本能をはじめ無数の構成要素を持っているが、それら全ては外部世界に適応しようとして先端可能性へと収束する、その可能性への収束によって統合されている。
>進化とは、その存在を構成する多数の古い実現体の無数の組み換え可能性の中の一つの外圧適応的な実現である。その無数の可能性の内、外圧適応態たり得る可能性は極めて小さいが、しかし決して唯一ではなく、幾通りもの適応の仕方=進化の方向が存在する。と同時に、完全なる適応態など存在せず、全ての適応態は外部世界に対する不完全さを孕んでおり、それ故より高い適応を求めて進化を続けてゆくことになる。とりわけ外圧が変化した時に、存在の不完全さと進化が顕著に現れるのは当然である(「第一部:前史 イ.可能性への収束=統合」より引用)。
生命は自然界にある要素から、さまざまな高いエネルギーを受けて誕生しました。私たちの身体も自然のものをバランスよく取り入れることで成り立つしくみになっています。ゆえに、おいしいと感じるものばかりに偏った、自然の摂理にそぐわない食生活は、当然身体のバランスを崩します。
だから、本当に健康にいい生活を送るためには、自然の摂理をよく理解し、身体に負荷のかからない、バランス取れた食事を取り入れることがとても重要なのです。
ところで、日本人の食品は、古来、たんぱく質が多く酸性である魚中心の食生活の中で、中性に近い穀物や、中和物質となるしょうゆ、みそ、漬物、納豆などを一緒に摂取するなどしてバランスの取れた食生活を送ることで、身体の健康を維持してきました。
次回は、こうした日本人のバランスの取れた食生活について詳しく探り、現代の食生活を見直すポイントを探っていきたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました♪♪
投稿者 KO-SATO : 2013年12月03日 TweetList
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