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2012年05月03日

【ニュース】次代に引き継ぎたい農業~地域で作る学校

今回は、先日の記事「農業の活性事業を担う指導層が、若者に伝えるべきもの(リンク)」にも繋がる、次代に引き継ぎたい農業のニュースを紹介します☆
先日の記事に紹介してある、以下の昔の集団生産のありようには、たくさんの集団統合の方法や集団での食糧自給の知恵が詰まっていそうです。

漁場や漁法や漁具は網元が代々保全、改良伝承するとしても、協業作業で仕込みがなされ、朝夕操業が繰り返される集団的生産関係であった。厳しい自然圧力を皆で同一視し、大謀を頭に集団の役割分担と能力序列は皆衆の前で自明であり、それはガキの頃からの仲間遊びを介した評価序列や集落内の現在評価とが繋がるものでもあった。

子供のときから、どのような集団にいるのかが、とても大切であることが伝わってきますね。
昔のような生産集団は崩壊した現代ですが、子供時代多くの時間を過ごす学校が、農業を取り入れている事例を紹介します

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1学校1農園を実現している喜多方市小学校
平成18年、国の構造改革特別区域として内閣総理大臣より喜多方市小学校農業教育特区の認定を受け、小学校に全国初の教科としての「喜多方市小学校農業科」を設置されました。平成23年、農業科設置校は18校となり、喜多方市内すべての小学校で、農業の時間が取り入れられています。

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喜多方市の農業の特色等をまとめた農業科副読本

各学校によって、取り組みの違いが少しずつあり、豊作を願って短冊を貼った山車を、田んぼに入ってみんなで担ぐ「どろんこ祭り」や地域のお年寄りへ作物をプレゼント、農業高校との交流など、イベントも様々です。
初の農業科設置校のひとつである熱塩小では平成23年から「心を耕すファームステイ」として地元の農家の家に行って、畑仕事のお手伝いをしました。農家の方々のお話を聞いたり、牛や鶏にえさをあげたりしました。地域の方々との交流が子供達の心も育てます。
参考:喜多方市HP

喜多方市の豊かな自然に、小学生時代からすべての子供たちが関わるような取り組みを行っている点で、全国では画期的な取り組みです。農業科を取り入れて4~5年経つ小学校では、地元の方たちとの関わりを広げていっている小学校の事例は、目立ちます
また、義務教育以外でもJAや市民による土日のみの企画:農業小学校は多く行われています。
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JAが地域農家と小学校をつなげた荒城(あらき)農業小学校
飛騨地域の小学児童を対象にした長期体験企画「荒城農業小学校」の入学式が行われた。今年で11年目を迎える同企画は、飛騨地域に住む小学1年~6年の子どもたちが、地元で農林業を営むおじいちゃん・おばあちゃんを「農家先生」として講師に招き、1年間かけて実際の農業や里山暮らしを体験学習するというもの。(昨年度に引き続き入学した児童31人に新たに48人が加わり、総勢79人の児童となった。)
(中略)

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今後、児童は月1~2回週末に行われる授業日に集まり、「野菜」「花」「稲」の作付けや収穫作業、自分たちで作った農産物の販売を行うほか、勾玉(まがたま)作り、しめ縄作り、豆腐作り、みそ作りなど様々な体験を行う。
 同校農場長の道上清秋さんは「子どもたちが農業に興味をもってくれる事だけでも非常に心強い。欲もなく遊び感覚でのびのびと楽しみながら(農作業を)やっている姿は見ていて心が洗われる。大人になったとき、きっと大きな財産になってくれることと思う」と期待を寄せる。
引用先:飛騨経済新聞

荒城農業小学校では、ファンがボランティアで手伝いをしてくれたり、卒業していった中学生が関わってきてくれるなど、つながりが増えているそうです。地域のおじいちゃん・おばあちゃんを「農家先生 」と慕っているのも素敵ですね

市民と市が協力して、つくりあげた財光寺農業小学校
・日向市財光寺地区は、日向市の中東部に位置し、都市地域と農村地域が混在する地区である。移り住んでくる人も多いため、地域コミュニティが希薄になりつつある地区である。
・この地区に住む元小学校長の二見順雄氏は、農業従事者の高齢化、遊休農地の増加という課題を抱える地区において、食や農に関心が薄く「野菜はスーパーで買うものだ」と思っている子どもたちに、農業体験を通じて学ぶ食育の機会を作る為、農業小学校を設立した。
・平成20年4月、発起メンバーに支援スタッフを加えた10名(平均年齢68歳)で、地域の子どもたちに農業体験を通して自然の仕組み・農業の役割・農業者への畏敬の念を教えるとともに、自ら土地に触れ、汗を流して生産し、収穫する喜びを実感させることで思いやりや優しさの情操を養うことを目的として、「財光寺農業小学校」を開校。 (市民提案型の補助金「日向市市民まちづくり支援事業」において支援されている。 )


・農業に対する感謝を培うために、収穫した野菜の第1号(初穂)は、ご先祖様(神仏)に供えることに加え、苦手な野菜を育てることを入校条件としている。
子どもたちは、管理日誌をつけながら、農園で土づくりから野菜の収穫までのすべての農作業に取り組んでいる。基本的には、自分で責任を持って育てることとなっており、スタッフ(先生)は子どもたちの活動を見守っている。引用先:リンク
都市と農村を繋げ、今では他地区からも問い合わせがきたり、県外から見学に来るなど観光的な場所にもなっているそうです。そんな財光寺農業小学校・二見校長の今後の展望もとても素敵なので、紹介します

この農業小学校は、子どもたちに農業の大切さを教えるだけでなく、人としての成長の場であり、いつも笑顔で見守ってくれる大人に囲まれながら楽しく活動できる子どもの「居場所」である。ここでの経験は、子どもたちの成長に大いに役立つものと期待されている。土地の拡大には限度があるため、改良を重ねながら継続していくことが必要であると考えている。
 また、現在参加している若い保護者が、子どもの喜ぶ姿を目にしながら、要領を覚え、シニア世代から学んだことを次の世代に教えていく流れが構築され、自然な形で継続されることを期待している。

小・中学校時代から、地域のたくさんの大人と関わり、食に関すること、集団で生産を行うということを自然と学べる農業学校。この動きを促進していくことで、日々の食に対する観点もがらりと変わっていき、これまで受け継がれてきた、集団生産の知恵が受け継がれてゆくのではないでしょうか。

投稿者 megu3 : 2012年05月03日 List   

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